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有機ELテレビの寿命は何年?スマホは?経年劣化・熱劣化・最新技術について解説!

有機EL

有機ELがスマートフォン(スマホ)や大型テレビに搭載され、普及しています。

有機ELの弱点として、液晶に比べて寿命が短いということが指摘されています。しかし、これらの普及を見ても、スマホやテレビ用には十分な寿命があると考えられます。何年くらい使えるのでしょうか?

なぜ「有機ELは寿命が短い」と言われるのでしょうか?1つの理由は、有機化合物の発光材料に電流を流して発光させる「エレクトロルミネッセンス(EL)」を利用していて、発光させると少しずつ材料が劣化するためです。

発光すると熱も発生するのですが、放熱が十分でなく、蓄熱して温度がある程度以上上昇すると、熱劣化も進むということがわかっています。

有機ELの寿命を縮める原因が明らかにできれば、その改善も進めやすくなります。実際、2019年モデル以降の主要な有機ELテレビでは、有機ELパネルの放熱性能を高めるなどの方法で大幅に寿命を改善し、高輝度化も進んでいます

例えば、パナソニック(Panasonic)はかつては自社で有機ELディスプレイの研究開発をしていたため、その知見を活かしてLG Displayとテレビ用有機ELパネルを共同開発し、それを自社のテレビのビエラに搭載しています。



さらに詳しく紹介します!

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有機ELテレビの寿命は何年?スマホは?経年劣化と熱劣化!

冒頭で述べましたように、スマホやテレビ用のディスプレイとしては、有機ELは利用可能なレベルの寿命があると考えられます。

どのような方式のディスプレイでも、永遠に使用できるということはあり得ず、必ず寿命があります。これはある意味当たり前です。形あるものはいつかは壊れるわけで、ディスプレイに限らず、工業製品には寿命があるわけです。

仮に1日8時間・毎日使用すると考えると、1年間で2,920時間、10年間で29,200時間です。昔のブラウン管のテレビは、感覚的には6~7年使用すると、かなり色褪せた印象がありましたが、おそらく現在の大型有機ELテレビはもっと寿命が長いでしょう。

テレビの平均的な買い替えサイクルも10年以下になっていますので、有機ELパネルは十分な寿命があると考えられます。



スマホのディスプレイについては、ほとんどの人が1日に使用する時間がもっと短いですし、数分間画面にタッチしないと消灯する機能も付いていますので、実質的な画面の点灯時間はそれほど長くないでしょう。

スマホの買い替えサイクルはテレビよりも短く、数年程度ですので、十分な寿命があると考えれます。


有機ELの寿命と輝度の関係!経年劣化と熱劣化

注意しなければいけないのは、有機ELは輝度(*画面の明るさ)をアップするほどかなり寿命が短くなる特性があることです。

有機ELでは、有機化合物からなる赤色・緑色・青色の発光層に電流が流れることで光が放出されます。厳密に言えば、電流が流れて発光する度に、ほんの少しずつ発光材料が劣化し、壊れてしまいます。

したがって、必ず寿命があるのですが、劣化した発光材料の割合が少なければ問題ないわけです。

ところが輝度を高くしようとすると、電流を大量に流さなければならず、短時間で多くの発光材料が劣化してしまうことになります。そのためほとんどの有機ELディスプレイでは、画面のピーク輝度(表示できる最も高い輝度)を、ある値以下に抑える機能が付いています。

有機ELテレビが日本で発売された頃は、有機ELテレビの最高輝度が低く、「暗い」と言われていました。その後、研究開発が進められ、長寿命化と高輝度化が両立できるようになってきています。

有機ELの経年劣化」という用語が厳密に何を意味するのかという点では、人によって多少の解釈の幅がありますが、ここでは「通常の使い方をした時に、使用年数による有機ELの劣化」という意味で使用します。

前述のように有機ELパネルは発光しながら少しずつ発光材料が劣化していきますので、使用年数が長くなるほど劣化が進むわけです。これが経年劣化で、完全に防ぐことはできませんが、かなり改善されており、通常の使い方をするならば問題ないレベルになっています。

直近の10年程度の研究開発で、有機ELパネル使用時の熱によって発光材料が劣化することが明らかになり、放熱性能を向上する努力がされてきました。

有機ELは、明るく発光させるほどより多くの電流を流すことなり、大量の熱が発生します。したがって、放熱が十分でないと蓄熱し、かなり高温になり、劣化を早めてしまいます。

複数のメーカーが有機ELパネルの製造元であるLG Displayと放熱性能に優れる新型パネルを共同開発し、テレビに搭載しています。


また緻密に使用時の有機パネルの温度分布をセンサーで測定し、劣化が抑えるように制御する機能も搭載されている機種もあります。


そのような新型有機ELパネルを搭載したテレビは、製品の紹介ページに書かれていることが多いので、確認してみると良いでしょう。

スマホ用有機ELパネルは、上位機種はカラーフィルターを搭載していないため高効率で、テレビよりは発生する熱量が少ないと考えられ、熱劣化も問題無いレベルでしょう。

有機ELの焼き付きと寿命は意味が異なる

前述のように、有機ELは画素を発光させれば少しずつ発光材料が劣化することは避けられないのですが、それでも画面全体が均一に劣化していけば、劣化が分かり難いです。ところが同じ画像を長時間表示し続けると、その表示画面の明暗に対応して、画面内の場所ごとの劣化度合い差が生じます。これが「焼き付き」の原因となります。

必ずしもまったく同じ画面でなくても、画面の中の特定の部分に同じ画像を表示し続けると、その部分に焼き付きが生じる可能性があります。

例えばテレビであれば、画面の同じ位置にその放送局・番組のロゴなどが表示され続けると焼き付きとなることがあるわけです。そのような観点では、スマホは同じ位置に同じアイコンが表示され続けることが多いので、焼き付きが懸念されます。

有機ELテレビの焼き付きについてこちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。

有機ELの寿命は、一般的には初期の画面の明るさの50〜70%などになった時点などを意味することが多いので、焼き付きとは意味が異なります。

しかし、使い方によっては、寿命よりも焼き付きがひどくなって買い替えたくなる場合もありますので、そのような意味ではユーザーにとって寿命と言えなくもないですが、技術的な意味では別に定義されていると理解しておけば良いでしょう。

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テレビ・スマホ・車載で有機ELは主流になるのか?

有機ELの用途別に今後のトレンドを解説します。

有機ELテレビはハイエンドモデルで増える

テレビとして今後も液晶が主流であるのか、それとも有機ELが主流になるのかという点では、当面は液晶が主流になります。

それは世界のテレビ用液晶パネルと有機ELパネルの生産能力から見積もっても明らかで、生産した有機ELパネルがすべて製品に搭載されたとしても、世界のテレビの販売台数から考えて主流(=過半数)になるにはまだまだ少なすぎます。



しかし、ハイエンドモデルでは、年々有機ELテレビの割合が大きくなっています。液晶テレビもMiniLEDバックライトと量子ドットシートの搭載により商品力を高め、有機ELテレビに対抗していますが、有機ELテレビの割合は徐々に増えていくでしょう。

有機ELスマホが主流になる

スマホについても、AppleのiPhone Xが有機ELパネルを採用してから、ハイエンドスマホでは一気に有機ELが主流になりました。最近ではサムスンの折りたたみスマホも販売好調で、液晶パネルでは真似のできないような有機ELパネルの特徴を前面に出した製品が次々に登場しそうな状況です。


iPhoneではほとんどの機種が有機EL(OLED)搭載となってしまい、「iPhone買うならば液晶は選びにくい」状況となっています。

iPhone以外でも液晶搭載スマホは減っていくでしょう。

車載用有機ELモニターが徐々に増える

車載用ディスプレイについては、現状では有機ELパネルの採用の目処が立っていません。これまでは車載に求められる高温下・高輝度での耐久性という課題を有機ELがクリアできていませんでした。

しかし、ついにメルセデス・ベンツ日本は2021年1月28日、「Sクラス」を全面改良して発売しました。車の世界ではブランドが大切で、その最上級車から最先端の技術が投入されていく傾向があります。Sクラスは同ブランドの最上級グレードのセダンで、有機ELディスプレイが採用されたことが大きなニュースとなっています。

搭載されたのはセンターコンソール部分で、縦型12.8インチの比較的大きな有機ELディスプレイです。これまでにテスラなどのセンターコンソール部分にタッチパネル付きの大きなディスプレイが搭載される例はありましたが、自動車メーカーの装備品としてセンターコンソール部分に有機ELディスプレイを搭載したのは初めてです。

ユーザーが家電製品として購入して後付するのではなく、自動車メーカーが装備品として用意するものについては、その故障等が車およびメーカーの評価に直結します。何と言ってもメルセデス・ベンツの最上級セダンですので、品質・耐久性について厳しい評価試験をクリアして採用されたと考えられます。

コストの問題から、しばらくは車載用途では液晶が主流ですが、徐々に有機ELが増えていくでしょう。

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有機ELテレビの寿命はさらに改善される

韓国のLGは、有機ELの寿命を改善する提案を2つ発表しました。一つはテレビ向けの白色蒸着方式(カラーフィルター方式)についてのもので、もう一つはRGB蒸着方式によるものです(*RGB蒸着方式については次項で解説します)。

白色蒸着方式では、青色、緑色+黄色の発光層を積層し、白色を作り出し、その上に各サブピクセルごとのカラーフィルターを配置することで、フルカラー表示を可能としています。

新たな提案では、これらの上にさらにもう一層青色の発光層を積層しています。これは青色の発光効率が他の色の発光効率よりも低く、必要な明るさを得るために多くの電流を流さなければならないからです。

有機ELの場合、各発光層に流れる電流が多くなるほど寿命が短くなりますので、発光層の数を増やすことで、全体としてある輝度を得るための各発光層に流す電流を少なくできるわけです。さらに最近の色域拡大のニーズにも対応するために、赤色の発光層も追加されています。

これらの改良により、従来の2.5倍程度まで寿命が改善しているとのことです。有機ELテレビは、液晶テレビに比べると最大輝度を低めに設定されていますので、新たな技術が使用されれば、より高い輝度を表示できる有機ELテレビとなる可能性があります。

このような最新技術が投入されたLGの有機ELテレビがC4シリーズです。

まとめ

有機ELの寿命と、最近のLGによる長寿命化の提案について紹介しました。技術は日進月歩ですので、今後、どのような進展があるのかフォローしたいです。

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