ディスプレイ業界動向2020年1〜3月期!サムスン、LG、日本勢は?

絶景 液晶

ディスプレイ業界は、韓国・台湾勢の猛攻により日本勢が苦境に陥りました。現在はその韓国・台湾勢でさえ中国勢の猛烈なキャッチアップに苦境に陥っています。このような展開は、中国国内で複数の大型ディスプレイパネル工場が建設され始めた頃から予想されていたものですが、それにしても実際にこのような状況になってみるとある種の恐怖を感じます。

できるだけ冷静に、業界各社の決算情報などから直近のディスプレイ業界の動向を確認してみましょう。以下に紹介します。

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サムスンとLGの動向

サムスン電子(Samsung Electronics Co., Ltd.)

サムスン電子が2020年4月29日に発表した2020年1〜3月期の決算は、売上高は6%増の55兆3300億ウォン、純利益は3%減の4兆8800億ウォンでした。

ディスプレイ事業の営業損益は2900億ウォンの赤字で、前年同期の5600億ウォンの赤字よりも赤字幅は縮小したものの、赤字に終わりました。テレビ用大型液晶パネル生産は収益が悪化し、2020年内に撤退することを決めています。

スマホ用の中小型有機ELパネルは高いシェアを維持していますが、顧客の中国のスマホ工場閉鎖に伴い有機ELパネルの需要減が続いています。

ディスプレイ事業が赤字でありながらも、純利益が黒字となっているのは、スマートフォン事業と半導体事業です。

2020年1〜3月期のスマートフォン事業の営業利益は前年同期比17%増の2兆6500億ウォン(約2320億円)でした。半導体事業の営業利益は前年同期比では3%減の3兆9900億ウォンで、売上高は22%増の17兆6400億ウォンでした。

ディスプレイ事業が赤字に陥っても、会社全体として耐えられるのはスマートフォン事業と半導体事業がまだ収益に貢献できているからで、ここが同社の強みでもあります。

しかし、中核事業であるディスプレイ事業については、リストラで止血するだけでなく、テレビ用大型パネルのQD-OLEDなどの新規ディスプレイを軌道に載せられるか否かが重要となるでしょう。

LG電子(LG Electronics Incorporated)

LG電子が2020年4月29日に発表した2020年1〜3月期の決算は、売上高は前年比1%減の14兆7278億ウォン、営業利益は21%増の1兆904億ウォン、連結純利益は前年同期比88%増の1兆867億ウォン(約950億円)でした。

主力の白物家電が韓国国内で好調。テレビ事業は液晶テレビを縮小し、有機ELテレビの拡販に注力したことで収益に貢献しました。

スマートフォン事業は依然として再建中です。売上高が34%減の9986億ウォン、営業損益が2378億ウォンの赤字(前年同期は2035億ウォンの赤字)と赤字幅が拡大しました。中国の生産委託先の工場停止などが響いたとのことです。

LGグループ内のLGディスプレーの2020年1〜3月期の決算は、売上高は前年同期比20%減の4兆7240億ウォン、営業損益は3620億ウォンの赤字(前年同期は1320億ウォンの赤字)、連結最終損益は1990億ウォン(約170億円)の赤字です。

両社のディスプレイ用パネル事業を比較してみます。

大型テレビ用パネルについては、有機ELパネルをLGディスプレーが独占的なシェアを築いていて攻勢にあるのに対し、サムスンはこれからQD-OLEDに注力する状況です。

両者ともテレビ用液晶パネル生産からは撤退する方向です。シャープがサムスンに液晶パネルを供給することが報道されています。サムスンとLGの液晶パネルシェア分の生産が無くなった時に、日本と台湾の液晶パネル製造メーカーにプラスの効果があるのかどうか、今後の動向を注視したいです。

スマホ用の中小型ディスプレイについては、サムスンが有機ELパネルで圧倒的なシェアを維持しています。LGディスプレーも参入していますがシェアはサムスンの10分の1にも達していません。液晶パネルについては、高価格帯のスマホが有機ELパネルを採用しつつあること、中国勢のシェアが拡大していることもあり、収益が厳しくなっています。サムスンはすでに撤退しています。LGが中小型液晶パネル事業を継続するのか注視したいです。

友達光電(AUO)の動向

友達光電(AU Optronics Corp.)

友達光電が2020年4月30日に発表した2020年1〜3月期の決算は、売上高が前年同期比約2割減の536億台湾ドル(約1900億円)、最終損益は49億台湾ドルの赤字(前年同期は36億台湾ドルの赤字)でした。中国勢の増産攻勢により、液晶パネル価格が低下したことが収益に打撃となったようです。

4月以降は、在宅勤務などの増加でパソコンやタブレットの販売が伸びていることもあり、これら用の液晶パネルの需要が伸びているとのことです。


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ソニー、パナソニック、シャープの動向

ソニー(SONY)

ソニーは2020年5月13日に2020年3月期の連結業績を発表しました。売上高は前年同期比5%減となる8兆2599億円。営業利益は同488億円減の8455億円、当期純利益は3341億円減の5822億円、減収減益となりました。

テレビ事業とスマホ事業を行っているのが「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」です。この分野の2019年第4四半期の売上高は、3294億円の大幅減収です。為替の影響とスマートフォンとテレビの販売台数減少の影響がありました。特に新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きいです。

営業利益は108億円増益の873億円です。為替の影響はマイナス230億円とのことです。モバイル・コミュニケーションにおける費用の削減などが貢献しているとのことです。

パナソニック(Panasonic)

パナソニックが2020年5月18日に2020年3月期の連結業績を発表しました。売上高が前期比6.4%減の7兆4906億円、営業利益は29%減の2937億円、純利益が20.6%減の2257億円でした。

自動車関連の事業の営業赤字が466億円(前の期は121億円の赤字)で、米国テスラ向けの車載電池事業などが赤字でした。テレビ事業も100億円超の赤字でした。

傘下のパナソニック液晶ディスプレイは、液晶パネルの価格下落により採算が悪化し、赤字が続いていました。2021年を目処に撤退すると発表されています。

パナソニックは、このように赤字事業からの撤退を進めています。したがって、テレビ事業についても何らかの戦略変更をしていく可能性が高そうです。

シャープ(Sharp)

シャープは2020年5月8日に2020年3月期の連結業績を発表しました。売上高は5%減の2兆2700億円、営業利益は38%減の520億円、連結純利益が前の期比73%減の200億円になりました。コロナウイルスの影響で、納入先の工場が稼働停止になるなどし、主力の液晶パネルが販売不振となったことが減収減益の要因となりました。

シャープの液晶テレビ「アクオス」は、日本国内では台数ベースでトップシェアですが、金額ベースではソニーとパナソニックに抜かれました。ハイエンドのテレビが有機ELテレビが人気となったのにかかわらず、これまでは有機ELテレビを販売していなかったことと、液晶テレビの価格が下がったことが響いたようです。

シャープは5月から有機ELテレビを投入し、金額ベースでのシェア奪回を狙います。またシャープは、親会社の鴻海精密工業の力により、中国国内でもシャープブランドのテレビを販売していますが、中国でも販売台数を伸ばすために安売りを行い、ブランドイメージを毀損してしまいました。今後はブランドのイメージの向上の努力をするとのことです。

またシャープが以前ハイセンスに譲渡してしまった米国市場でのシャープブランドの使用権を取り戻し、米国市場への再参入を狙うとのことです。

サムスンへの液晶パネルの供給も始め、液晶パネル事業の採算改善を進めていくようです。

BOE、ハイセンスの動向

BOE(京東方科技集団股份有限公司、BOE Technology Group Co., Ltd.)

中国パネル大手のBOEが2020年4月28日に発表した2019年12月期決算は増収減益でした。売上高は前の期に比べて19%増の1160億5900万元、純利益が同44%減の19億1800万元。中国大陸の売上比率は51%でした。

2020年1~3月期決算は、売上高は2%減の258億7900万元、純利益が前年同期比46%減の5億6600万元(約86億円)でした。中国政府は新型コロナウイルスの拡大中も重点企業として強力な支援をしており、多くの工場が稼働を継続できました。しかし、従業員の安全を確保しながら工場をかどうしたためコストが増加したようです。

中国の市場調査会社、群智諮詢(Sigmaintell)の報告によると、2019年のテレビ向け液晶パネルの出荷枚数ベースの世界シェアで、BOEが初めてLGディスプレーを抜いてトップになりました。LGは韓国内の液晶パネル生産の撤退を表明していますので、両社の差はさらに広がっていく可能性が高そうです。

BOEが世界初の10.5世代工場のフル稼働を実現し、テレビ向け液晶パネルの生産能力を前年比20%以上伸ばしています。特に大型の65インチと75インチの出荷枚数は共に世界首位です。

他の中国勢では、TCL集団傘下の華星光電(CSOT)が5位、恵科(HKC)が7位、成都中電熊猫顕示科技が8位となりました。

ハイセンス(海信集団Hisense Group Co.,Ltd.)

2020年1〜3月期の純利益が前年同月比70〜100%減になった模様です。新型コロナウイルスの影響で、都市封鎖などが行われたことによる販売不振が影響したようです。

ハイセンスは、2017年11月の東芝映像ソリューションの株式の95%を譲渡されたことから、日本国内で東芝REGZAブランドのテレビを販売できるようになりました。また東芝映像ソリューションの技術を活用し、ハイセンスブランドのテレビの性能も飛躍的に向上し、価格も安いことから日本市場での売上を伸ばしています。日本のテレビ市場での台数ベースのシェアでは、ハイセンスと東芝を合わせると、ソニーとパナソニックを追い抜いて第2位です。

かつてサムスンやLGが、日本のテレビ市場への参入を試み、苦労していたことを思えば、東芝映像ソリューションを買収するというハイセンスの戦略は大成功と言えるでしょう。

IHSマークィットの調べによると、2019年の金額ベースでの世界市場でのテレビシェアは、第1位がサムスン電子(30.9%)、第2位がLG電子(16.3%)、第3位がソニー(9.4%)、第4位が同率でハイセンスとTCL集団(6.4%)でした。

まとめ

韓国、台湾、日本のディスプレイパネルメーカーおよびテレビ、スマホメーカーの、2020年1〜3月の業績を中心にその動向を紹介しました。まだ決算が発表されていない企業もあるため、今後さらに追記していきます。

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