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量子ドットディスプレイの原理・特徴・課題を簡単に紹介します!

投稿日:2019年11月22日 更新日:

量子ドットディスプレイが普及し始めています。日本でも本格的に販売が始まりましたが、世界ではすでに多くの量子ドットディスプレイが販売されています。ところで量子ドットディスプレイとはそもそもどのようなものなのでしょうか?もしまだ詳しくご存じないようでしたら、以下に紹介しますのでご覧ください。

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量子ドットディスプレイとQLEDとは?解説します!

量子ドットディスプレイの原理は?

量子ドットディスプレイは、その名の通り「量子ドット」を使用したディスプレイですので、まず「量子トッド」について説明しなければなりません。量子ドットはディスプレイ以外にもいくつかの用途があるのですが、ここではディスプレイ用の量子ドットに話を限定します。

ある種の半導体結晶では、光を吸収し、より長波長の光を放出する「蛍光」が観測されるものがあります。吸収される励起光の波長と蛍光の波長は、半導体化合物の種類・結晶構造などにより決まる物質固有の性質です。発光ダイオード(LED)の発光波長が、使用する半導体化合物の種類・結晶構造で決まることと同様で、それはそのバッドギャップによるためです。

これはいわゆる「バルク状態」での性質です。ところがこの半導体化合物を小さくしていき、数nm~10 nmという極めて小さなサイズになると、構成する原子の数が50個程度以下になり、前述のバンドギャップを形成していたエネルギー順位も離散的になります。そのため半導体化合物の大きさ(直径)によって蛍光の波長が変わるようになります。

量子ドットディスプレイでは、フルカラー表示をするための3原色のうちの赤色と緑色を蛍光として放出する性質の量子ドットを主に使用しています。これらはそれぞれ異なる直径で精密に作製されています。紫外線を照射することで赤色・緑色・青色を放出するタイプの量子ドットも作製されています。

基本的には青色LEDからの光を量子ドットに照射し、赤色と緑色を作り出し、透過する青色光と混ぜ合わせて白色とし、それを液晶ディスプレイのバックライトとして用いることが多いです。そのため、一般に量子ドットディスプレイと言えば、「量子ドットを用いた液晶ディスプレイ」のことを指します。

液晶ディスプレイ内部で量子ドットを用いる方法はいくつか報告されていますが、製品として採用されたのはバックライト部分に用いる方法で、2種類の方式があります。1つはプラスチックフィルム中に量子ドットを添加し、そのフィルムをバックライトの出射面に配置して、青色LEDと光源としたものです。もう1つは、量子ドットをガラス管に封入し、それをエッジライト式バックライトの導光板の入光部分に配置し、青色LEDで照射するものです。後者の方法は、ソニーがテレビで採用しましたが、その後継機からは採用されず、他のメーカーも採用していないようです。したがって、現時点で量子ドットディスプレイとして採用されているのは、前者の量子ドットを添加したプラスチックフィルムを用いる方法です。

日本では、日立化成が量子ドットフィルムを事業化しています。こちらの記事「量子ドットフィルムを日立化成が事業化!液晶を広色域化!」で紹介しています。

量子ドットフィルムを用いた液晶テレビにもっとも早くから注力してきたのがサムスンです。LGの有機ELテレビ(OLED TV)に対抗するために、マーケティング的な観点から「QLED」と名付けて積極的に進めてきました。こちらの記事「サムスンは有機ELをスマホに搭載してなぜテレビは量子ドット?」で紹介しています。

最近、QLEDをフラッグシップモデルに掲げ、日本に進出してきた中国のテレビメーカーがTCLです。こちらの記事「量子ドットLED技術「QLED」を採用した4Kテレビがついに日本上陸!」で紹介しています。

量子ドットディスプレイの特徴は?

前述のように、現時点では量子ドットを添加したプラスチックフィルム(量子ドットフィルム)を液晶ディスプレイ用バックライトの出射面に配置する構成が製品として採用されていますので、ここではその方式についての特徴を述べます。もちろん量子ドットそのものについては、他の方式と共通する部分もあります。

液晶ディスプレイは、非常に多くの部材から構成されており、それらの水平分業化も進んでいます。国際的な競争も熾烈で、高い製造効率が要求され、利益率も低くなっています。そのような状況で、これまでの製造工程・生産ラインを大きく変更するような方法は、たとえ優れた製品ができるとしてもコストが高くなりやすく、採用が難しいものです。しかし、量子ドットフィルムであれば、バックライトの出射面に配置して、光源を白色LEDから青色LEDに変更すれば良いだけですので、採用しやすいです。

量子ドットの直径(粒形)を精密に制御すれば、放出される蛍光の波長スペクトル幅も非常に狭いものが得られます。3原色のそれぞれの波長スペクトル幅が狭いほど色純度が高くなり、それらを混色して作り出せる色域(色数)は広がります。つまりディスプレイの広色域化が可能になります。現時点で販売されている製品としては、量子ドットディスプレイがもっとも広色域です。

原理的には、さらに量子ドットの大きさをそろえる(粒度分布を狭くする)ことによって、蛍光の波長スペクトルを狭くし、さらなる広色域化が可能になりますので、多くのメーカーがその研究開発に取り組んでいます。

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量子ドットディスプレイの課題は?

優れた特徴をもつ量子ドットディスプレイですが、課題もいくつか指摘されています。主な課題は以下です。

1.カドミウム(Cd)の毒性
2.耐久性と価格
3.色域

これらについてさらに詳しく解説します。

1.カドミウム(Cd)の毒性

量子ドットディスプレイは、量子ドットが励起光を吸収し、それを赤色と緑色の波長の光として放出します。このプロセスの効率がもっとも高い化合物は、現時点ではカドミウムを含んだ化合物です。カドミウムは毒性が強いため、欧州などの国々で規制されています。そのためカドミウムを使用しない「カドミウムフリー」の量子ドットの開発が進められていますが、それらはすべてカドミウムを用いた量子ドットよりも効率が低下してしまいます。カドミウムフリーの量子ドットとカドミウムを含む量子ドットを混合し、実質的なカドミウム含有濃度を下げる工夫などもされていますが、テレビなどのディスプレイにカドミウムを使用することへの抵抗感はかなり高いようです。

2.耐久性と価格

量子ドットは、水分、酸素などにも弱く、耐久性がそれほど高くありません。そのため量子ドットを添加したフィルムを両面から挟み込むようにしてバリアフィルムが使用され、水分・酸素などから量子ドットを保護しています。しかし、バリアフィルムの性能が高いものほど価格が高く、コストアップの原因となっています。量子ドットフィルムのバリアフィルムについては、こちらの記事「量子ドットディスプレイや有機ELにはバリアフィルムが必要」で紹介しています。

3.色域

量子ドットを用いることで、製品として販売されている液晶ディスプレイの中でもトップレベルの広色域達成していることは間違いありません。しかし、量子ドットのポテンシャルから考えた時に、量子ドットを使用した割には色域の拡大がそれほど大きくないという課題があります。広色域赤色蛍光体であるKSFなどを使用したLEDを用いた場合と比べても、色域の差はそれほど大きくはありません。量子ドットのポテンシャルから考えたら、さらに粒形制御を厳密にして、さらなる広色域化に期待したいところです。

まとめ

量子ドットディスプレイの原理から、特徴と課題までを簡単に解説しました。量子ドットは、現時点で広色域ディスプレイ実現のためのもっとも有望な技術ですので、今後に期待したいです。

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