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信越化学工業に見る日本の化学メーカーの生きる道!

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2000年以降の日本の電機メーカーの苦境は大きくマスコミ等で報道されました。それに比べると日本の化学(素材)メーカーは、国際的にも高いシェアを有している企業が多く、まだ強みを維持しているように見えます。これからもその強みを維持できるのでしょうか?日本の化学メーカーの中でトップレベルの高収益企業である信越化学工業を参考に、これからの日本企業の生き残る道を探ってみます。

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日本の化学メーカーは生き残れるのか?

日本にはレジストや光学フィルムなどのいくつかの先端材料において、世界的にトップレベルのシェアを有している企業があります。先端材料は、常に顧客の要望を受け、それに応えようとレベルアップを続けることで、高い競争力を獲得していくという研究開発上の特色があります。ディスプレイ産業のように、これまでいくつかの最先端の技術による産業が日本から生まれてきたことが、化学(素材)メーカーにとっても有利に働いたことはあるでしょう。

ディスプレイパネル産業は、日本勢が韓国勢に打ち負かされ、さらにその韓国勢も中国勢の猛攻を受けている状況です。その結果、世界的なディスプレイパネルの生産拠点は、日本から韓国、さらには韓国から中国へシフトしています。ディスプレイ部材等を製造する日本の化学メーカーは、強い競争力を持っていますので、顧客が韓国や中国へシフトして行っても、引き続き強いパイプを維持しながら事業を続けています。

しかし、最終製品の価格下落とともに、部材への値下げ要求は厳しく、年々利幅は縮小し、縮小・撤退する企業も出ています。このままでは日本の化学(素材)メーカーの地位も危ういのではないでしょうか?

また必ずしも最先端材料ではなく、いわゆる市況品と呼ばれるような材料においても、日本の化学(素材)メーカーが大きなシェアを持っているケースもあります。

最先端材料と市況品の両方において世界的にトップレベルのシェアを有し、さらに高収益を達成している稀有な日本企業として信越化学工業があります。同社について学ぶことが、これからの厳しい世界競争を生き残るヒントになるでしょう。

信越化学工業に見る日本の化学メーカーの生きる道!

日本に限らず、世界の化学メーカーの経営を見ると、資本効率(ROE)や利益率を重視し、赤字にならなくても低収益な事業から撤退し、高収益な事業に集中しようという動きがあります。特に石油化学系の市況品は、景気動向や原油価格に収益が大きく依存するため、できるだけその比率を低くし、機能性材料に注力しようという動きが一般的です。それでも原油価格と景気の変動によって、市況品が大きな利益を上げることがあるため、市況品事業を縮小する決断ができない企業も少なくありません。

このような考え方が一般的な化学業界において、信越化学工業はどのような存在なのでしょうか?同社の主力製品のシェアは以下のようになっています。

1.塩ビ  世界1位
2.半導体シリコン 世界1位
3.シリコーン 世界4位(国内1位)
4.セルロース誘導体 世界2位(国内1位)
5.フォトレジスト 世界2位(国内1位)
6.先端品フォトマスクブランクス 世界1位
7.フェロモン製剤 世界1位

同社の2019年3月期の決算によると、売上高1兆5,940億円、営業利益4,037億円、営業利益率25.3%と、営業利益率が10%以下の化学企業が多い中、圧倒的な高収益性を誇っています。

これだけでも注目に値しますが、さらによく見ると、前述のように最先端材料だけでなく、塩ビのようないわゆる市況品にも継続的に経営資源を投入し、高いシェアと大きな利益を獲得しているということです。このことだけでも、前述のような化学業界の一般的な考え方とは異なる実績です。机上の空論ではなく、長年積み上げてきた事業成績だけに、誰も反論できないような説得力があります。

信越化学工業の事業成績から、「単純に低収益の事業から撤退し、収益性の高い事業に集中しさえすれば成功する」というものでもないということがわかります。その秘密を理解するには、名経営者と言われる同社の金川千尋代表取締役会長の言葉に耳を傾ける必要があるでしょう。

つまり、明らかなことは、世界で勝ち残るためには研究開発力だけでなく、優れた経営力が不可欠ということです。


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信越化学工業に見る日本の化学メーカーの生き残るためのヒント

金川氏は経営に関する著作もあり、経済紙等のインタビューにも応えていらっしゃいますので、発信されている経営に関するノウハウ・考えのすべてをここで紹介するには、膨大な情報量がありますのでとてもできませんが、本記事のテーマである「これからの日本の化学メーカーの生き残り」に役立つ情報をいくつかピックアップします。

1.踏んではいけないのがカントリーリスク、踏んでも良いのがコマーシャルリスク

金川氏は、かつてニカラグアに設立した同社の塩ビ会社が政変により、同国の政府に接収されたという苦い経験をしています。日本で平和な状況が続いていると忘れがちですが、世界では政変・戦争などの大きなリスクがあります。最近の米国と中国の貿易・関税についての争いにより、カントリーリスクをまた身近に感じる機会も多くなりましたので、「踏んではいけないのがカントリーリスク」という考えは説得力があります。

かつては、日本企業も競うように中国へ進出しましたが、国際的に展開する信越化学工業でも、同氏の考え方により中国への進出は比較的遅いです。人件費や土地代・電気代などが安い中国・東南アジアではなく、米国の塩ビ子会社シンテックが長年同社の中核会社であることも、よく中身を分析して理解しなければ違和感を感じる人もいるでしょう。

「踏んでも良いのがコマーシャルリスク」というのは、競争が激しい市況品市場でも、的確な市場分析と予測、および迅速な対応によって勝ち抜ける自信があるからです。金川氏は、1950年東京大学法学部政治学科卒業し、同年に極東物産株式会社(現三井物産株式会社)入社。さらに1962年信越化学工業株式会社入社しています。商社マンとしての経験を活かし、メーカーで活躍しており、コマーシャルリスクに立ち向かうスキルと才能があるわけです。

2.需要がある事業を粘り強く続ける

前述の同社の主力事業を見ても、今後も長期的に需要が続くと期待できる事業ばかりです。もちろん、塩ビには市況の変動、シリコンにはシリコンサイクルなどとも呼ばれる需要の変動がありますが、これらの材料が短期的に必要とされなくなるなるとは考えられません。つまり、需要が確実に存在するという事業に注力しています。

塩ビやシリコン事業などを見ても、明らか無い競合他社が存在します。特に米国の塩ビ会社シンテックは、米国内で最後発の参入でした。「高品質な製品を、低価格で、迅速に顧客へ納期通りに納める」というビジネスの王道とも呼べることを徹底し、トップシェアに上り詰めました。

低価格で提供するためには、生産方法を改善するだけではなく、「少数精鋭」を徹底し、平常時から人員を必要最小限にする努力を進めています。同氏が社長に就任する前には、毎年600人程度の新卒一括採用をしていたのですが、社長就任後に思い切って新卒採用ゼロにしています。仕事も無いのに、部署間の競争意識で新卒を多数採用し、それが余剰人員になって結局人員削減しなければならないということを嫌ったわけです。このような努力で、従業員一人当たりの売り上げや利益もトップレベルです。

またトップシェアを獲り、顧客との距離を縮め、需要動向をどこよりも早く入手し、果敢な投資判断をすることでも業界で有名です。コマーシャルリスクを取って勝ち抜こうという意識の表れでしょう。そのために消費地の近くで生産するということにもこだわりがあり、米国の事業所が中核になっています。もちろん現在は、国際的に広く展開していますが、考え方的には同様に消費地の近くで生産するということです。

また塩ビ事業も苦しい時期があったようですが、低収益という理由で簡単に撤退していません。それは新規事業を立ち上げて黒字化することがどれほど大変なことであるのかを知っているため、利益が出ているのであれば立て直すことを優先するようです。もちろんその前提として今後も需要があるということが必要条件です。

信越化学工業のそれぞれの事業における研究開発力は、当然のことながら高い水準にあります。大型の投資案件を経営のトップがすることは当然としても、研究テーマもトップが決めるとのことです。主力事業が傾き始めた企業で、よくあるのが新規事業開発部にミッションを丸投げしてしまうこと。新規事業を黒字化することは非常に困難で確率が低いことであるにも関わらず、丸投げして、首尾よくいかなければ叱責するだけのトップでは人はついてこないでしょう。トップがコミットし、会社として取り組まなければなりません。

まとめ

化学業界で有名な高収益企業である信越化学工業に着目し、その強さの秘密を見てみました。これらがそのまま他の企業の事業活動に適用できるとは限りませんが、部分的にも役に立つ可能性は高いでしょう。

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