国・総務省やNHKが中心となって推進してきた「新4K8K衛星放送」が、2018年12月1日から始まりました!
4Kテレビや8Kテレビの画面で本当に美しい映像を楽しむには、フルハイビジョンの映像をアップコンバートしたものではなく、コンテンツから4Kあるいは8Kで制作されたものを視聴するのが一番です。
「新4K8K衛星放送」は身近にある4K8Kのコンテンツなのですが、あまり普及が進んでいないようです。なぜなのでしょうか?
「新4K8K衛星放送」の普及率と4Kテレビの普及率について以下に紹介します。
*普及率の情報を追記しました。
4K8K放送の普及率は?
一般社団法人放送サービス高度化推進協会の発表によれば、“新4K8K衛星放送”視聴可能機器の2019年7月末時点での累計台数は以下のようになっています。
1.「新チューナー内蔵テレビ」約892,000台
2.「外付け新チューナー」約206,000台
3.「新チューナー内臓STB」約402,000台
合計 約1,500,000台
2015年の国勢調査によると、世帯数は53,449,000世帯ですので、単純にこれで上記の累計台数を割ると、2.8%の世帯に“新4K8K衛星放送”視聴可能機器があることになります。
「外付け新チューナー」と「新チューナー内臓STB」は、新4K8K衛星放送を視聴するためにしか使用しませんので、これらの購入者は新4K8K衛星放送を視聴していると考えられます。
しかし、「新チューナー内蔵テレビ」は、「今すぐに新4K8K衛星放送を視聴しないけれども、テレビを購入するならば4Kあるいは8Kのチューナー内臓モデルにしておこう」という人も相当数存在していると考えられます。
したがって、新4K8K衛星放送を視聴している世帯は、全世帯の2%以下ではないかと推測します。仮に上記の2.8%の世帯で視聴していたにしても、まだまだ世帯普及率は低いということには変わりありません。
*2020年8月末時点の情報を追記しました。
“新4K8K衛星放送”視聴可能機器の2020年8月末時点での累計台数は以下のようになっています。
1.「新チューナー内蔵テレビ」約3,689,000台
2.「外付け新チューナー」約250,000台
3.「新チューナー内臓録画機」約563,000台
4.「新チューナー内臓STB」約1,045,000台
合計 約5,547,000台
2015年の国勢調査によると、世帯数は53,449,000世帯ですので、単純にこれで上記の累計台数を割ると、10.4%の世帯に“新4K8K衛星放送”視聴可能機器があることになります。
4Kテレビの普及率は?
上記のデータから、「新チューナー内蔵テレビ」の累計台数約892,000台を世帯数53,449,000世帯で割ると、約1.7%です。4Kテレビの販売台数に比べると8Kテレビの販売台数は非常に少ないので、これが4Kチューナー内臓の4Kテレビの世帯普及率を考えて良いでしょう。
また前述の「外付け新チューナー」と「新チューナー内臓STB」は、4Kチューナーを内蔵していない4Kテレビに接続して使用すると考えられますので、前述の「“新4K8K衛星放送”視聴可能機器がある世帯」の2.8%が4Kテレビの普及率と考えられます。
*2020年8月末時点の情報を追記しました。
上記のデータから、「新チューナー内蔵テレビ」の累計台数約3,689,000台を世帯数53,449,000世帯で割ると、約6.9%です。
同様に前述の約10.4%が4Kテレビの普及率と考えられます。
4K8K放送が普及しないのはなぜ?
まだ新4K8K衛星放送が始まってから1年も経過していない時点でのデータですので、普及率が低いからといってあまり悲観的になる必要もありません。
しかし、新4K8K衛星放送にかかわるいくつかの業界の人々からすれば苦難が続いており、少しでも早く普及率が伸びて欲しいと願っています。機器の価格やコンテンツの制作、広告収入など、関連するほとんどのものが視聴者数が増えなければ事業として厳しいからです。
なぜ新4K8K衛星放送の視聴者数が増えないのでしょうか?これにはいくつかの要因があります。例えば、テレビの買い替えサイクルの関係から、現在使用しているテレビが壊れてから4Kチューナー内蔵の4Kテレビを買おうという人もかなりいると考えられます。また4K8K放送のコンテンツに魅力を感じていない人もいるでしょう。「これは鶏が先か?卵が先か?」的な議論になりますが、視聴者が増えないと広告収入が増えないため、コンテンツ制作に予算が充てられず、充実してこないという事情があります。
現時点で、もっとも大きな要因の一つと感じるのは、新4K8K衛星放送を視聴できる環境を整えるハードルの高さです。例えば2019年3月末時点で、ケーブルテレビの加入世帯数は、約3,055万世帯、世帯普及率は約52.2%です。
特にテレビ放送を視聴するための経路を変更しなければ、ケーブルテレビの加入者はケーブルテレビ経由で新4K8K衛星放送を視聴するのが簡単です。その場合は、前述のような新4K8K衛星放送用のSTBをレンタルあるいは購入する必要があります。
通常は、これまでよりは費用が上乗せされますので、大きなハードルとなります。「テレビ放送は無料」という意識が強いからです。
また集合住宅の場合は、アンテナやブースター、分配器などが建物内で共用となっており、住民の合意が無いと新4K8K衛星放送を視聴できる状態に改修できないことがあります。これは集合住宅によっては非常に高いハードルとなることがあります。
今後は4K8K放送は普及する?
日本は人口減少社会に突入しましたので、人の数は減り続けますが、新4K8K衛星放送の視聴者数は非常に低いので、しばらくは伸びていくでしょう。まずは2020年の東京オリンピックに向けて、テレビの買い替えが進めば、視聴者は増えると期待されます。そして何らかの方法で新4K8K衛星放送を視聴する環境を導入すれば、それを撤去する行動に出る割合は低いと考えられますので、減少に転じる可能性は低いでしょう。
東京オリンピック後も、テレビの買い替えサイクルに合わせて、新しいテレビの購入者の一定の割合は新4K8K衛星放送を視聴するでしょう。そして新4K8K衛星放送の視聴者の比率がある程度の割合に達した段階で、普及のスピードが加速すると期待されます。多くのものの普及が同じような傾向を示しますので。
まとめ
新4K8K衛星放送の映像は本当に美しいです。そんな美しい映像が日常的に楽しめる時代が来ています。地道に普及していくことを願います。
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