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有機ELが車載用ディスプレイに採用!課題は克服されたのか?

メルセデス・ベンツ有機EL

メルセデス・ベンツのSクラスに有機EL(OLED)のディスプレイが搭載されたことが発表されました。これは車載用ディスプレイ市場で有機ELディスプレイの将来性を示す歴史的な出来事になる可能性があります。以下に紹介します!

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有機EL車載ディスプレイがメルセデス・ベンツSクラスに搭載!

メルセデス・ベンツ日本は2021年1月28日、「Sクラス」を全面改良して発売しました。車の世界ではブランドが大切で、その最上級車から最先端の技術が投入されていく傾向があります。Sクラスは同ブランドの最上級グレードのセダンで、有機ELディスプレイが採用されたことが大きなニュースとなっています。

搭載されたのはセンターコンソール部分で、縦型12.8インチの比較的大きな有機ELディスプレイです。これまでにテスラなどのセンターコンソール部分にタッチパネル付きの大きなディスプレイが搭載される例はありましたが、自動車メーカーの装備品としてセンターコンソール部分に有機ELディスプレイを搭載したのは初めてです。

ユーザーが家電製品として購入して後付するのではなく、自動車メーカーが装備品として用意するものについては、その故障等が車およびメーカーの評価に直結します。何と言ってもメルセデス・ベンツの最上級セダンですので、品質・耐久性について厳しい評価試験をクリアして採用されたと考えられます。

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Panasonicが有機ELカーナビ「ストラーダ」を発売!

メルセデス・ベンツの発表より前、2020年9月にPanasonicが同社のカーナビ「ストラーダ」に有機ELディスプレイを搭載しました。カーナビとしては世界初の採用です。


したがって、車載用ディスプレイとしての初めての搭載という点では、Panasonicの方が早いです。しかし、家電メーカーが発売した機器を車に後付することと、自動車メーカーが装備品として自社の車に採用するのでは重みが違います。詳細はわかりませんが、耐久性試験・評価基準も異なる可能性があります。

そのような意味で、Panasonicの有機ELディスプレイ搭載カーナビの発売にも驚きましたが、自動車メーカーが装備品として採用するまでは「車載用ディスプレイとして有機ELディスプレイが認められたのか?」という点で不安がありました。それだけメルセデス・ベンツのSクラスへの搭載は大きな意味を持ちます。


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車載ディスプレイとして有機ELは課題を克服したのか?

2019年に複数の自動車メーカーの車載用ディスプレイ開発者にヒアリングしたところ、「有機ELディスプレイは、車載用ディスプレイとして耐久性に課題がある。現時点では採用できない」という意見を聞きました。

一般に液晶ディスプレイにおいても、パソコンやテレビなどの家電製品に要求される耐熱性・耐久性比べて、車載用はより厳しい基準になります。特に耐熱性への要求が厳しく、耐熱性に劣るものは結果として耐久性も満たさなくなります。

そのためバックライトに用いられるプラスチック製の導光板の素材も、車載用の方がより高価な耐熱性の高いプラスチックが採用されることがありました。

有機ELディスプレイの場合、テレビなどに比べてより高温下での使用を想定する車載用では、これまでは発光材料である有機化合物の劣化が無視できず、要求基準を満足できないことが課題とされていました。これは材料そのものに起因する難題なので、有機ELディスプレイは車載用ディスプレイには採用できないと考えられ、現時点でも液晶ディスプレイが主流です。

それだけにメルセデス・ベンツSクラスへの採用ということは、この課題を克服したと考えられ、衝撃的な出来事です。

確かに大型テレビに有機ELディスプレイが採用されるようになってから、焼付きや液晶ディスプレイに比べて寿命が短い点を指摘され、それらを改善するための研究開発が活発に進められました。実際、有機ELテレビも焼付き・寿命は大きく改善され、学会でも発表されています。

 

 

これらのノウハウが活かされ、車載用ディスプレイとして満足できる耐熱性・耐久性になったと考えられます。

これにより今後は、自動車メーカー各社の上級者から有機ELディスプレイが搭載されていく可能性が高いでしょう。

まとめ

有機ELディスプレイが車載用ディスプレイとして採用されたことについて紹介しました。車載用ディスプレイ市場のシェアに大きな影響を与える出来事です。

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