スマートフォン、大型テレビ、スマートウォッチなどに有機ELが搭載され、普及が始まっています。「締まった黒」が表示できる優れた画質が高く評価されています。
有機ELと言えばOLEDとも表記されますが、AMOLEDとは何でしょうか?有機ELとの違いはどこにあるのでしょうか?
AMOLEDとは、アクティブマトリックス駆動方式の有機ELのことを指します。最近のテレビやスマートフォンなどの有機ELディスプレイは、高解像度ですので、すべてアクティブマトリックス駆動方式となっていて、AMOLEDです!
AMOLEDに用いるTFTとともに、さらに詳しく解説します。
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有機ELテレビの焼き付きが保証されるのかについてこちらの記事で紹介しています。
AMOLEDとは?有機EL(OLED)との違いは?読み方は?
ディスプレイや照明に使用する有機ELは、有機発光ダイオード Organic Light Emitting Diodeとなっており、この略号としてOLEDと呼ばれます。海外ではOLEDの方が浸透しており、日本では有機ELの方が浸透しているので、言葉として対応していないのですが、日本語表記では「有機EL」、英語表記では「OLED (Organic Light Emitting Diode)」を用いることが慣例となっています。
AMOLEDとは「Active Matrix Organic Light Emitting Diode」の略で、アクティブマトリックス駆動の有機ELのことです。
有機ELにはアクティブマトリックス駆動とパッシブマトリックス駆動がありますので、有機ELの中の一つのタイプと言えます。
読み方は「アモレッド」です。
AMOLEDディスプレイとメーカー
世界のディスプレイ市場において、出荷台数ベースで大きなシェアを占めているのは、スマートフォン(13億5000万台)、テレビ(2億6000万台)、パソコン(3億4880万台)です(*2021年のデータ)。これらの中でテレビが圧倒的にインチサイズが大きいため、面積ベースのシェアでは1位になります。
AMOLEDスマホとメーカー
AMOLEDのシェアを上記ディスプレイの3大用途で比較すると、スマホが先行しており、液晶ディスプレイ(LCD)からAMOLEDへの代替がもっとも進んでいます。
2021年のスマホの世界シェアは、1位Samsung、2位Apple、3位Xiaomiとなっており、これらのメーカーでもAMOLEDスマホの比率が高くなっています。
スマホのAMOLEDディスプレイパネルを供給しているメーカーは、1位Samsung Display、2位BOE、3位LG Displayです。
AMOLED TVとメーカー
テレビ(TV)用大型AMOLEDディスプレイパネルは、LG Displayがほぼ独占的に製造し、各テレビメーカーに供給しています。
テレビメーカーとしては、LG Displayの親会社であるLG ElectronicsはもちろんOLED TVに力を入れていて、積極的に販売しています。
AMOLEDパネルメーカーも、自社グループだけで独占するよりは、拡販してユーザーを増やし、生産量を増やした方が有利ですので、ソニー(SONY)、パナソニック(Panasonic)などの各テレビメーカーに供給しています。
LG Displayの最大のライバルであるSamsung Displayは、2021年からQD-OLEDという新しい方式のAMOLEDパネルの量産を開始しました。日本ではソニーがこのQD-OLEDパネルを搭載したテレビを2022年に発売しています。
AMOLEDパソコンとメーカー
パソコン用のAMOLEDパネルは、スマホとテレビに比べるとまだ普及していません。
今後、徐々に増えてくるでしょう。
AMOLEDディスプレイのアクティブマトリックスとは?
ディスプレイは、多くの画素を並べ、適宜、それらの明るさを調節することで画像を表示します。パッシブマトリックス駆動では、一般に列方向と行方向に伸びる電極があり、それらに順次電圧をかけることで制御します。
テレビの場合は、通常は毎秒60コマの映像が表示されます。その一コマ分の時間に、画面の端から順番に走査して行って画素を光らせ、画像を表示します。
画素数が多くなると、一つの画素に電圧を印加していられる時間が短くなってしまいます。有機ELでは、電圧を印加した画素に電流が流れ、発光しますので、発光する時間が短くなります。
発光時間を短くしても人間の目に同じ明るさに感じられるようにするには、より発光強度を高くする必要があり、多くの電流を流す必要が生じます。これは有機ELの寿命を短くしてしまいます。
アクティブマトリックス駆動とは、それぞれの画素にTFT(薄膜トランジスタ Thin Film Transistor)の回路を形成し、画素ごとに電圧の印加時間を制御できるようにした駆動方式です。これを使えば、電流を多くし過ぎずに、より長い時間電流を流すことができ、画素を明るく光らせることができます。低電流に抑えられれば、有機ELの寿命を延ばすことができます。
またパッシブマトリックス駆動に比べて、電極間の電気的な干渉を抑え、高精細にでき、さらに消費電力を抑えることができるなどの長所もあり、高画質の有機ELディスプレイには必須に技術です。
TFTは液晶と有機ELで違う?
前述のようにどのタイミングでどの画素を光らせるかという制御は、スイッチング用のTFTで行います。これは液晶(LCD)でも有機EL(OLED)でも同じです。
液晶は各画素に電圧を印加し、液晶分子を動かすことで明るさの制御を行います。それに対し有機ELでは、各画素に電流を流して発光させます。
そのため有機ELでは、スイッチング用TFTに加えて電流を制御するためのTFTが必要になります。つまり、液晶では各画素に対してスイッチング用TFT1つですが、有機ELでは各画素に対しスイッチング用TFTと電流制御用のTFTの合計2つが必要になるということです。
材料から見たTFTの種類については、次項で解説します。
AMOLEDのTFTの種類は?
LTPSは製造プロセスの関係から中小型に適しており、大型化は難しいです。そのためスマホ用有機ELで圧倒的なシェアを誇るSamsungは、LTPSでAMOLEDを製造しているようです。
大型のテレビ用有機ELで圧倒的なシェアを持つLGは、大型化が可能な酸化物半導体での製造に取り組んでいるようです。酸化物半導体にもいくつかの種類があり、研究開発を継続しているようです。
有機ELは液晶と異なり、バックライトが不要です。そのためフレキシブルな基板を用いることにより、曲げることができるディスプレイが実現できます。最近はポリマーフィルムを基板としたフレキシブル有機ELの研究開発が盛んです。
どのようなTFTを形成するかによってプロセス温度の上限が決まるため、基板材料の耐熱性の要求値に影響します。LTPSやIGZO TFTの場合、通常は基板材料としてポリイミドが使用されます。
世界で一番売れているスマートウォッチのApple Watchでは、搭載されているAMOLEDにLTPOという最新のTFTが採用されています。
まとめ
AMOLEDと有機ELのアクティブマトリックス駆動、さらにTFT材料について解説しました。今後の有機ELのフレキシブル化に大きく関係する技術です。
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