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日本の大学の研究力は衰退する?ノーベル賞受賞者が警鐘!

投稿日:2016年10月5日 更新日:

今年もノーベル賞が発表される時期となり、東京工業大学の大隅良典栄誉教授のノーベル生理学・医学賞の受賞が決まりました。日本人のノーベル賞受賞は三年連続となり、その快挙は本当に喜ばしいことです。しかし、近い将来、日本からノーベル賞受賞者は出てこなくなると言われています。日本の基礎研究の中心である大学で何が起こっているのでしょうか?

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日本の大学の研究力は衰退する?ノーベル賞受賞者が警鐘!

大隅良典栄誉教授がテレビのインタビューを受け、受賞理由となったオートファジーの研究について語っていました。2016年10月4日のNHKのクローズアップ現代では、研究そのものの他に、現在の日本の研究環境についての懸念を実直に述べており、その深刻さが気になりました。近年の受賞者である根岸英一氏、梶田隆章氏、山中伸弥氏も同様の意見を述べられてます。それらをまとめると以下のようになります。

1.近年の日本人によるノーベル賞受賞は、日本の研究者が比較的基礎研究に取り組み易かった1980年代から1990年代の研究成果が受賞理由になっている。

2.「科学」と「技術」は、本来目的が異なる。「科学」は、自然の仕組みを解き明かすことを目的としており、研究成果が出たからといってすぐに何かの役に立つとは限らず、通常は、長い年月を経た後に多くの技術の基礎になるものである。

3.近年は、国の資金による研究が主に進められる大学・国立研究所などにおいても、目的が明確ですぐに何らかの役に立つような研究成果を求める傾向が強い。そのため基礎研究が弱体化しており、近い将来、日本人がノーベル賞を受賞することが難しくなる可能性がある。

4.博士課程に進学する人材が減少している。博士課程を修了し、博士号を取得しても、継続的に研究に取り組めるようなポスト(職)が少なく、ほとんどが有期のポストであることが原因の一つである。そのような有期のポストに就いた場合、極めて短期間に研究成果を上げることを目指さなくてはならず、長期的な研究に取り組むことが困難である。

以上のような日本の研究に関する問題は、これまでも繰り返し指摘されています。今年もノーベル賞受賞者が自らの研究成果を誇るだけでなく、日本で研究に取り組んでいる多くの研究者のことを考え、問題点を発信してくれたことは少し安堵しました。

長年、基礎研究に取り組んでノーベル賞を受賞した日本人には、誠実な方が多いような気がします。基礎研究は、公的な資金で進められることがほとんどで、研究をすることができたこと自体に感謝の念を示す方が多いようです。またノーベル賞につながるような有望な研究テーマとの出会いも「偶然」という要素が大きく、セレンディピティ(serendipity)(=「素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること」)という言葉が白川英樹氏がノーベル化学賞を受賞した頃によく用いられました。そんな要素も影響しているのかもしれません。

2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏の研究は、前述の分類で言えば「技術」に相当するもので、青色LEDを作るという明確な目標がありました。その研究成果は、現在の白色LED(*青色LEDで黄色蛍光体を励起して白色を作り出すLED)の照明用途への普及、それによる省エネルギーへの貢献をみれば非常に価値ある成果であることがわかります。

人類にとって大切なものという意味では、「科学」も「技術」も両方大切なのです。

日本の大学の研究力が衰退する原因は?

日本の大学の研究力が衰退する原因はいくつかあり、いろいろな意見もありますが、誰もが納得する最大の原因の1つが予算の削減です。東京大学、京都大学などの日本を代表する国立大学は、その予算の多くは税金です。2005年度から国から国立大学へ配分される運営費交付金を、毎年1%削減する政策が進められています。つまり、これまでに十数%も2005年度比で運営費交付金が削減されているわけです。

大学によって収入の内訳・構成比は異なりますが、多くの国立大学で運営費交付金と授業料が主要な収入源です。その運営費交付金が減り続けているわけですので、他の収入源を育てなければ大学運営そのものが成り立たなくなります。すでに多くの国立大学の授業料の値上げが行われており、私立大学との差は小さくなる一方です。当然、運営費交付金の減少を授業料の値上げだけで補うことはできず、毎年いろいろなリストラや、これまで大学から無償で教員に提供されていたサービス等が課金されるようになっています。

多くの大学で、教員が定年で退官となっても、その学部・学科で補充の教員を採用しないケースもかなり聞きます。理系の大学では、研究活動をしなければ卒業論文・修士論文・博士論文の研究指導を行うことができませんので、通常は、大学から指導教員に最低限の研究費が配分されます。その額も非常に少なく、外部から研究費を獲得しないと十分な研究活動ができないレベルです。そのわずかな大学から指導教員に配分される研究費でさえ、「ゼロ」となった国立大学も地方ではあるようです。学生の視点から見たら、授業料を払って大学に入り、4年生になってから研究室に配属されたのに、最低限の研究活動ができる研究費さえ大学から与えられないわけですので、ちょっと信じられない事態でしょう。

指導教授となると、大学のキャンパス内に学生を指導するための部屋を与えられます。理系の場合は研究活動をするため、その場所が無いと研究指導ができないからです。これは当たり前という気がしますが、最近はこの部屋の賃借料を教員に支払うように要求する大学もあります。正直言って驚きです。

また国立大学では、国関係の予算を文科省や経済産業省などから獲得して活動する研究室が多くあります。この研究費も、「優秀な研究をしているところに重点的に配分する」との方針により、若手の有望な研究者には獲得しにくくなっています。ノーベル賞つながるような新しい研究成果は、若い頃の新鮮な発想によることが多く、若手が十分にアイデアを試せないようでは衰退していく可能性は高いでしょう。


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日本の大学で研究する優秀な人材は減っていく?

定年まで在籍できるいわゆるパーマネントの教員でさえ補充されないわけですので、有期で採用されている若手の研究者は期限が来てしまったら大学に残れない可能性が極めて高いです。大学の世界では、何らかの業績を上げて有名になった教員が、連続して大きな金額の研究費を国から獲得する傾向が強いです。大型の予算の研究プロジェクトでは、当然のことながらリーダー1人で活動できるはずはなく、多くの若手の研究員が雇用されます。通常は有期の雇用で、成果を上げても雇用が継続されないことが多いです。このことも前述のノーベル賞受賞者が懸念する点です。

このような有期の研究者は、通常はトップ層の大学の大学院博士課程まで修了し、博士号を取得しています。これほどの高学歴で、最高学府の頂点まで授業料を払って進学したのに、あまりにも不安定な職で、さらに給与・待遇も良くなかったりすることが多いです。そのような不遇な研究者が多数大学にいますので、その方々を近くで見た後輩の多くは博士課程進学を選択しなくなります。これは当たり前でしょう。その結果、優秀な若手が大学の研究に従事しなくなってしまいます。

このままでは日本の大学の研究力が衰退することは避けられませんし、すでにそのような状況になっています。

まとめ

最近は多くのメディアで大学の研究力が衰退していくことに警鐘を鳴らしています。大学の外の人々もその惨憺たる状況を知るようになってきましたので、大学の関係者にとっては「今さら」「もはや手遅れ」と言ったところでしょう。少しでも大学が良い方向へ進むことを祈ります。

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