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有機ELは液晶よりも消費電力が高いのはなぜ?

投稿日:2019年3月16日 更新日:

ソニー、パナソニックなどのテレビのラインアップの高価格帯に有機ELテレビがあります。締まった黒が表示される高い画質で、プレミアムなテレビとして人気があります。ハイエンドのスマホにも有機ELが搭載され始めました。そんな魅力的な有機ELですが、消費電力は液晶よりも高いと言われています。なぜでしょうか?

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有機ELは液晶よりも消費電力が高いのはなぜ?

有機ELは自発光型で、非発光型の液晶よりも、理論上は効率が高い、すなわち消費電力が低くできると考えられていました。ところが最近の有機ELテレビと液晶テレビを比較すると、有機ELテレビの方が消費電力が高いと言われています。本当でしょうか?

例としてソニーの65インチの4Kテレビを調べてみると以下のようになっています。

4K有機ELテレビ SONY KJ-65A9F
消費電力 513W
年間消費電力量 283kWh/年

4K液晶テレビ SONY KJ-65Z9F
消費電力 293W
年間消費電力量 238kWh/年 

確かにかなり有機ELの方が消費電力が高いです。テレビの場合、映像を表示するディスプレイ部分以外にも消費電力がかかりますので、厳密にはその他の条件を同じにしないといけません。しかし、有機ELと液晶のそれぞれハイエンドの製品で比較していますので、実用的な一つの比較として意味があるでしょう。

有機ELの方が消費電力が高くなる原因はいくつかあります。主要なものは以下です。

1.偏光板の使用
2.青色発光材料の効率が低い
3.カラーフィルターの使用
4.TFTでの消費電力が高い

これらの原因について順番に述べます。

有機ELは液晶よりも消費電力が高いのは偏光板が原因

有機ELの方が消費電力が高くなる主要な原因の1つは、有機ELにも偏光板が使用されるためです。

液晶には2枚の偏光板が使われており、ここで大きな光エネルギー損失があることが知られています。液晶の内側の偏光板は、バックライトの光から特定の偏光を取り出すために使用されています。この部分で原理的には約50%の光損失が生じますが、3M社のDBEFという部材により、もう少し損失を減らしています。その後、液晶層を通過時に画素ごとに変更状態が制御され、外側の偏光板を通過する際に画像が形成されます。ここでもある程度の光損失が発生します。

有機ELの場合、画素ごとに発光強度を制御するだけで画像が形成できるので、原理的には偏光板が無くても画像表示が可能です。しかし、外部から侵入した蛍光灯や太陽光などの光が、有機EL素子を形成している電極基板(*反射率の高いアルミニウムなどでできている)で反射しやすく、周囲が明るい場所では著しく画質が低下してしまいます。特に有機ELの最大の長所である「締まった黒を表示できる」特性が台無しになってしまいます。

この問題を解決するために、有機ELには4分の1波長板と偏光板を組み合わせた円偏光板が画面の表面に貼合されています。外光は、円偏光板通過時に円偏光となり、電極基板で反射して再度円偏光板に入射した際に吸収されます。その結果、画面を見ている人には反射光が見えなくなります。ただし、最表面で反射した光は見えますので、これを防ぐためには反射防止のコーティングなどを施します。

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有機ELは液晶よりも消費電力が高いのは青色発光材料が原因

有機ELの方が消費電力が高くなる主要な原因の1つに、青色発光材料の効率が低いことが挙げられます。

有機ELでは、電流を有機化合物に流して発光させます。この現象をエレクトロルミネッセンス(EL)と言い、有機化合物を利用しますので有機ELと呼ぶわけです。

ディスプレイとして使用するためには赤色・緑色・青色の光の3原色が必要となります。これらにはそれぞれの色で発光する異なる有機化合物を使用します。赤色と緑色の光については、高効率の燐光が利用できる発光材料が開発されており、ほぼ100%の発光効率と言われています。ただし、実際に有機ELから外部に取り出して活用できる効率はもっと低くなります。

ところが青色の光については、蛍光を利用する発光材料しか開発されてなく、燐光の数分の1程度の発光効率となります。この青色の光の効率の低さが、有機ELの効率を大きく下げる原因となっています。

有機ELは液晶よりも消費電力が高いのはカラーフィルターが原因

大型の有機ELテレビのパネルは、韓国LGほぼ独占的に製造し、自社だけでなく、ソニーやパナソニックにも供給しています。スマホについてはSamusungが大きなシェアを持っていますが、大型のテレビ用の有機ELパネルは製造していません。その理由は有機ELパネルの方式にあります。

Samsungのスマホ用有機ELパネルは、赤色・緑色・青色のサブピクセルを、メタルマスクを使って蒸着方式でそれぞれ作っています。ところが大型のテレビ用になると、この方法では作ることが困難で、断念してしまいました。

それに対しLGは、赤色・緑色・青色の発光材料を積層し、パネル1面を白色で発光させる方式としました。もちろんこれだけでは白色照明になってしまいますので、その上に液晶パネルと同様のカラーフィルターを配置し、サブピクセルと形成しています。カラーフィルターは、サブピクセルごとに白色光から赤色・緑色・青色を取り出すように設計されています。つまり、ある色を取り出す時は、他の色は吸収して損失となりますので、原理的には光は3分の1以下に弱まってしまうわけです。

このカラーフィルターが消費電力を高くする主要な原因の1つとなっています。また前述のように、Samsungのスマホ用有機ELはカラーフィルターを用いていませんので、より効率が高く、低消費電力となっています。

有機ELは液晶よりも消費電力が高いのはTFTが原因

有機ELディスプレイには、液晶ディスプレイと同様に、画素の駆動用にTFTが使用されています。有機ELディスプレイでは、さらに画素の輝度制御用にTFTが使用されています。これらにはLTPS(低温ポリシリコン)のTFTが使用されることが多いのですが、LTPSは移動度が高いという長所がある反面、オフ電流がやや高く、リーク電流が比較的多いという短所があります。これを改善するために、AppleはLTPOという新しいTFT方式を提案し、Apple Watchに搭載しました。詳しくはこちらの記事「Apple Watch 4のLTPOとは?メリットは?iPhoneへも搭載?」をご覧ください。

まとめ

有機ELが液晶よりも消費電力が高くなってしまう原因について紹介しました。将来的には印刷方式の導入により、カラーフィルターを省略できる可能性もありますし、より効率の高い青色発光材料が開発される可能性もあります。今後の性能向上に期待したいです。

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