韓国LGディスプレーが液晶パネル生産を中止!今後の動向は?

液晶

本ブログでも中国勢の液晶パネルの大量生産により、韓国勢が苦境に追い込まれている業界動向をお伝えしてきました(「中国勢が韓国勢の液晶を滅ぼす時がついに来た?LGは赤字!」など参照)。そしてついに韓国LGディスプレーによる韓国内の液晶パネル生産の中止が発表されました。今後の動向はどうなるのでしょうか?以下に紹介します。

スポンサーリンク

注目!!
▼ディスプレイ産業・日本の研究開発動向の情報についてはこちら▼
ディスプレイ産業・日本の研究開発動向のまとめ!

韓国LGの液晶パネル生産中止の衝撃!

すでに想定されていたこととは言え、2020年1月31日に、世界の液晶パネル市場の大手である韓国LGディスプレー(LGD)の韓国内での液晶パネル生産中止の発表を聞いた時は、「ついにこの時がきたか!」というような衝撃を感じました。

LGDの19年10~12月期の連結決算は、営業損益が4220億ウォン(約390億円)の赤字で、売上高は8%減の6兆4220億ウォンでした。19年通期の営業損益は1兆3590億ウォンの赤字でした。赤字の最大の原因が液晶パネルの価格下落によるものです。

LGは世界の液晶テレビの販売シェアも大きく、LGグループ内で液晶パネルを生産し、それを自社のテレビに組み込む垂直統合モデルであれば、もっとも利益が出せそうなイメージがあります。しかし、それでも韓国国内で生産した場合は赤字となるため、韓国の坡州(パジュ)にある工場を止めました。テレビ向け液晶パネルの生産をすべて止めるわけではなく、中国広州市の自社工場での生産は継続します。つまり、これまでも低価格帯の機種については、中国で生産した液晶パネルを搭載しています。あまりの液晶パネルの価格下落によって、韓国内での生産ではどうにもならない状況になってしまったわけです。

直近の液晶パネルの市況価格は、LGDの生産中止などがあり、需給バランスが改善しています。オープンセルの1月の大口取引価格は、32型が前月に比べ3%高い1枚33ドル前後となりました。今後も需給バランスが改善する可能性がありますが、新型肺炎の感染拡大などにより景気が低迷し、世界のテレビ販売が落ち込む可能性も指摘されています。供給量を絞っても、それを上回る規模で需要が低迷したら価格は上がらないでしょう。液晶パネル事業の先行きは依然として厳しいです。

韓国LGの液晶パネル生産中止後の動向は?

韓国LGグループによる韓国内の液晶生産が中止されましたが、今後の動向はどうなるのでしょうか?

かつては日本勢を猛烈にキャッチアップし、衰退に追い込んだ強力な韓国勢でも、国家のバックアップを得て強烈にキャッチアップしてくる中国勢には為すすべが無いようです。中国勢の技術水準も年々向上しています。それはかつてはキャッチアップする立場にあった韓国勢ならば誰よりも深く理解できるでしょう。つまり、このまま同じ土俵で戦っていたら勝機が少ないことを理解しているはずです。

基本戦略は中国勢が作れないような魅力的な製品を作ることとしているようです。LGがテレビ向けは有機ELにシフトする理由もそこにあります。それもいずれキャッチアップされることを想定し、すでに中国内に合弁で有機ELパネル工場を建設し、価格低減を進めています。それもある程度の時間的なリードを稼ぐだけになる可能性がありますので、さらにその次の技術であるマイクロLEDディスプレイの研究開発を進めています。


スポンサーリンク

韓国LGの液晶パネル生産中止した工場はどうなる?

公式な発表はまだ確認できていませんが、前述のことから考えても、今回生産中止した韓国の坡州(パジュ)にある工場を再稼働させてこれまでと同じ液晶パネルの生産をする可能性は極めて低いでしょう。

これまでの日本の液晶パネル工場の再利用の事例を見ても、生産中止に追い込まれた液晶パネル工場の再稼働は難しいようです。

具体的な事例を見てみましょう。2019年11月21日に、パナソニックは2021年中にパナソニック液晶ディスプレイ株式会社による液晶パネルの生産をすべて終了することを発表しました。同社の姫路工場は、2010年に稼働した8.5世代のマザーガラスによるIPS液晶パネルの生産設備を備えており、パナソニックの液晶テレビ向けにもパネルを供給してきました。しかし、2016年にはテレビ向け液晶パネルの生産の採算悪化の影響から撤退を表明し、業務用の液晶パネルの生産にシフトしました。それでも事業の立て直しができず、生産終了となりました。

キャッチアップしてくる海外勢と比べて、そもそも土地代、電気代、人件費、法人税率などの点で不利な条件下にある日本勢は、少々の技術的な優位性だけでは事業として勝負にならないわけです。大量の需要があるテレビ向けから撤退し、利益率の高い業務用にシフトしたとしても、競合他社も同様な製品を後追いで出すことができますので、技術的な障壁が無い限りはじり貧となる可能性が高いようです。

シャープが堺市に建設した最新鋭の巨大な液晶パネル工場は、大規模で最先端の製造技術を導入したために工場としての競争力はありました。しかし、それは大量に生産した液晶パネルを売り切ることが前提です。かつてのシャープには売り切る力が無く、経営不振に陥りましたが、鴻海精密工業の傘下に入り、同社の中国国内での販売力により稼働率が上がり、息を吹き返した感があります。

しかし、中国勢による液晶パネルの大量生産の影響は大きく、液晶パネルの価格が下落し、液晶パネルの採算が悪化すれば同社にとっても厳しい状況となります。また中国のテレビメーカーの攻勢も激しく、シャープブランドのテレビの売上・利益が影響を受ければ、さらに厳しい状況となるでしょう。シャープブランドが強かった日本のテレビ市場で、同社がついに有機ELテレビの発売に踏み切った点にも液晶パネル・テレビ事業の先行きの厳しさを感じます。

従来の液晶パネル工場の有効な転用方法が無ければ、いずれは規模の縮小・生産中止となり、工場の閉鎖になる可能性が高いのかもしれません。

まとめ

韓国LGによる韓国内の液晶生産の中止という衝撃的な出来事から今後の動向を考えてみました。このまま中国勢の体制に大きな変化が無い限りは、着実にキャッチアップが進み、韓国勢はますます厳しい状況に追い込まれる可能性が高そうです。

▼ディスプレイ産業・日本の研究開発動向の情報についてはこちら▼
ディスプレイ産業・日本の研究開発動向のまとめ!

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました