リチウムイオン電池材料のメーカーとシェア!中国勢の躍進!

電気自動車 テクノロジー

リチウムイオン電池(LIB、リチウムイオンバッテリー)は、現時点では製品レベルでもっとも高性能な2次電池です。スマホやノートパソコンなどのモバイル機器がこれほど便利になり、普及しているのもリチウムイオン電池が果たしている役割が大きいです。

環境負荷の低い自動車としてこれからの本格的普及が期待されている電気自動車(EV)の電池も、リチウムイオンバッテリーが主流です。次世代の全固体電池の研究開発も進められていますが、本格的な普及にはしばらく時間がかかりそうです。

これだけ世界中で広く使われる製品に搭載されるバッテリーですので、リチウムイオン電池産業は大きく、今後も成長していく
と予想されます。リチウムイオン電池も日本で初めて製品化し、産業として育って来たのですが、韓国・中国勢の猛烈なキャッチアップを受け、シェアを奪われて行きました。

車載用リチウムイオン電池については、こちらの記事「車載用リチウムイオンバッテリーの日本メーカーの動向!」で紹介しています。ここではリチウムイオン電池の材料(部材)について紹介します。

スポンサーリンク

リチウムイオン電池材料のメーカーとシェア

リチウムイオン電池は、高い性能を発揮するために多くの専用の材料(部材)が研究開発されています。特に主要4部材と呼ばれるものが重要です。それらは以下です。

1.正極材
2.負極材
3.電解液
4.セパレーター

これらの部材を他の物に交換しただけで大きくリチウムイオン電池の性能が変わってしまうほどの影響を与えますので、優れた部材を独占的に製造販売できるメーカーは、業界で強いポジションを獲得できることになります。

矢野経済研究所によれば、2018年のリチウムイオン電池主要4部材世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、約2兆1400億円と推計されています。リチウムイオン電池そのものが増産されていますので、使用される部材の市場も当面は大きく増加する見込みです。

スマホやパソコンのリチウムイオン電池は数量は膨大です。しかし、車載用リチウムイオン電池は、自動車を長距離動かすほどの電力を溜めますので、その容量は非常に大きいです。つまり、電気自動車を国を挙げて推進しようとしている中国では、リチウムイオン電池メーカーと部材メーカーの成長が著しいです。

2018年時点でも、リチウムイオン電池主要4部材の出荷数量ベースでは、中国メーカーが過半数を占めており、日本勢の劣勢は否めません。さらに詳しく見てみます。

リチウムイオン電池の正極材

リチウムイオン電池の正極材としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)が広く使われていますが、希少元素のコバルト(Co)のコストが7割を占めると言われ、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、リン酸鉄(FePO4)を用いたものが開発されています。

まだ発展段階であり、新しく優れた材料を開発すれば、シェアを伸ばせる可能性があります。そのため現在大きなシェアを持っていても、新材料の登場でシェアが大きく動く可能性もあります。基本的には無機化合物の微粒子であり、無機化学が得意なメーカーであれば参入のチャンスがありそうです。

ある程度材料が開発されてしまえば技術的な差別化が難しく、中国勢のキャッチアップを許してしまいやすい可能性はあります。

出荷数量ベースでは、中国メーカーのシェアは63.6%(2018年)と推定されています。日本メーカーは、日亜化学、ユミコア、戸田工業/BASF連合などがシェアを獲得しているようです(*詳細なシェアは不明)。正極材の原料を製造している日本メーカーもあります。

スポンサーリンク

リチウムイオン電池の負極材

リチウムイオン電池の負極材料には、カーボン系の材料が主に使われています。出荷数量ベースでは、中国メーカーのシェアは74.0%(2018年)と推定されています。

日本メーカーは、日立化成、三菱ケミカル、JFEケミカルなどがあります。負極材の原料を製造している日本メーカーもあります。例えば東海カーボンは、自社のサイトで「三菱ケミカル株式会社経由で、大手電池メーカーに負極材を供給」と掲載しています。

インターネットで「リチウムイオン電池 負極材」と検索すると、電池メーカーに納入するメーカー以外にも、負極材メーカーに原料を納入するメーカーも表示されます。また電池メーカーの製造プロセスによっては、どこまで加工したものを調達するのかも変わる可能性がありますし、どこまでを負極材メーカーというのかは少々わかり難い印象を受けます。このことが負極材のシェアを調べてもいろいろなものが出てくる原因の1つかもしれません。

リチウムイオン電池の電解液

リチウムイオン電池の電解液には、有機溶媒系電解液が使用されています。三菱ケミカルのサイトでは、同社の製品「ソルライト」について、主溶媒はエチレンカーボネートなどの有機溶媒、電解質としてLiPF6などのリチウム塩を使用していると記載されています。

出荷数量ベースでは、中国メーカーのシェアは69.7%(2018年)と推定されています。

日本メーカーでは、大手である三菱ケミカルと宇部興産が、電解液の事業を分割し、合弁会社「MUアイオニックソリューションズ株式会社」を2020年10月1日に設立することを発表しています。持株比率は、三菱ケミカル80%、宇部興産20%です。これまでのように単独で成長を目指さないことから、国際的な競争の厳しさが感じられます。

リチウムイオン電池のセパレーター

リチウムイオン電池のセパレーターには、ポリエチレンやポリプロピレンなどのフィルムが使用されています。出荷数量ベースでは、中国メーカーのシェアは56.7%(2018年)と推定されています。

日本メーカーでは、旭化成が世界シェアトップです。東レ、宇部興産、三菱ケミカル、住友化学、帝人などが参入しています。高品質のポリマーのフィルムを製造する技術は、日本勢が高い技術力を有しています。そのことが主要4部材の中でもトップシェアを日本勢が維持している要因でしょう。

*日本経済新聞のサイトで2020年8月13日に公開された記事によると、リチウムイオン電池の絶縁体(セパレーター)で2018年に世界首位であった旭化成が、中国の上海エナジーに抜かれて2位に後退しました。2018年に同3位であった東レも韓国SKアイイーテクノロジーに追い抜かれ4位に後退しました。2019年のセパレーターの世界出荷量は21%増えています。上海エナジーは、中国の自動車メーカーや上海に向上をもつ米国テスラ向けのシェアを拡大しました。中国のメーカーが、国内で部材を調達する動きも背景にあるようです。

まとめ

リチウムイオン電池の主要4部材について、中国勢のシェアと主要な日本メーカーについて紹介しました。日本で生まれ大きく育った産業が中国に奪われるという現象が、液晶ディスプレイだけでなく、リチウムイオン電池でも進んでいます。

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました