JOLEDの印刷方式有機ELの戦略と勝算は?歩留まりは上がる?

有機EL

中国で巨大な液晶パネル工場が本格稼働し、供給過剰と価格低下に多くのメーカーが苦しめられる中、先行するメーカーは有機ELなどの付加価値が高いディスプレイパネルにシフトし始めています。有機ELパネルの製造においては、日本の最後の砦ともいえるのがJOLED。独自の印刷方式で量産を開始しました。その戦略と勝算について解説します。

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JOLEDは印刷方式有機ELの量産を開始!

JOLEDは、2017年末から独自の印刷方式により有機ELパネルのパイロットラインでの生産を開始しました。G4.5(730mm×920mm)の基板で、月産2300枚規模です。これまでに21.6型4K有機ELパネル(204ppi)がソニーの医療用ディスプレイに、さらにASUSのProArt PQ22UC、EIZOのFORIS NOVAにも採用されています。

最近は基板ベースで月産2300枚と、パイロットラインの生産能力ギリギリまで順調に増えていたそうです。そのような状況の中、2019年11月に石川県能見市に世界初の印刷方式による中型・高精細の有機ELディスプレイの量産ラインの稼働が開始されました。基板サイズG5.5(1,300×1,500mm)、月産2万枚(ガラス基板投入ベース)の生産能力です。画素数は4K(3840×2160画素)でパネル寸法は最大32型です。

後述するような印刷方式の特徴を活かした中型サイズの有機ELディスプレイで、順調に顧客を獲得しています。蒸着方式では生産し難い中型に狙いを絞った戦略が功を奏しているようです。このまま順調に成長していけるのでしょうか?以下にさらに詳しくみてみましょう。

JOLEDの印刷方式有機EL事業の戦略

JOLEDの有機ELディスプレイ事業の最大の特徴は「印刷方式」にあります。現状では、スマホなどの小型有機ELディスプレイでは、蒸着でRGB(赤色・緑色・青色)の画素を塗分けて製造するサムスンが圧倒的に強いです。また大型テレビ用では、蒸着でRGB層を積層し、カラーフィルターでRGBの画素を形成するLGが圧倒的に強いです。さらにこれらの方式も、中国勢が猛烈にキャッチアップしてきます。

このような厳しい状況で、JOLEDが量産を始める印刷方式では、前述の2つの蒸着方式では作り難い中型に狙いを定めています。サムスンの蒸着によるRGB塗分け方式では、メタルマスクを使用するために大型化が困難です。LGのカラーフィルター方式では大型化が可能で、もちろん中型も作ることができますが、カラーフィルターを使用するために低消費電力化や色純度、中間色の表現力に課題があります。つまり、JOLEDの印刷方式ならば、RGB塗分けによってカラーフィルターを使用せず、高画質を実現でき、さらに中型から大型まで製造できるわけです。

有機ELにはTFTも重要です。小型有機ELではLTPS(低温ポリシリコン)が使用され、高い性能を発揮していますが、LTPSは大型化が難しいです。JOLEDでは酸化物TFTの開発を行い、これを使用することで大型化を可能にしています。つまり、印刷方式と酸化物TFTの両方が大型化には必要なわけです。

JOLEDとしては、設備投資がかかり、生産数量が少なく、スケールメリットが発揮し難い事業の立ち上げ時に、競合のサムスンとLGなどが参入し難く、勝てる可能性が高い中型に注力する戦略を選んだわけです。テレビなどの大型に関しては、自ら投資・製造することを避け、希望するメーカーに製造装置や技術をパッケージにしてライセンスする戦略です。

現時点では、前述のようにソニーの医療用ディスプレイに採用されるなど、プレミアムなハイエンドモニターとして順調なスタートを切っています。戦略通りと言ったところでしょう。


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JOLEDの印刷方式有機EL事業の勝算は?

LGは大型テレビ用有機ELパネル市場でほぼ独占的なシェアを占めており、テレビメーカーからの要請に応えきれないほど供給がひっ迫しています。テレビメーカーも大型でハイエンドのモデルほど利益を出しやすいので、当面は大型有機ELパネルの生産増強に注力するでしょう。JOLEDとしては、その間にハイエンドのディスプレイとして中型ディスプレイの販売台数をどこまで伸ばせるのかが重要です。

量産ラインの稼働率を上げ、生産した中型有機ELディスプレイを売り切ることで、設備の償却を進め、スケールメリットを出し、利益を出せるようになるでしょう。他社も印刷方式の研究開発を進めていますので、競合品が登場するまでにどれだけ生産量を伸ばせるかによって事業の成否が決まるでしょう。

また量産ラインの歩留まり向上も重要です。当初は歩留まりを懸念する声もありましたが、パイロットラインでは歩留まりの目標値に達したようです。その経験を積んだ上での量産ラインのスタートですので、ある程度期待しても良いのではないでしょうか?

有機EL材料を供給する住友化学および製造装置を開発するパナソニックプロダクションエンジニアリングとSCREENファインテックソリューションズとは、排他的な契約を交わしており、JOLEDと協力して希望するメーカーに技術をライセンスする戦略となっています。ディスプレイ分野では、材料と製造装置をそれらのメーカーが海外に拡販したことが、海外勢のキャッチアップを容易にしました。JOLEDも技術を囲い込むだけではなく、契約の下にライセンスしていくため、海外勢もキャッチアップしてくると予想されますが、デファクトをとりながらある程度の影響力を維持することができると期待されます。

JOLEDの戦略がある程度成功すれば、有機EL分野で再度日本勢が主導権を握れる時が来るかもしれません。

まとめ

JOLEDの印刷方式の戦略と勝算について解説しました。量産が始まりましたので、今後、販売状況、事業の状況などがある程度明らかになると思います。ここから数年間、ある程度戦略通りに進めば勝機が見えてくるかもしれません。

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