JDIがマイクロLEDディスプレイを開発!glo社からチップを調達

マイクロLED

ソニー・東芝・日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合して生まれたジャパンディスプレイ(JDI)。日本のディスプレイパネル事業の最後の砦とも言える会社です。LTPSなどの技術を駆使した最先端の液晶パネルが主力事業でしたが、韓国勢に加えて中国勢の猛攻により利益を上げにくくなっています。そのため有機ELの事業も始めました。最近、次世代ディスプレイと言われるマイクロLEDディスプレイの開発を発表しました。以下に紹介します。

スポンサーリンク

注目!!
▼マイクロLEDとミニLEDの情報についてはこちら▼
マイクロLEDとミニLEDディスプレイについて解説!

JDIがマイクロLEDディスプレイを開発!

ジャパンディスプレイ(JDI)は、2019年11月28日に、マイクロLEDディスプレイを開発したことを発表しました。主なポイントは以下の通りです。

画面サイズ:1.6インチ
画素数:300×RGB×300
精細度:265ppi
輝度:3000 cd/m2
視野角:>178°
バックプレーン:LTPS(低温ポリシリコン)
マイクロLEDチップ:米国glo社より調達

2019年12月4日(水)~6日(金)に幕張メッセで開催される、第29回 液晶・有機EL・センサ 技術展「ファインテック ジャパン2019」に参考出展されます。

前述のように液晶パネル事業では利益を上げにくくなり、iPhoneなどのスマホではハイエンド機種に有機ELパネルを採用する動きが広がり、JDIの事業環境は厳しくなっています。有機ELパネル事業にはすでに参入していますが、有機EL業界では後発でシェアや生産能力・コスト削減能力という点でも圧倒的に不利な状況です。JDIなりの特徴のある製品や他社ができないような優れたディスプレイパネルを、他社に先駆けて開発する必要があります。

マイクロLEDディスプレイは、非常に大型のものがソニーによって世界で初めて製品化され、サムスンが追随しています。企業等のエントランスや、自動車のデザインスタジオ、映画館のスクリーンなどで利用され始めています。現段階では、一般消費者が購入するようなディスプレイではなく、企業等が業務用として購入しています。

より小型の民生用のマイクロLEDディスプレイは、現時点では製品化・事業化した企業が無く、どの用途向けにどの企業が最初に製品化・事業化するのか注目されています。日本企業では京セラとシャープも試作品を展示しています。JDIが他社に先駆けて製品化・事業化に成功できれば、同社を特徴づける大きな武器となる可能性はあるでしょう。現時点では、製品化については発表されていません。

関連記事:シャープがSID2019で発表したマイクロLEDディスプレイとは?

関連記事:京セラがSID2019で発表したマイクロLEDディスプレイとは?

JDIのマイクロLEDディスプレイはglo社からチップを調達

マイクロLEDディスプレイ(*Micro-LEDディスプレイ、μ-LEDディスプレイなどとも表記される)は、膨大な数の画素にそれぞれLEDチップを配置し、駆動させるという非常に分かりやすい構造となっています。無機のLEDを使用しますので、優れた耐久性が期待でき、有機ELのようなバリア性の高い封止材などを使用する必要が無いと考えられます。また液晶のように偏光を使用するわけではありませんので、偏光板が不要となり、光エネルギーの損失も低くなります。

これまでに発表されているマイクロLEDディスプレイの試作品は、フルカラー化の方法という観点で大別すると2種類あります。1つは赤・緑・青(RGB)のマイクロLEDチップをそれぞれ配置する方法、もう1つは青色のマイクロLEDチップを配列し、量子ドット(QD)を赤と緑のサブピクセルの位置に積層し、青色の光を赤色または緑色に変換し、フルカラー化する方法です。

原理的には前者の方法の方が優れていることは明らかなのですが、膨大なマイクロLEDチップを配置するプロセスに多大な時間とコストがかかることから、後者の方法を選択する企業も少なくありません。マイクロLEDチップを製造する企業も、1つの基板上にRGBのマイクロLEDチップを製造する方法の研究開発に取り組むなど、製造効率の向上に日々努力しています。

そのような背景の下、今回のJDIの発表で注目すべき点は、RGBそれぞれのマイクロLEDチップを配置する方法を選択したことと、米国のglo社からマイクロLEDチップを調達していることです。

量子ドットについては耐久性の問題がありますし、チップサイズが大きくなるほど、外光による影響が懸念されます。RGBそれぞれのマイクロLEDチップを配置する方法であれば、そのような弱点が無くなりますので、ディスプレイとしてはより完成度の高いものとなるでしょう。

JDIはLEDメーカーではありませんので、外部から優れた性能のマイクロLEDチップを調達するという戦略は、投資効率・スピードという点で妥当な判断でしょう。すでに多くのマイクロLEDディスプレイ関連のベンチャー企業等があり、多くの特許も出願されている上に、現時点でもどの技術が本命になるのか予測しにくい状況です。垂直統合型ですべてを自社で行うのは現実的ではなく、水辺分業的に優れた企業と組んで進めながら、自社の強みを構築する方法が最善でしょう。

マイクロLEDディスプレイは、マストランスファーやマイクロLEDチップの微細化・モノリシック化など、製造効率を高める研究開発が世界で進められています。まだまだ製造効率が低く、コストが高いですが、技術が成熟していないだけに新しい提案で製造効率が2〜10倍以上になるような発表が毎年のようにあります。1社がすべての問題を解決するわけではなく、いろいろな企業がサプライチェインを組んでOEMを進めることで、案外早い時期に製品化に到達する期待感があります。

スポンサーリンク

JDIのマイクロLEDディスプレイ事業の将来性は?

JDIはLTPSなどのいくつかの液晶ディスプレイの技術において、かつては世界トップレベルでした。しかし、猛烈な韓国勢と中国勢のキャッチアップにより、技術的な差はほとんど無くなったと言われています。また最新鋭の大型向上に投資し、大量生産した製品を売り切ることが、ディスプレイパネルビジネスの王道となった歴史を見ても、最後に国家の後ろ盾を得て最新の設備を導入した中国勢には圧倒的に不利な状況となりつつあります。韓国勢でさえ、液晶ディスプレイ事業では利益を出すことが困難になっています。

大規模な投資をする体力勝負には勝機はない日本勢にとって、技術的な差別化は必須でしょう。液晶、有機ELなどのディスプレイ方式にこだわらず、利益が出せそうな領域で特徴ある製品を開発すべきでしょう。そのように考えれば、JDIの小型マイクロLEDディスプレイの開発というアクションにはある程度納得できます。

得意のLTPSバックプレーンを使っていますが、これはCMOSバックプレーン方式に比べると、より大型化が可能というメリットがあります。つまり、1.6インチだけではなく、スマホ用ディスプレイまでも視野に入ってきます。

Appleも早くからマイクロLEDディスプレイのベンチャーに投資するなどして、興味を示していますが、その最大の理由として効率の高さと最大輝度の高さがあります。Apple Watchは同社を支える事業に成長しつつありますが、腕時計を毎日充電することを面倒に感じる人は多いです。偏光板やカラーフィルターが不要のマイクロLEDディスプレイならば、Apple Watchの充電間隔を大きく伸ばせる可能性があります。またアウトドアで使用するディスプレイは、外光の影響で表示画面が見難くなりますが、最大輝度が非常に高くできるマイクロLEDディスプレイであれば十分に視認できる輝度で表示できるでしょう。

このようにマイクロLEDディスプレイは、液晶や有機ELと比べても明らかな長所がありますので、開発に取り組む価値があるでしょう。Appleから出資を受けるJDIであれば、Apple Watchへの搭載の可能性も高そうです。

まとめ

JDIによるマイクロLEDディスプレイ開発の発表がありましたので、その内容などについて解説しました。液晶ディスプレイの開発の歴史を振り返っても、当初は困難と言われた技術的な課題も、国際的に多くの企業が研究開発に取り組むことによって、急速に技術が進歩することがあります。マイクロLEDディスプレイは、最近も急速に進歩していますが、いよいよ製品化に向けて進む可能性が高そうです。注目です。

▼マイクロLEDとミニLEDの情報についてはこちら▼
マイクロLEDとミニLEDディスプレイについて解説!

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました