生分解性プラスチックのメーカーと製品は?ポリ乳酸?PHBH?

テクノロジー

海洋へのプラスチックごみの流出やマイクロプラスチックが世界的な問題となり、その解決策の一つとして生分解性プラスチックへの代替が期待されています。生分解性プラスチックを製造するメーカーとその製品について紹介します。

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生分解性プラスチックのメーカーと製品は?

生分解性プラスチックは1994年頃にも注目され、ブームとなりました。当時は石油資源を使わない天然由来のプラスチックとして期待されていました。これはデンプンなどのバイオマス資源ベースのポリマーで、そもそも生分解性とは異なる視点の分類です。したがって、バイオマス資源ベースのポリマーでも生分解性のあるものと無いものがありますし、石油資源由来のポリマーでも生分解性のあるものと無いものがあります。この点は非常に誤解されやすいです。

当時から複数のメーカーで生分解性プラスチックやバイオマス資源ベースのポリマーの研究開発が行われてきました。そして今回の生分解性プラスチックの再度のブームとなり、複数のメーカーが製品を上市しています。前述のように生分解性プラスチックとバイオマス資源ベースのポリマーが混同されていますが、ここでは生分解性プラスチックを紹介します。

海洋プラスチックごみ問題の解決のためには、「生分解性」が重要であるからです。バイオマス資源ベースのポリマーは、石油資源が有限であるとの考え方から資源を有効利用すること、二酸化炭素排出量を抑える「カーボンニュートラル」などの観点から開発が続けられていますが、トータルで本当に「カーボンニュートラル」と言えるかは議論が続いています。

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生分解性プラスチックはネイチャーワークスのポリ乳酸

現在、世界中でもっとも多くの量が使用されている生分解性プラスチックは、ポリ乳酸です。ポリ乳酸は、ブドウ糖などの糖類に乳酸菌を作用させて得られる乳酸から合成します。ブドウ糖などの糖類は、トウモロコシなどから得られます。そのためバイオマス資源ベースのポリマーでもあります。

ポリ乳酸は通常の環境下では比較的安定であり、堆肥中などで約1週間かけて分解されます。したがって、比較的長期間使用するプラスチック製品でも利用できる反面、使用後は堆肥中などで保管しないと十分に生分解されません。

ポリ乳酸の世界最大手は米国のネイチャーワークスです。

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生分解性プラスチックは三菱化学のポリブチレンサクシネート

ポリ乳酸に次いで使用量が多い生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)です。サトウキビ、キャッサバ、トウモロコシなどのバイオマス資源ベースのポリマーです。ポリ乳酸と同様に堆肥中などで生分解性があります。農業用マルチフィルムなどに使用されています。

日本では三菱ケミカルがBioPBSという製品名で販売しています。

生分解性プラスチックはカネカのPHBH

カネカからポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)という生分解性プラスチックが製品化されています。これは驚くことに、脂肪酸や植物油からある土壌細菌(Aeromonas caviae FA440)が作り出す共重合ポリエステルです。最近がプラスチックを作るなんてビックリです。

PHBHは優れた生分解性を有しており、海水中で生分解する認証「OK Biodegradable MARINE」を取得しています。現在市販されている生分解性プラスチックでも、この認証を取得しているものは少なく、注目されている製品です。

カネカは、資生堂とPHBHを使った化粧品容器の共同開発を開始しています。セブン&アイ・ホールディングスとは、ストローの開発を進めています。このように海洋プラスチックごみ問題に敏感な業界と共同兼開発が次々に開始されるようです。

海に流出したプラスチックごみが国際的な問題となり、地球環境を守るためにその対策が本格的に始まろうとしています。技術的な観点から生分解性プラスチックに期待が寄せられていますが、バイオマスプラスチックあるいはバイオプラスチックという用語もあり、混乱が見られます。以下に解説します。

生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックは違う?

生分解性プラスチックとは、微生物の働きにより、水と二酸化炭素などに分解される特性をもつプラスチックのことです。これまでも複数のメーカーにより研究開発が進められてきて、数種類のものが製品として販売されています。もっとも多く利用されているものがポリ乳酸です。

一方、バイオマスプラスチックとは、バイオマスを原料として製造されたプラスチックのことです。ここで言う「バイオマス」とは、一般に生物由来の資源を指し、具体的にはトウモロコシ、サトウキビ、キャッサバなどの農作物が使われています。

このように生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックは、異なる視点からの分類です。そのため以下の2×2=4種類に分類できます。

1.生分解性プラスチックであり、バイオマスプラスチックであるもの
2.生分解性プラスチックであり、バイオマスプラスチックではないもの
3.生分解性プラスチックではなく、バイオマスプラスチックであるもの
4.生分解性プラスチックではなく、バイオマスプラスチックでもないもの

この分類を理解せずに(*場合によっては意図的に無視?)、上記3のタイプのプラスチックを使って、生物由来の原料から製造しているから海洋プラスチックごみ問題にも貢献できるようにアピールしている記事なども見かけることがあります。正しく理解していないと間違った判断を下すことがありますので、ここで確認しておいた方が良いでしょう。

生分解性プラスチックも分解されるとは限らない

生分解性プラスチックを使用していても、ある条件下でなければほとんど分解は進みません。それはそのプラスチック製品を使用している間にどんどん分解してしまっては困るからです。したがって、生分解性プラスチック製品は、その特性に合わせて使い方と分解のさせ方を理解し、適切に使わなければなりません。

例えば、農業用マルチフィルムに使われている生分解性プラスチックは、畑などの土壌中で数か月利用でき、その後、徐々に分解が進むように作られています。したがって、農地の表面を覆っておかなければならない期間はそのまま使用でき、その後、徐々に分解していって、廃プラスチックごみとして回収に出さなくても済みます。

現在、ディスポーザブルなプラスチックの食器類をポリ乳酸で作る取り組みがされていますが、誤解してはいけないことは、ポリ乳酸性のプラスチック製品を海に投棄してもほとんど分解されないということです。ポリ乳酸は、回収し、ある温度に制御されたコンポストや土壌中でなければ短期間に分解されません。したがって、一部の外食産業などで進められているように、生ごみなどと一緒に回収し、肥料化するコンポストなどの中で分解させるルートに乗せなければなりません。

PETのリサイクルシステムに混入したりすると、不純物となり、悪影響が出ますし、そのまま焼却することになると従来のプラスチックと大差ないでしょう。

バイオマスプラスチックならば石油を使わないとは限らない

バイオマスプラスチックは、石油から製造しないことから、「カーボンニュートラル」の概念に基づき、二酸化炭素を増やさず、循環型社会の実現に貢献すると言われています。

原料を多様にするという点で、石油への依存度を下げるという点では確かに意味があると思いますが、「カーボンニュートラル」という点では慎重に検討する必要があります。「カーボンニュートラル」は、大気中の二酸化炭素を吸収し、光合成によって成長した植物などを原料にすることで、使用後に焼却処分したとしても、実質的に二酸化炭素が循環しているだけで、大気中の二酸化炭素が増えないという概念です。

しかし、現代の農業は機械化され、大量の肥料と水を使用します。肥料の製造・輸送には多くのエネルギーが使用され、地下水の汲み上げや散水などにもエネルギーが使用されます。もちろん、バイオマスプラスチックの製造プロセスでもエネルギーが使用されますので、総合的に考えて本当に「カーボンニュートラル」になっているとは言えない場合もあるでしょう。

またトウモロコシなどからプラスチックを製造すると、地球上で食糧が不足して飢えに苦しむ人が多数存在している状況で、プラスチック原料に食糧になり得る農作物を使用することへの批判もありました。そのため、非可食原料を使用する方向にシフトしています。

石油以外の資源の活用と有効利用という点でも、興味ある取り組みです。さらに再生可能エネルギーの普及により、太陽光や風力発電から得たエネルギーを使って、原料の育成とバイオマスプラスチックの製造がおこなわれるようになれば、さらに魅力的なものになる可能性はあります。

まとめ

生分解性プラスチックのメーカーとその製品、一般に混同されやすい生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックについて解説しました。これらの取り組みは地球環境保全のために重要ですが、正しくその内容を理解することも必要です。

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