サムスンが大型液晶パネル生産から撤退!量子ドット有機ELに注力!

液晶

韓国サムスン電子が、2020年3月31日に、テレビ用大型液晶パネル生産から撤退する方針が明らかになりました。ついにこの日が来ました。今後は量子ドット有機EL(QD-OLED)に注力するとのことですが、その成否はどうなのでしょうか?以下に紹介します。

スポンサーリンク

サムスンが大型液晶パネル生産から撤退

現在は、液晶ディスプレイなどの薄型ディスプレイがテレビに用いられ、かつてのブラウン管テレビをすっかり置き換えてしまいました。その契機をつくったのが2001年に発売開始となったシャープのアクオスです。2000年代前半までは、液晶パネルおよび液晶テレビ業界においても、日本勢が強かったのですが、その後、韓国勢と台湾勢の猛追により、苦境に追い込まれます。

その中でも韓国サムスンはもっとも強いメーカーで、日本勢を苦境に追い込んだ海外勢の象徴的な存在でした。しかし、時が流れて、中国勢が国からの強力な助成を受けて、猛烈な勢いで大量生産と低価格化を進めてきました。特に液晶については技術が成熟してきたこともあり、差別化が困難になり、厳しい事業環境となっています。

液晶ビジネスを、液晶パネル事業と液晶テレビ事業に分けて考えると、特に液晶パネル事業の方が後発で最新の製造設備を導入している中国勢に対して対抗手段が限られており、早い段階で厳しくなっています。2019年の事業においても韓国サムスンとLGのいずれも赤字、台湾のAUOとイノラックスも赤字です。中国BOEの猛攻が脅威となっています。

液晶パネル事業は、製造する液晶パネルの性能面で大きな差別化ができない限りは、巨額の投資をして大量生産し、製品のコストを下げる競争になりやすいです。BOEの製造する液晶パネルの性能も向上していますので、巨額の助成を受けている中国勢に対して勝機が無いと判断しての撤退です。

かつて日本勢を打ち負かした韓国勢が、今度は中国勢に打ち負かされる状況になったわけです。

スポンサーリンク

サムスンは液晶パネルを外部調達している

テレビ市場全体を見れば、まだまだ台数は伸びていますし、買い替え需要もあります。有機ELテレビも売れ始めていますが、そのシェアは小さく、圧倒的に液晶が主流です。現在の液晶パネル工場と有機ELパネル工場の生産能力から考えても、当面は液晶が主流であることは間違いありません。また液晶パネルの価格低下から、液晶テレビの価格も下がり、液晶テレビを求める低所得層も非常に多いです。

そのような状況で、サムスンも多くの液晶テレビを販売していますが、これまでも低価格帯の液晶テレビほど中国と台湾から液晶パネルを調達しています。それでも利益を出すことが難しくなっています。

またハイエンドの製品には量子ドットディスプレイである「QLED」を投入していますが、他の競合メーカーの有機ELテレビに対して劣勢で、ビジネス的に苦境にあります。

サムスンは、テレビ事業およびそこに使用するパネル事業で中国勢に対抗するために、中国勢を上回る性能のパネルを開発し、それを搭載した魅力的なテレビを開発する戦略を選択しました。次項で紹介します。


スポンサーリンク

サムスンがQD-OLEDに投資?!

韓国サムスンは、2019年10月10日に、テレビ向け次世代ディスプレイパネルの量産に13兆1000億ウォン(約1兆2000億円)投資すると発表しました。次世代ディスプレイパネルとは、「量子ドット有機EL(QD-OLED)」と見られています。

サムスンは、CES2019で、少数の業界関係者を対象に65インチのQD-OLEDの試作品を展示しています。液晶テレビ事業が過当競争による価格下落のために利益を上げることが難しくなり、有機ELシフトが進んでいます。これらのことからQD-OLEDに注力すると考えられているようです。

公式な発表が行われるまで、ディスプレイおよびその技術の詳細はベールに包まれていますが、基本的には青色の有機ELパネルに赤色と緑色用のQDをサブピクセルごとに配置し、フルカラー表示をする構造と考えられます。サムスンはこれまでにQLEDとして、量子ドットフィルムを搭載した液晶ディスプレイの事業を進め、量子ドットの技術も蓄積してきていますので、製品化する力は十分に持っているでしょう。

サムスンは、かつて大型テレビ用パネルを有機ELの蒸着・塗分け方式で製造しようとしましたが、あまりの難しさに断念し、QLEDにシフトしました。今回は青色のみの有機ELパネルをベースにするわけですので、課題は解決できているのでしょう。

サムスンはなぜQD-OLEDに投資するのか?

前述のように、中国勢による液晶パネルの大量生産で供給過剰になり、サムスンが液晶パネルを量産しても黒字化が難しくなりました。サムスンのテレビでも、中国勢の安価な液晶パネルを搭載しているものもあり、サムスンの液晶パネルの生産ラインを止めて生産調整しなければならない状況に追い込まれています。

LGの大型テレビ用有機ELパネルは、引き合いが多く、供給が追い付かない状況です。従来の液晶テレビに比べ、「有機ELテレビ」というだけで消費者に違いがアピールしやすく、実際、LGのみならず、ソニー、パナソニックなど多くのテレビメーカーでプレミアムなテレビとして売れています。

それに対抗して「QLED」と名付けて販売したサムスンの大型テレビは、量子ドットフィルムで色域を拡大したものの、基本的には「液晶テレビ」ということですので消費者へのアピールが弱く、事業としては苦境にあるようです。

そのためサムスンとしても有機ELで大型テレビ用パネルの事業を立ち上げることで、LGに対抗するという狙いです。これにより、韓国勢の大型テレビ用パネルは大きく有機ELにシフトしていくと予想されます。また中国勢も一部の工場を有機ELテレビ用にしていくのではないかと予想され、有機ELでも猛烈にキャッチアップしてくると考えられます。

サムスンのQD-OLEDは成功するのか?

サムスンのQD-OLEDは成功するのでしょうか?現段階では技術の詳細や商品戦略が公開されていませんので、よくわかりません。しかし、「QD-OLED」が本当に量産されるという前提で、いくつか考察してみます。

まずLGのここまでの大型有機ELパネルの事業を見ても、大規模な投資を進め、リスクをとって量産することで急速に価格を下げてきました。これはディスプレイパネルの製造においては常に当てはまることで、大規模な投資をして、大量生産し、それを売り切るということをリスクをとって進めていかなければ成し遂げられません。

LGは、生産が追い付かないほどの受注を獲得できていますが、それでもほとんど利益が出ていません。リスクをとって価格を下げ、テレビにおけるシェアを高め、工場の稼働率を高い水準で維持することを優先したからです。

サムスンはこれから生産ラインを立ち上げ、量産を開始するわけですので、高いリスクを取る必要があります。量子ドットを使用するため、赤色と緑色の有機EL材料は使用しないで済むわけですが、コスト的にどれだけ有利であるのが不明です。

製造方法にも量子ドットをインクジェット方式で使用するなどの工夫が盛り込まれると予想されますが、一歩進んだ高効率の製造方法を導入しないと、先行するLGをキャッチアップすることも難しいでしょう。最終製品として、どれぐらいの優位性がアピールできるのかもポイントとなるはずです。

サムスンから最初の製品がどれぐらいの価格で発売されるかが分かれば、かなり先行きを予想しやすくなるかもしれません。

有機ELパネルと液晶パネルシェアの中国勢の猛攻に苦しむ韓国勢についてこちらの記事で紹介しています。

まとめ

サムスンがついにテレビ用大型液晶パネル生産から撤退し、量子ドット有機EL(QD-OLED)に注力することについて紹介しました。中国勢と真っ向勝負できるディスプレイパネルメーカーは、もはや韓国勢だけなのかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました