車載用リチウムイオンバッテリーの日本メーカーの動向!

電気自動車 テクノロジー

リチウムイオンバッテリー(LIB)は、優れた性能の電池で、スマホやノートパソコンに広く利用されています。そして普及が期待されている電気自動車(EV)やハイブリッドカー(HEV)の駆動用電池として欠かせないものとなっており、多数のメーカーが生産しています。

リチウムイオンバッテリーも日本で花開いた産業であり、巨大な産業に成長し、さらなる成長が期待される産業です。しかし、大きな産業になればなるほど、参入企業も多くなり、特に韓国勢と中国勢のキャッチアップも激しくなります。液晶パネル産業と同じような展開が起こってしまうのか懸念されますが、どのような状況なのでしょうか?以下に紹介します。

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車載用リチウムイオンバッテリーの日本メーカーの動向

リチウムイオンバッテリーは、2019年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏で知られているように、旭化成らの日本企業が1980年代初頭から研究開発を進めてきました。そして1991年に、ソニーが世界で初めて小型リチウムイオンバッテリーを量産しました。現在のスマホやノートパソコンなどの普及に大きく貢献したバッテリーであることは、多くの人が認めるところです。

世界初の量産ハイブリッドカーであるトヨタの初代プリウスには、駆動用バッテリーとしてニッケル水素電池が搭載されていましたが、現行型のプリウスにはリチウムイオンバッテリーが搭載されています。現在はハイブリッドカーの車種も増え、日本ではかなり普及しており、リチウムイオンバッテリーが主流です。

電気自動車も世界的に販売されていますが、リチウムイオンバッテリーが主流です。電池としての基本性能、価格性能比などから考えて、ベストな選択だからです。

そのためリチウムイオンバッテリーの市場は、将来的にも有望視されており、多くのメーカーが参入し、すでに淘汰が始まっています。かつては日本メーカーの独壇場でしたが、韓国勢と中国勢の猛攻により、シェアを奪われてきています。特にモバイル機器向けのリチウムイオンバッテリーは競争が激化し、世界で初めて製品化に成功したソニーは村田製作所に事業を売却しています。

これからは車載用リチウムイオンバッテリーの成長性が高いと予想され、日本勢も注力しています。2019年時点でもパナソニックが、シェアトップの地位を中国・寧徳時代新能源科技(CATL)と競っているようです。ジーエスユアサもホンダおよび三菱自動車とそれぞれ合弁事業を進めています。東芝は、スズキと簡易ハイブリッドシステム用のSCiB電池の事業を進めています。

これまでに世界でもっとも多く販売された電気自動車は、日産自動車のリーフです。そのリーフに搭載されていた車載用リチウムイオンバッテリーを生産していたのが、日産自動車とNECの合弁会社であるオートモーティブエナジーサプライ(AESC)です。出資比率が日産自動車が51%、NECグループが49%でした。この会社が中国系で再生可能エネルギー事業を手がけるエンビジョングループに、2019年3月末に売却されました。NECは電池用部品を手がけるNECエナジーデバイスも売却します。これにより車載用リチウムイオンバッテリーを手掛ける日本メーカーの一角が無くなり、中国勢となりました。

関連記事:パナソニックの車載電池事業は成功する?トヨタとテスラとは?

車載用リチウムイオンバッテリーの中国の動向

日本国内では、環境負荷の低い自動車としてはハイブリッドカーが主流です。海外では日本よりもハイブリッドカーの普及率が低いので、ガソリン車およびディーゼル車からハイブリッドカーに乗り換えるだけで、化石燃料の消費削減と地球温暖化ガス排出削減につながるはずです。しかし、ハイブリッドカーは日本勢が圧倒的に強いこともあり、電気自動車の普及を促すような規制を導入する国が増えています。自動車産業は規模が大きく、経済への影響が大きいため、自国の産業政策との関係でできるだけ有利に進めたいとの思惑があるためと考えられます。

電気自動車の普及に力を入れている国の1つが中国です。中国は市場規模が大きいため、自動車メーカーおよび車載リチウムイオンバッテリーメーカーとしても重要です。そのためパナソニックは、パナソニック オートモーティブエナジー大連としてリチウムイオンバッテリー工場を開所し、トヨタ自動車とホンダおよび中国の電気自動車メーカーへの供給を視野に入れて活動していました。また韓国のサムスンSDIとLG化学も、2015年に西安市と南京市にそれぞれ工場を建設しています。

ところが2017年に中国政府が「バッテリー模範基準認証」というものを導入し、中国メーカーのリチウムイオンバッテリーを搭載した電気自動車の購入時には補助金が出されるという状況になりました。これを契機に韓国勢は、欧州に拠点を建設します。

日本勢は、日本の自動車メーカーとそれぞれ協力して車載用リチウムイオンバッテリーの事業を進めており、日本の自動車メーカーの電気自動車が売れれば事業としても継続できるのではないかと予想されます。

このような中国政府の政策により、200社近い中国のリチウムイオンバッテリーメーカーが存在しているようです。しかし、2020年に中国政府による電気自動車購入時の補助金が打ち切られる予定で、淘汰が急速に進むと予想されます。中国勢は、CATL、BYD、AESCが中心となる見込みです。日本勢にとってもチャンスが訪れる可能性があるでしょう。


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車載用リチウムイオンバッテリーの日本メーカーの将来は?

パナソニックは、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、テスラと協力関係にあり、特にトヨタ自動車とは「プライム プラネット エナジー&ソリューションズ株式会社」という合弁会社を設立しましたので、足場を固めている印象を受けます。車載用リチウムイオンバッテリーは、電気自動車者だけでなく、前述のようにハイブリッドカーにも搭載されますので、ハイブリッドカーで圧倒的に強いトヨタ自動車と合弁できるのは大きいでしょう。

ジーエスユアサ(GSユアサ)は、ホンダと合弁会社ブルーエナジーを2009年4月1日に設立しました。出資比率はGSユアサ51%、本田技研工業49%です。同合弁会社が2021年以降のハイブリッドカーの需要拡大に対応するため、車載用リチウムイオンバッテリーの工場新設を発表しました。また三菱自動車および三菱商事とは、2007年に合弁会社リチウムエナジージャパンを設立しています。出資比率はGSユアサ51%、三菱商事46%、三菱自動車工業3%です。パートナーの自動車メーカーの販売が伸びれば、事業として戦っていけるでしょう。

リチウムイオンバッテリーメーカーの視点で見ると、車載用としてもう一つ大きな圧力があることも知っておきたいです。例えば、日本の大手自動車メーカーに部品を納入する企業においても、毎年値下げの圧力があり、数年間でどこまで価格を下げるといった価格目標を設定されることはよく知られています。

その要求を満足できるメーカーがどこにも無ければ良いのですが、どこか1社がその目標を達成すると、それは必達目標になると考えられます。現時点で電気自動車が普及しない理由の一つが、価格が高いことであり、中でもリチウムイオンバッテリーの価格が高いことが最大の原因です。したがって、自動車メーカーとパートナーシップを構築しても、当面はかなりのコスト削減努力を強いられることは間違いありません。その圧力に耐えきれないところは淘汰されることになるでしょう。

まとめ

車載用リチウムイオンバッテリーメーカーの動向について紹介しました。国際的な競争の激しさと中国市場への対応の難しさを痛感します。

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