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量子ドットフィルムを日立化成が事業化!液晶を広色域化!

投稿日:2018年11月23日 更新日:

数年前からディスプレイの分野では、色域の拡大する開発が進められてきました。これまでは映像信号の色域も狭かったのですが、4K/8K放送の開始とともにBT.2020の広色域の映像信号が配信されるようになりますので、いよいよ広色域ディスプレイの実力が発揮されるようになりそうです。

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量子ドットフィルムを日立化成が事業化

液晶ディスプレイの広色域化の技術はいくつか提案されています。主要なものは量子ドットと使用する方式と、レーザーダイオード(LD)を使用する方式があります。LDを使用する方式は、「赤のLDとシアンLEDを用いたバックライト」を搭載した液晶テレビとして三菱電機から販売されています。赤・緑・青の三原色のLDを使用したものが最も広色域となります。しかし、三原色LDのものは展示会で発表されていますが、コストが高いため、テレビとしては製品化されていません。そのため量子ドットを使用する方式が液晶テレビ用としては販売数という点で先行しています。

液晶ディスプレイには量子ドットフィルムとして搭載されています。この方式には韓国サムスンと中国メーカーが注力しています。日本勢もいくつかのメーカーが参入を検討しておりましたが、2016年末に日立化成株式会社が量産・販売を開始すると発表しました。日立化成は、量子ドットの最大手であるNanosys, Inc.から、量子ドットを使ったフィルム化技術等を導入し、日立化成の有する樹脂組成技術と融合させて、量子ドットフィルムの量産・販売に至りました。日立化成は、米国の液晶ディスプレイメーカーVIZIO, Inc.の新型量子ドット4Kテレビ「P-Series Quantum 65 (2018年7月発売)に、同社の量子ドットフィルムが採用されたことを発表しました。

量子ドットによる液晶の広色域化の方式は?

量子ドットは、短波長の光で励起することによってより長波長の光を放出する半導体のナノ粒子です。通常は青色の光で、緑色およぶ赤色の光をそれぞれ放出するナノ粒子が使用されています。ナノ粒子の粒径を精密にコントロールし、その粒度分布をシャープにする(粒子の大きさを揃える)ことによって、発光スペクトルを狭くすることができます。原理的には、赤・緑・青の発光スペクトルを狭くして、それらを適宜混色して色を調整することで、色域を広く(表示できる色数を多く)することができます。これが量子ドットを使用する理由です。

量子ドットを使用する方法は、主に3つ提案されています。日立化成が事業化したような量子ドットを練り込んだプラスチックフィルムを使用する方法、量子ドットを封入したガラス管などをエッジライト型バックライトの導光板の入光部分に配置する方法、LEDの発光面上に量子ドットを配置する方法です。量子ドットを封入したガラス管を使用する方法は、ソニーが自社のテレビで採用しましたが、後継機種から使用を取り止めてしまい、現在は使用されていません。LEDの発光面上に量子ドットを配置する方法は、LEDの熱によってもっとも速く量子ドットが劣化してしまうため、実用化していません。現状ではフィルム方式のみが使用されています。

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量子ドットフィルムによる液晶の広色域化のメリットとデメリット

量子ドットフィルムを用いる方式は、Nanosys, Inc.と3M社が共同で開発した量子ドットフィルム「QDEF」が、2013年10月18日発売のAmazonのKindle Fire HDX 7に搭載されました。この方式では、バックライトの出射面上に量子ドットフィルムを置き、青色LEDで励起することによって、液晶ディスプレイの広色域化が実現できます。従来の液晶ディスプレイおよびその内部にあるバックライトの構成をほとんど変更せずに広色域化が実現できること、エッジライト型と直下型のいずれのバックライトにも使用できることなどがメリットとして挙げられます。

デメリットは、現状ではまだ高価であること、効率の高いものは有毒なカドミウムを含むこと、耐久性に不安があることなどが挙げられます。コストは量産を続けていけば徐々に下がると期待されますが、どこまで下がるのかは不明です。有毒なカドミウムを使わずに他の材料で量子ドットを作る研究開発が続けられていますが、現状ではまだカドミウムを使用した量子ドットと同程度の効率のものは実現していません。そのためカドミウムを使用したものと混ぜて使用し、含有量を減らす試みなどが行われています。量子ドットは、水分や酸素などによって劣化しやすいため、フィルムの両面をバリアフィルムでサンドウィッチすることによって耐久性を高めています。しかし、バリアフィルムを両面に貼っても、側面部分にはバリア機能がありませんので、側面からの劣化は進んでしまいます。テレビのように額縁部分に隠れる領域が比較的広い場合には使用できるのですが、スマホのように額縁部分が非常に薄い場合には使用できないことが多いようです。

量子ドットフィルムのバリアフィルムについては、こちらの記事「量子ドットの耐久性は?バリアフィルム付でもスマホには使えない?」をご覧ください。

まとめ

日立化成から量産・販売されている量子ドットフィルムについて紹介しました。液晶ディスプレイの広色域化においては、現状ではもっとも利用されている技術です。まだ課題も多いので、今後さらに研究開発が続けられていくでしょう。

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