NTTが光半導体の開発で外部連携!充電1回で1年持つスマホ?

NTT

日本経済新聞が2019年11月14日の朝刊で「NTTの光半導体の開発」について報じています。この省電力の光半導体が実現すれば、充電1回で1年持つスマホの実現も視野に入るとのことです。何だかすごそうな感じはするのですが、新聞記事だけではよくわからなかったので、さらに詳しく調べてみました。以下に紹介します。

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NTTが光半導体の開発で外部連携!充電1回で1年持つスマホ?

前述の日本経済新聞の記事によると、光信号で情報を処理し、消費電力が従来の100分の1に抑えられる光半導体の開発で、NTTは米国のマイクロソフトなど国内外の65社と連携するとのことです。すでにNTTはソニーやインテルと2020年春にも光で動作する新しい原理の半導体開発などを研究する業界団体を設立すると発表しています。

NTTの研究所を見学したことがある方ならばご存知かと思いますが、国内ではトップレベルの研究組織があり、これまでにも通信分野において世界に先駆けていくつかの構想を打ち出してきました。しかし、それらは世界標準になることはできず、通信分野では米国のGAFAなどが主導権を握るに至っています。

そのような観点からも、研究開発を進めるだけでなく、早い段階から外部と連携し、世界標準となるように進めていくことは極めて重要です。

ところでこの光半導体とはどのようなものなのでしょうか?以下に解説します。

NTTが発表した光半導体とは?

NTTの公式サイトに「光変調器を超省エネ化し、高速高効率な光トランジスタを実現」との記事が、2019年4月16日付で発表されています。その内容は英国の科学誌「Nature Photonics」に公開されています。

あまり詳細になると専門的過ぎますので、多少厳密さは犠牲にして簡単に説明します。光通信ネットワークには、光変調器というものがあります。これはデバイスに電圧を印加し、そこを通過する光に変調をかけるためのものです。光通信は、原理的には光のオン・オフの組み合わせで信号を送ります。ずっとオンのままの光が光変調器を通過する時に、高速の変調をかけた電圧を印加することで、光に大容量の信号を乗せることができるわけです。

従来の光変調器は、消費エネルギーが高く、パソコンやスマホのCPUのようなところでの信号処理に利用することは困難でした。現在の半導体集積回路(プロセッサ)は、シリコン基板に微細な金属の配線をしたもので、電気だけで信号処理をしています。これまでの多大な研究開発努力により、配線の幅は数十nm程度になっていますが、さらなる微細化は難しくなっています。また配線が微細で集積度が上がるほど、熱による損失も大きくなり、消費エネルギーの増大につながります。

NTTが発表した光変調器は、フォトニック結晶と世界最小の電気容量を持つ光電変換素子の集積したもので、世界最小の消費エネルギーで動作します。実際に、変調した光信号を入射し、ナノ受光器により光から電気に変換(O-E変換)し、さらに回路でつながっているナノ光変調器にその電圧を伝え、そこを通過する連続光に高速の変調(E-O変換)をかけることに成功しています。

これまでもこのようにO-E変換素子とE-O変換を組み合わせた「O-E-O変換素子」は提案されていますが、それらは消費電力が高く、集積性にも問題がありました。NTTが論文発表したものは、桁違いに低消費電力であり、デバイス面積が10×15マイクロ平方メートルと、従来の100×100マイクロ平方メートルに比べるとかなり小型化されています。これにより一気に実現性が高まり、多くの企業が連携に参画したようです。

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NTTの発表して光半導体は光による信号処理を実用化するのか?

光を使って光を制御する信号処理は、実は1990年代にはかなり研究開発は盛り上がっていました。しかし、これまで本格的に製品化され、普及することはありませんでした。その理由の1つに、前述した集積度の課題があります。

光の波長が数百nm以上ですので、一般に光の通り道(導波路)の直径は1ミクロン以上になります。長距離の信号伝送に使用されるシングルモード光ファイバーのコア径が5ミクロン程度であることからも、おおよそ理解できるでしょう。

シリコン基板の上に形成された金属の配線の幅は30nm程度のものは量産ベースで作られていますし、最先端のものは10nm以下になると言われています。このような微細な配線をして電気で信号処理することに比べると、ミクロンオーダーの導波路はあまりにも大きく、プロセッサなどの光配線化は進まなかったようです。

しかし、フォトニック結晶技術の進歩によりさらなる集積化が進められると期待されること、大容量の画像データの処理などにより、複数のプロセッサ間の信号伝送が必要になっていることなどから、いよいよ光による信号処理が実用化されるかもしれません。前述の新聞記事では、2030年までに量産を目指すとしていますので、期待したいです。

最近は増加する一方のデータセンターによる電力消費が問題となっていますが、光半導体により消費電力が下げられれば社会にとっても大きな貢献となるでしょう。

まとめ

NTTが進める光半導体の外部と連携した開発について紹介しました。世界中の省エネルギーに貢献するかもしれない重要な技術です。

NTTの5Gへの投資については、こちらの記事「NTTの5Gの投資はどれぐらい?耐えられるのか?」をご覧ください。

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