有機EL・液晶パネルシェアと中国勢の猛攻に苦しむLGとサムスンとJDI

ソウル 有機EL

かつて日本の液晶パネル産業を苦境に追い込んだ韓国サムスンとLGが、中国勢の猛攻により存亡の危機に瀕していることは、すでの本ブログの別の記事でも紹介しました。本記事では有機ELパネルと液晶パネルの主要4分野におけるシェアとともに再度紹介します。

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有機EL・液晶パネル:大型テレビ用パネル

大型液晶パネル

中国勢がもっとも攻勢を強めているのが「大型液晶パネル(10インチ以上)」分野です。2019年の金額ベースの世界シェアは以下のようになっています(*以下のシェアデータはすべてDSCC調べ)。

市場規模:516億ドル

第1位 LGディスプレイ(韓国) 24.2%
第2位 BOE(中国) 19.7%
第3位 AUO(台湾) 12.9%
第4位 イノラックス(台湾) 11.8%
第5位 サムスン(韓国) 9.3%
第6位 華星光電(中国) 6.9%
第7位 シャープ(日本) 5.6%

LGディスプレイは2019年時点で大型液晶パネル市場で、ダントツの首位なのですが、それでも最悪の営業損失1兆3594億ウォンを記録しています。中国勢の大量生産と低価格により、トップのLGディスプレイでさえ赤字になることに深刻さが現れています。

LGディスプレイは韓国国内での液晶テレビの生産を2019年中に中止すると発表しました。大型液晶パネルおよびテレビ事業を縮小し、大型有機ELパネルに注力する方針ですが、大型液晶パネル事業の構造改革が遅れ、巨額の赤字となったようです。

サムスンもかつてはもっと大きなシェアを持っていましたが、テレビ用液晶パネル事業の縮小・撤退を進めてきており、第5位のシェアまで交代しています。これは、縮小・撤退が迅速だったことを表しているようです。

シャープがサムスンとの取引を再開するとの報道がなされていますが、韓国勢だけでなく、台湾勢の赤字である状況で、どのように液晶パネル事業を進めていくのか注目したいです。

大型有機ELパネル

市場規模:28億ドル

第1位 LGディスプレイ(韓国) 90.1%
第2位 サムスン(韓国) 9.5%

テレビ用大型有機ELパネルの分野では、まだ圧倒的に韓国勢が強く、特にLGディスプレイがほぼ独占的に製造・供給しています。そのためLGディスプレイも、大型有機ELパネル事業にもっとも力を入れていくことを表明しています。

サムスンは、QD-OLEDに注力していくことを表明していますので、同じくこの分野で中国勢と勝負していくことになります。

技術的な差別化・実績などから、韓国勢が大型有機ELパネルに注力するのは自然な流れですが、問題は大型液晶パネルの市場規模に比べて小さいこと。液晶パネルの生産能力と低価格化により、当面は液晶テレビが主流であることは間違いありません。韓国勢にとっては、中国勢が追いついてくる前にどれだけ有機ELテレビの価格を下げ、販売量を伸ばすことができるのかが鍵となります。

有機EL・液晶パネル:中小型パネル

スマホやタブレットなどに使われる10インチ以下のパネルを「中小型パネル」としています。

中小型液晶パネル

市場規模:295億ドル

第1位 JDI (日本) 16.7%
第2位 BOE(中国) 14.6%
第3位 天馬微電子(中国) 13.8%
第4位 シャープ(日本) 12.1%
第5位 LGディスプレイ(韓国) 11.4%

日本のディスプレイパネル産業の最後の砦であるJDIが首位をキープしていますが、価格低下とスマホの有機ELシフトに苦しみ、経営不振になっていることは広く知られています。ここでも中国勢の猛攻により、シェアトップでも利益を出すことが難しくなっています。

中小型有機ELパネル

市場規模:251億ドル

第1位 サムスン(韓国) 82.6%
第2位 LGディスプレイ(韓国) 7.2%
第3位 BOE(中国) 4.4%

まず注目すべきは、中小型有機ELパネルの市場規模が、ほぼ中小型液晶パネルの市場規模と同程度まで大きくなっていること。AppleがiPhone Xから有機ELパネルを採用したことから、スマホでは有機ELパネルの採用が増えています。

サムスンは業界でもっとも早くからスマホ用中小型有機ELパネルの開発を進め、事業化に成功し、ここまで事業を拡大してきたことから、技術・生産技術の点でも他社をリードしています。

Apple向けのスマホ用パネルに注力してきたJDIとしても、中小型有機ELパネル事業を育成していかないと厳しいでしょう。

これまでのディスプレイ業界の興亡を見ても、事業を縮小する国からキャッチアップしてくる国へ人材も奪われました。韓国から中国へ技術者が流れれば、技術の流出も速いかもしれません。

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液晶と有機ELの行方とその先は?

液晶パネル事業については、中国勢が覇権を握ることはもう誰の目にも明らかです。多くのテレビメーカーが中国の液晶パネルメーカーから、液晶パネルを調達することになるでしょう。スマホ用の中小型についても中国勢の攻勢が激しいですが、ハイエンドスマホ用のパネルに有機ELが採用されることの影響の方が大きいかもしれません。

その点、中小型の有機ELパネルについてはしばらくサムスンが強い状況が続きそうです。しかし、LGディスプレイがiPhone向けに有機ELパネルの製造を開始していること、シャープは自社のスマホに自社で製造した有機ELパネルを採用していることなどから、他社も必死にサムスンとの差を縮めようと努力してくるでしょう。BOEもますます攻勢を強めてきますので、サムスンの優位がいつまで続くのかわかりません。

このように見てみると、巨額の投資を必要とするディスプレパネル産業において、国家の強力な助成を得てキャッチアップしてくる中国勢は、多くの民間企業ではとても真っ向勝負ができないような相手なのかもしれません。基本戦略としては、中国勢が作れないような技術的な難易度が高いものに挑戦するしか無く、韓国勢はマイクロLEDなどを有機ELの次に想定しています。

しかし、技術的に難しいことをしたら最終製品の魅力がアップするとも限らず、また研究開発リスクも高くなることから、先が見通せない状況です。高画質の有機ELパネルを中国勢が安価に作れるようになった時に、中国以外のディスプレイパネル産業は終焉を迎えるのでしょうか?その答えはまだ誰にもわからないでしょう。

まとめ

有機ELと液晶のシェアから見た韓国勢と中国勢、日本勢、台湾勢の状況を紹介しました。ディスプレイ産業は規模が大きいため、関係する国々の経済状況に及ぼす影響も大きいですね。

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