青色LEDと蛍光体を組み合わせて白色LEDを作ることができます。これ以外にも赤・緑・青(RGB)のLEDを組み合わせる方式もあるのですが、主流は蛍光体を用いる方式です。優れた蛍光体によって液晶ディスプレイのバックライトや照明の性能が大きく向上します。以下に紹介しています。
白色LEDの蛍光体について

蛍光体とは、励起光を吸収して蛍光を放出する特性を有する物質で、一般に希土類イオンなどを含む無機の結晶です。微量の付活剤も含ませているものも多く、粒径が数ミクロンの粉体状であるものがほとんどです。励起光を結晶が吸収し、エネルギーを希土類イオンなどに移動させ、蛍光を放出します。
もっとも広く使われているのは、日亜化学の黄色蛍光体で、YAG結晶にCe3+イオンを添加したものです。青色LEDから放出される波長460nmの光でCe3+イオンを励起し、波長555nmにピークを持つ約500nmから約700nmまでの広い波長域の蛍光を放出します。これが青色LEDの光と混ざり合うことで白色光になります。詳しくは以下の記事で紹介しています。
関連記事:白色LEDの蛍光体とは?ブラウン管テレビと冷陰極管にも使用?
白色LEDには蛍光体励起方式とRGB混色方式がある

1995年にRGB(赤・緑・青)のLEDが揃いましたので、これらの光を混ぜ合わせれば白色光を作り出すことができます。これがRGB混色方式の白色LEDです。
青色LEDに黄色蛍光体を組み合わせた白色LEDが1996年に登場し、これが液晶ディスプレイのバックライトや各種照明用途に広く使用されるようになりました。黄色蛍光体と組み合わせたLEDは、LED表面が黄色に見えますのですぐに分かります。
蛍光体方式は、RGB方式に比べると、明るさを制御するために電流を調整するのは青色LEDのみで良く、電子回路がシンプルになります。多くの照明では、白色LED素子1個で使用するだけではなく、複数のLED素子を並べて点灯させる場合がほとんどです。その時にそれらが同じ明るさで点灯するように制御しないといけないのですが、通常は素子ごとのバラつきがあるため、それを調整する必要があります。その際に、基本的には青色LEDのみを制御すれば良いので、比較的容易であることが長所です。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
関連記事:白色LEDの蛍光体励起方式とRGB混色方式の長所と短所
液晶の色域はLEDの蛍光体で差がつく!

現在では、ほとんどのテレビやスマホの液晶ディスプレイに搭載されているのは、青色LEDに蛍光体を組み合わせたタイプです。蛍光体とは、青色LEDの光を吸収して励起され、蛍光を放出する物質のことです。
日亜化学工業から製造販売され、多くの液晶ディスプレイ用バックライトに使用されるようになったのは、青色LEDに黄色蛍光体(YAG:Ce蛍光体)を組み合わせたものです。これが多くの照明や液晶ディスプレイ用バックライト普及しています。
液晶ディスプレイの色域を広げるため、青色LEDの光で励起して、赤色を発する蛍光体の開発が進められました。いろいろなものが開発されていますが、現在主流であるのが、フッ化物赤色蛍光体K2SiF6:Mn (KSF)です。KSFを使用したLEDは、色域が広く、製品レベルでは量子ドットを使用したものにかなり近い特性です。詳しくは以下の記事で紹介しています。
関連記事:液晶の色域はLEDの蛍光体で広げる!KSFとは?YAGとは?
LEDは照明用とバックライト用で重要な特性が異なる

このように照明用にもバックライト用にも白色LEDは大きな貢献をしていますが、これらに要求される白色LEDの色に対する特性は大きく異なります。照明用としては演色性が重要で、バックライト用としては色域が重要です。これは白色LEDが放出する光の波長スペクトルという観点では、演色性を高めるためには可視光域で広い連続光スペクトル、色域を広げるためには赤・緑・青の3原色の波長でできるだけ狭いスペクトルが望ましいということになります。詳しくは以下の記事で紹介しています。
関連記事:LEDは照明用には演色性!バックライト用には色域!
まとめ
白色LEDが液晶ディスプレイ用バックライトの光源および各種照明の光源に使用されています。白色LEDは、青色LEDに蛍光体を組み合わせた方式が主流で、蛍光体の特性が白色LEDの性能に大きな影響を与えています。その蛍光体について紹介しました。
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