シャープがマスクを生産!非常時に明らかになる効率化の功罪

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日本経済新聞(2020年2月29日朝刊7面)でシャープがマスクの生産に乗り出すことが報じられました。シャープと言えば液晶テレビのメーカーとして有名ですので、マスクの生産に乗り出すとは少々驚きました。このことから見えてくる産業動向などについて紹介します。

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シャープが政府の要請をうけてマスクの生産に乗り出す!

新型コロナウイルスの感染拡大により、日本国内のマスクが品薄となり、一般の人のみならず医療従事者にさえ十分な量のマスクが行き渡らなくなりました。中国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、中国国内でのマスクの需要が急増し、大量のマスクを調達したこと、中国国内の多くの工場が休止状態に陥ったことが影響しています。

日本のマスクメーカーは、非常事態であるため24時間体制で通常の3倍の増産を継続しています。2月中旬から中国等からの1千万枚レベル輸入を再開しています。政府は経済産業省から令和元年度予備費「マスク生産設備導入支援補助事業」の募集を行いました。マスクの安定供給を目的としたものです。海外でもこれからさらに感染が拡大し、マスク需要が高まる可能性がありますので、マスクが足らなくなるリスクを考えたらやるべきことでしょう。

そしてこれに応える形でマスク生産に乗り出すのがシャープです。マスク生産設備の導入事業の対象に認定し、3000万円程度を補助する方向です。3月半ばにも1日あたり15万枚の態勢で生産を始め、3月中に販売する見込みです。まず3つの製造ラインで作り始め、最終的には10ラインで1日50万枚まで増やす計画で、マスク市場で数%のシェアとなる見込みです。同社の三重工場の液晶ディスプレイなどを生産するクリーンルームが活用されるとのことです。

水平分業による効率化の功罪

シャープの主力事業である液晶ディスプレイ業界では、熾烈な国際競争の結果、水平分業化が進み、生産拠点が海外へ移転し、国内工場の多くが閉鎖されました。液晶ディスプレイ産業は日本から大きく育ちましたが、韓国・台湾勢の猛攻で苦境に陥りました。現在、国内で稼働している液晶パネル工場もシャープとジャパンディスプレイなどのみで、シャープは鴻海精密工業の参加に入り、ジャパンディスプレイは経営危機にあることを考えると寂しい限りです。日本のディスプレイ産業をここまで追い込んだ韓国勢さえ、国家の後ろ盾を得て猛追する中国勢に追い詰められています。もはや液晶パネル事業と液晶テレビ事業ではほとんど利益が出せない厳しい状況です。

関連記事:中国勢が韓国勢の液晶を滅ぼす時がついに来た?LGは赤字!

これまで日本の工場がどんどん閉鎖され、土地が再活用されてマンションやショッピングセンターなどになっていくのを見てきましたので、今回のシャープがマスク生産に乗り出すとの報道を聞いて少々大げさですが「まだ日本に工場があってよかった」と感じました。もちろんまだまだ日本には工場が多数ありますが、産業構造の変化により、多くの工場が無くなってきたことは事実ですし、さらに工場は減少しますし、人口減少により工場労働者の確保も難しくなります。シャープのクリーンルームのような、工場としての設備・技術力が高い工場に限れば、さらに貴重なものとなっていくでしょう。

効率化のみを考えれば、土地や人件費が安い国へ生産拠点を移していくことが正解となりますが、カントリーリスクや今回の感染症拡大などの突発的な出来事への対応力を考えると、日本で国内で必要とするものを生産できないというのはリスクが大きいでしょう。そう考えると、日本は食料自給率も低いですし、エネルギー自給率も低いので、根本的も解決することはこんなんですが・・・。

そう簡単には「中国で安く生産する」という産業構造は変わりそうもないですが、それでも新型コロナウイルスの影響で中国の多くの工場が休止したことは大きく、リスクヘッジのために生産拠点を分散する動きが出始めています。

また今回のシャープのマスク生産の記事を見ると、生産に乗り出すことが決定してから1ヶ月以内で生産から販売開始まで辿り着けることがわかりました。もちろんすでにある工場のクリーンルームを利用すること、生産品目がマスクであるということも関係していますが、日本で本当の非常事態に必要なものの生産をどのぐらいの期間で開始できるのかということを考える上で、勇気づけられるスピードです。工場および生産に関する高度なノウハウが日本から失われないように願うばかりです。


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商品の販売方法も厳しくチェックされる

日本で新型コロナウイルスの感染者がで始めた頃に、マスクを買い占めて転売して儲けようという人が出てきました。そのような人々の行動により、マスクを必要とする人への供給が滞りました。現在は、経済産業省のホームページでネットオークション事業者に協力を求め、令和2年3月14日(土)以降当分の間、マスク及び消毒液の出品の自粛を要請しています。不当な高値で転売しているような事例が確認されると、事業者の信用も著しく低下することは認識すべきでしょう。多くの人から厳しくチェックされています。

またドラッグストアなどでも、一人のお客が大量にマスクを買おうとした時に、そのまま販売してしまうような配慮のない販売方法を採ってしまうと非難されてしまいます。現在は、多くの店舗で個数制限をしています。それでもまだ十分にマスクが行き渡らないため、政府もメーカーに医療従事者への供給を優先するように要請しているとのことです。

このように生産から販売まで、企業の行動は多くの人にチェックされています。アイリスオーヤマグループは、マスクの生産から販売まで手掛けており、そのような状況に配慮して、数量限定マスクの販売を行う旨をサイトに告知しています。消費者も適切な行動をした企業を高く評価するべきでしょう。

まとめ

シャープがマスク生産に乗り出すという報道から日本の産業構造などについて紹介しました。非常事態には多くに人の理解と協力が必要です。

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