マイクロLEDディスプレイの最新情報!実用化は?課題は?

車 マイクロLED

液晶ディスプレイと有機ELディスプレイの次に来る最先端のディスプレイと言われているのがマイクロLEDディスプレイです。その性能は従来のディスプレイを凌駕し、2次元のディスプレイとしては「究極のディスプレイ」とも考えられています。

いつマイクロLEDディスプレイは実用化するのでしょうか?最新の情報についてわかりやすく紹介します!

スポンサーリンク

マイクロLEDディスプレイは実用化する?すでにソニーが販売している!

1つ誤解がないように説明しておかないといけないのは、厳密な意味ではすでにマイクロLEDディスプレイは実用化しています。2017年に大型のディスプレイ「CLEDIS」(クレディス)として販売を開始し、現在は「Crystal LEDディスプレイシステム」という商品名で継続して販売されています(詳しくは記事「マイクロLEDディスプレイの課題は?普及するの?」ご参照下さい)。

これは業務用の大型ディスプレイとして販売してるもので、ディスプレイユニットを並べて画面を作る方式であるため、画面サイズをニーズに合わせて変えられます。フルHDならば110インチ、4K2Kならば220インチ、8K2Kならば400インチになります。

このような大型ディスプレイは、従来ならば映画館のようなプロジェクション方式になりましたが、照明が点いた状態では綺麗に観れないという欠点がありました。ところがこのソニーの「Crystal LEDディスプレイシステム」ならば超高画質で視聴できますので、いろいろなところですでに利用されています。

このように、マイクロLEDディスプレイを世界で初めて実用化したのはソニーなのです。さすがですね!しかし、これほどすごいディスプレイシステムですので、価格もかなり高いようで、とても一般の個人が買えるような価格ではありません。

つまり、一般の個人が買えるようなテレビ、スマホ、パソコンなどの、いわゆる民生品としてマイクロLEDディスプレイが搭載されたものがまだありません。本記事で言う「マイクロLEDディスプレイの実用化」とは、民生品に搭載されて製品として販売されることを指します。

マイクロLEDディスプレイの実用化への課題は?

マイクロLEDディスプレイの試作品を展示するメーカーはかなり多くなりました。日本企業でも、シャープジャパンディスプレイ(JDI)京セラなど、年々増えており、単純に「マイクロLEDディスプレイを作る」ということであれば、技術的には作れる状況です。

最大の課題は、マイクロLEDディスプレイの量産技術です。多くの人が購入できる価格で販売するために、歩留まりよく、低コストで大量に生産することがまだまだ難しいわけです。

現在研究開発が進められているマイクロLEDディスプレイは、大きく分けると以下のような2つの方式があります。

1.RGBのLEDを用いる方式
2.単色LED+蛍光体方式

それぞれについて特徴を紹介します。

RGBのLEDを用いる方式

通常のディスプレイでは、RGB(赤・緑・青)のサブピクセルを1組にして1画素を形成しています。「RGBのLEDを用いる方式」では、これらのサブピクセル1つに1つのマイクロLEDを使用します。

4Kならば3,840×2,160=8,294,400画素ありますが、この1つの画素にRGBの合計3つのマイクロLEDを使っていますので、4Kでは約830万画素×3=約2490万個のマイクロLEDの個数になります。

RGBそれぞれのマイクロLEDは、材料組成や作製方法が異なっており、別々に作ったところから正しい位置に運び、はんだ付けなどで電気的に配線しなければなりません。1つのマイクロLEDは一般に100ミクロン以下で、それを運び、数ミクロン程度の位置精度で配置し、配線しなければなりません。これだけでも気が遠くなりそうですが、それを約2490万個のマイクロLEDに対して行うことが非常に大変なわけです。

前述のソニーのCrystal LEDディスプレイシステム」では、大きさ約20ミクロンのマイクロLEDを使っていて、実際にこの工程を、4K用ならば約2490万個のマイクロLEDに対して行っているわけです。これがどのようなことであるのか想像できるでしょうか?

上記の工程を1時間で1万個のマイクロLEDに対して行えるとすると、2490万個ならば24時間休み無く連続で作業し続けて約104日かかります。4Kディスプレイ用パネル1台を作るのに104日もかかっていたら、民生用で販売する価格にすることはとても出来ないということになってしまいます。少なくとも1日に100台程度、つまりこの1万倍ぐらいのスピードが必要です。

この作製工程のスピードアップに多くのメーカーが苦しんでいる状況です。

またこの方法では、マイクロLEDを小さくし、ハイエンドのスマホレベルの画素密度にすることも難しいとされています。

単色LED+蛍光体方式

単色のマイクロLEDは、1種類の基板上で作ることが出来ます。まず青色を発するマイクロLEDアレイを作り、赤色と緑色のサブピクセルとしたい位置に、青色光を赤色および緑色に変換する蛍光体を載せる方式も開発が進んでいます。青色のマイクロLEDの代わりに紫外光(UV)を発するマイクロLEDアレイを用いるタイプもあります。その場合は、紫外光を青色光に変換する蛍光体も使用します。蛍光体はいくつかの種類がありますが、量子ドット用いるパターンが多いです。

この方式は、大量の小さなマイクロLEDを移送する必要が無く、極めて高い画素密度のものが作りやすい。小型のいわゆる「マイクロディスプレイ」をマイクロLEDディスプレイで作るために適した方法とされている。反面、大面積の大型ディスプレイの作製は難しいです。

これらの方式の生産方法の改善により、どこまでコストを下げ、それを許容できる用途へ投入できるのかどうかが製品化の判断を決めることとなるでしょう。今から4〜5年以内に製品が登場するのではないかと噂されています。


スポンサーリンク

マイクロLEDディスプレイの製品化はApple?

このような状況から、製法的に少しでも難易度が低いディスプレイ、他のディスプレイと比べて差別化でき、ある程度高い価格を設定しても受け入れられそうな用途、メーカー各社のマイクロLEDディスプレイに対する投資・研究開発などから、総合的に分析してマイクロLEDディスプレイの製品化を予想してみましょう。

青色LED+蛍光体方式

前述の「単色LED+蛍光体方式」の中の特に青色LEDを用いる方式が有望です。微細な青色LEDアレイを作製し、フォトリソグラフィなどの半導体プロセスで蛍光体を配置し、赤色と緑色のサブピクセルを作ることができ、「Mass Transfer」と呼ばれる微細なマイクロLEDを移送するプロセスが必要ありませんので、量産の難易度は各種マイクロLEDディスプレイと比べて低いと言えます。

シャープはこの方式の試作品を「Silicon Display」と名付けてSID2019で公開しています。0.38インチのマイクロディスプレイで、解像度は209,088 sub-pixels (H:352 x RGB X V:198)、画素密度1,053 ppiです。公式発表ではないようですが、日刊工業新聞による報道では、2023-2024年の量産を目指すとのことです。ターゲットは、眼鏡型の拡張現実(AR)/仮想現実(VR)デバイス(スマートグラス)です。

最初の量産品はかなり高価になると予想されますので、有機ELなどの他のマイクロディスプレイとどれだけ価格差を小さくし、性能差をアピールできるかがポイントとなるでしょう。

スマートグラスは、まだ本格的に普及していないため、最初は高い価格設定からスタートできる可能性が高いです。しかし、スマートグラスそのものがどの程度売れるのかは未知数です。

RGBのLEDを用いる方式

RGBのLEDを用いる方式は、一般にMass Transferが必要となるため、量産コストのの大幅な低減に目処が立っていないようです。

2019年頃には、Apple Watchへの搭載を予想する人が多かったです。小さく、画素数が少ないディスプレイですので、Mass TransferしなければならないマイクロLEDが4Kディスプレイなどに比べて圧倒的に少ないこと、低消費電力、高輝度という性能をアピールしやすいこと、Appleが以前マイクロLEDのスタートアップであるLuxVueを2014年に買収したことなどがその根拠のようです。2020年には台湾に投資し、ミニLEDとマイクロLEDの工場を建設する予定との報道もあります(*公式発表ではない)。

Apple Watchへの搭載の課題は、現在の製品の画素密度がかなり高いこと、コストダウンなどでしょう。少しこの噂も下火になったような印象も受けます。もしかしたらこれらの課題解決の目処が立っていないのかもしれません。

Samsungは、「2022-2023年に75インチのマイクロLEDテレビを300万〜400万ウォン(約29万円~約38万円)の水準にまで下げたい」としているとの報道もあります。

Samsungは、2019年2月に146インチの業務用マイクロLEDテレビを発売しており、販売価格は最低20万ドル(約2200万円)でした。シャープが2015年に最初の85インチ8Kモニターを発売した時の価格が1,200万円以上で、2018年に発売された70インチの8Kテレビは最安価格で約67万円です。このことを考えれば、Samsungの目標価格まで下がらなかったとしても、100万円を切る価格で発売される可能性はあるかもしれません。

しかし、60インチ以下のテレビの場合は、液晶テレビと有機ELテレビの価格が急速に下がっており、これらの画質もかなり高いことから、商品力という点で60インチ以下に展開するのは難しいのではないかと予想します。

有望な用途は車載用ディスプレイかもしれません。フロントガラスに投影するHUDは、現状のものはあまり画質が高くなく、視認し難いです。投影する機器の容積(体積)が大きいことも課題です。マイクロLEDディスプレイならば、高輝度な透明ディスプレイを実現できますし、車載のAR用ならばそれほど画素密度と解像度(画素数)も必要ないでしょう。ダッシュボード付近の高温という厳しい条件もクリアできそうです。

この用途の課題は、台数が一般の家電製品に比べると少ないことと、車のモデルチェンジと合わせて車メーカーと協力する必要があることです。機器の信頼性・耐久性・コストに厳しい車メーカーを納得させるには、かなりの時間がかかるかもしれません。

もちろん、インパネや一般の車載用モニターとしても有望です。

まとめ

マイクロLEDディスプレイの実用化には、量産性についての課題が多いことを紹介しました。しかし、研究開発は活発に進められており、3〜4年以内には民生用に実用化される可能性が高いでしょう。

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました