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透明ディスプレイの原理は?液晶と有機ELの構造は?

投稿日:2019年3月18日 更新日:

最近、「透明ディスプレイ」の発表・展示などがいくつかありました。新しいタイプのディスプレイですが、実際のところ「透明ディスプレイ」とは何なのでしょうか?その原理や構造はどのようなものなのでしょうか?これまでに複数のタイプの透明ディスプレイが発表されていますので、主要なものを紹介します。

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透明ディスプレイの原理は?

「透明ディスプレイ」とは、厳密な定義は無いようですが、一般的には窓ガラスのように普段は透明で、そこに映像を表示できるもののことを言います。

これも大きく分けると、以下の3つのタイプがあります。

1.窓ガラスなどの透明な板に映像を投影するタイプ
2.透明なディスプレイで、必要に応じて映像を表示できるタイプ

「窓ガラスなどの透明な板に映像を投影するタイプ」については、もっとも普及しているのが自動車のフロントガラスなどにスピードを表示したり、カーナビの道案内を表示したりするものです。これについては、「透明ディスプレイ」という用語よりもヘッドアップディスプレイ(Head Up Display: HUD)という用語の方が浸透しています。

また軍事用や業務用として、ゴーグルのレンズ部分に情報を表示できるディスプレイも利用されています。これらについても、「透明ディスプレイ」という用語よりもヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display: HMD)という用語の方が浸透しています。

より大型の透明なスクリーンにプロジェクターで映像を映し出すタイプのものは、複数のメーカーが発表しています。パイオニアがCEATEC JAPAN 2013で発表したものは、透過率が80%で、プロジェクターからの光を散乱させることで画像を表示しています。そのため普通の窓ガラスよりは、すりガラスのような感じに見えます。

「透明なディスプレイで、必要に応じて映像を表示できるタイプ」が、最近盛んに研究開発されており、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイなどをベースに試作されています。特に説明なく「透明ディスプレイ」と言えば、通常はこれらのタイプのものを指します。

これらについてさらに詳しく説明します。

透明ディスプレイの液晶の構造は?

液晶ディスプレイをベースとした透明ディスプレイは、ジャパンディスプレイ(JDI)やシャープなどから試作品が発表されています。

液晶ディスプレイは非発光型のディスプレイで、液晶パネルの背面側にバックライトという面状光源が必要です。液晶テレビなどを分解してみると分かりますが、液晶パネルの後ろ側に全面が白色に光る光源があります。通常は、白く濁った「拡散板」と呼ばれる部材が入っており、これを取り外してみると、液晶パネル越しにも内部が透けて見えます。さらに液晶パネルを取り出し、画面全体に白を表示させた状態で覗いてみると、向こう側が透けて見えます。

このように液晶ディスプレイは、そもそも背面のバックライトからの光を利用して画像表示するディスプレイですので、液晶パネルそのものはある程度の光透過率を持っています。しかし、通常はその透過率が10%以下であり、さらに背面に不透明なバックライトを配置しないと見えないため、透明ディスプレイにはなりません。そこで液晶パネルそのものの透過率を高くし、不透明なバックライトを工夫することで、複数の企業が透明ディスプレイの試作を行っています。

JDIが試作した透明ディスプレイは、背面の不透明なバックライトを取り除き、LEDライトを液晶パネルのエッジ部分に配置しました。さらに液晶パネルの透過率を下げている偏光板とカラーフィルターを取り除いています。

LEDライトは、赤色・緑色・青色の光を発するものがそれぞれ配置されており、放出されたLED光は液晶パネル内を一方のエッジから反対側のエッジ方向へ進みます。つまり、ディスプレイの画面内を進んでいくわけです。

液晶には、通常の偏光を制御するタイプのものではなく、光を散乱させるタイプ(散乱モード)が用いられており、明るくする画素の部分で画面内を導光してきた光を散乱させて視聴者の目に届けます。この時に赤色・緑色・青色のLEDを順番に高速で点滅させることで、カラーフィルター無しでもカラー表示することができます。これをフィールドシーケンシャル方式と呼びます。これにより、透過率80%を達成しています。

シャープが開発した透明ディスプレイは、フィールドシーケンシャル方式であることと、カラーフィルターを使用しない点ではJDIと同じです。偏光板を残していることと、バックライトの導光板を使用していること、偏光を制御する液晶モードであることがJDIのものと異なります。

導光板とは、ノートパソコンなどの薄型の液晶ディスプレイのバックライトにはよく用いられる部材で、板状のエッジ部分にLEDを配置して光を入射させ、広い面から均一に光を取り出すことができます。通常の導光板は、広い面方向から見た時には不透明なのですが、シャープは新しい構造の導光板を設計し、向こう側が透けて見られるような透明な導光板を作り上げました。これを用いることで、通常の液晶ディスプレイのように動作させることができます。そのために偏光板が残してあります。

偏光板を残すことによって、透明ディスプレイの透過率は25-30%になってしまい、透明ディスプレイとしては低いですが、白と黒のコントラストに優れるメリハリのある映像表示が可能です。

JDIの試作品とシャープの試作品のどちらが良いかは、使用する場面によるでしょう。

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透明ディスプレイの有機ELとマイクロLEDディスプレイの構造は?

有機ELとマイクロLEDディスプレイは、いずれも画素そのものが発光する自発光型のディスプレイです。これらのディスプレイの場合、画素以外の部分を透明にしていくことによって、透明ディスプレイとすることができます。

JDIが試作した有機ELの透明ディスプレイは、透過率63%を達成しています。偏光板を無くし、赤と緑の画素と黒と白の画素を千鳥状に配置して、合わせて1ドットを表示することで素子部分の占有面積を減らしています。つまり、画素を間引記した構成にしているわけです。

LGも有機ELの透明ディスプレイの試作品の展示を行っています。LGは大型テレビ用の有機ELパネルで独占的な地位を占めていますが、画素数が同じならば大型化するほど画素密度が下がり、透明な部分を増やすことが容易になります。したがって、大型テレビサイズの有機ELベースの透明ディスプレイは比較的容易に作れそうです。

マイクロLEDについては、各社研究開発を活発化している。先陣を切ったSONYは、サイネージ用途などの大型のディスプレイとしてLEDディスプレイを実用化した。このように大型になるほど、前述のように透明ディスプレイ化するのは容易である。今後、LEDの小型化が進めば、さらに画素密度の高いLEDディスプレイでも容易に透明ディスプレイはできるでしょう。

まとめ

透明ディスプレイの原理と構造などについて、液晶、有機EL、マイクロLEDディスプレイなどのそれぞれのタイプについて解説しました。透明ディスプレイが適した用途が見つかれば、市場は拓けそうです。

有機ELについては、こちらの記事「有機ELのまとめ」もご覧ください。

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