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日本の学会の会員数は減少している!科学技術の未来は大丈夫か?

投稿日:2019年8月6日 更新日:

科学技術立国を標榜する日本の研究開発水準が低下していることを示唆する指標・事実等が、いろいろと指摘されています。あまり取り上げられることが少ないのですが、学会の会員数の減少も土台から日本の科学技術力を損ないかねない動向です。以下に紹介します。

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日本の学会の会員数は減少している!

日本の科学技術水準の話になるとノーベル賞受賞者を事例として挙げることが多いです。ノーベル賞を受賞することだけが科学技術力を表すものではないことは重々承知していますが、多く人に分かりやすいという点で簡単に参照します。

科学技術に関するノーベル賞としては、物理学賞、化学賞、生理学・医学賞があります。日本人(*日本出身で学国籍の方も含む))は、物理学賞において1949年の湯川秀樹氏から2015年梶田隆章氏まで計11人、化学賞において1981年の福井謙一氏から2010年の根岸英一氏と鈴木章氏まで計9人、生理学・医学賞においては1987年の利根川進氏から2018年の本庶佑氏まで計5人の方々が受賞されています。

これらの偉大な方々が成し遂げた研究は、主に大学を中心として進められたもので、論文・学会等を中心に発表されていったものです。もちろん、その内容によっては特許等も出願されており、産業界にも大きな影響を与えています。

社会の中で大学とは学術的な研究を中心に進める機関であり、学生を教育・育成する機関です。そこで生まれた研究成果は、通常は国際的な論文誌に投稿・出版され、学会発表などを通じて多くの研究者同士の交流が行われ、その分野全体の発展に寄与します。どのような分野においても、最初は極わずかの天才的な人によって第一歩が踏み出されるかもしれませんが、それが発表され、広く知れ渡った後に、多くの人がその分野に参入し、大きく発展するものです。そのような観点からも、実際に研究者間の交流の場となる学会とは極めて重要な場であることが分かります。

また日本の企業においても、科学技術の最先端で研究開発に従事している人は大学院卒が多く、ほとんどの人が大学院での研究成果を関連の学会で発表し、公式な場での研究者としてのスタートを切っています。学会へは企業からの参加も多く、大学教員および学生と企業の研究員との交流の場ともなっていて、共同研究につながる出会いの場にもなっています。

このように学会そのものが主体的な何らかの研究プロジェクトを推進するわけではないですが、研究発表・学会活動を通じて、研究者間の交流や若手を育成する場を提供するというインフラ的な役割を果たしています。

学会は、社団法人などの法人として運営されていることが多く、基本的には学会員からの会費で運営されています。最近はほとんどの学会で会員が減少しており、このままでは近い将来に学会の存続そのものが危ぶまれる状況になる可能性が高いです。以下、個別の学会について見てみます。

応用物理学会の会員数は減少している

公益社団法人応用物理学会は、その前身となる社団法人応用物理学会が1946年に発足し、2011年に現在の公益社団法人になりました。応用物理分野の大きな学会で、半導体、光・量子エレクトロニクス、新素材などを中核の研究領域とし、さらに学際的な領域を次々に取り込みながら活動を続けています。

国際的にも応用物理分野で評価が高いJapanese Journal of Applied Physics (JJAP)などの論文誌を出版しています。同誌は、青色発光ダイオードでノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の論文もJJAPに掲載されています。

このような歴史があり、半導体関連の大きな研究成果発表の舞台ともなった応用物理学会も、会員数の減少に悩まされています。2008年に23,117人であった個人会員が、2018年には19.343人にまで減少しています。10年間で約16%減です。減少傾向には歯止めがかかってなく、当面、会員数の減少が続きそうな動向です。

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公益社団法人日本化学会の会員数は減少している

公益社団法人日本化学会は、国内最大の化学系の学会です。1878年に東京大学理学部化学科の卒業生および在学生約25名で結成された化学会から始まった、歴史ある学会です。

2013年2月末には会員数30,055人でしたが、2019年2月末には26,453人まで減少しています。6年間で12%との減少です。

最近は政府の方針により人口知能関連の学科を大学に増やそうという動きがあり、大学の教員数には定員があることから化学系の研究室が削減される動きもあります。これは直接的に化学会の会員数を減少させる影響を与えるでしょう。

公益社団法人高分子学会の会員数は減少している

公益社団法人高分子学会は、1944年にその前身となる財団法人高分子化学協会が設立され、1951年に高分子学会となり(*社団法人認可は1953年)、2012年に公益社団法人となりました。

会員数は、2014年に11,101人でしたが、2019年に9,622人まで減少しています。6年間で約14%の減少です。前述のように化学系の大学の研究室が削減される動きがあることから、今後も減少する可能性が高いです。

学会の収入源としては会員からの会費の他に事業収益等がありますが、一般にある程度組織的に活動できる事務局を維持するためには、会員数1万人程度が一つの目安のように感じます。これはもちろん詳細を精査せずに、あくまでも会員数から活動の規模をイメージした時の一般論ですので、厳密なものではありません。

公益社団法人などの学会は、一般的には予算的には質素で切り詰めた運営をしていますので、会員数が1万人を下回ると総収入が減少することが多く、規模の縮小に追い込まれる可能性があります。事業収入を増やすなど、事務局の人員や会員数が増えなくても総収入を増やす方法が見いだせれば必ずしもそうではありませんが、一般論としては難しいです。

一般社団法人電子情報通信学会の会員数は減少している

一般社団法人電子情報通信学会は、明治44年5月に、当時の逓信省電気試験所第2部の「第2部研究会」を源とする学会です。昭和62年1月から電子工学および情報通信を対象分野とする「電子情報通信学会」となり、平成24年度4月から「一般社団法人電子情報通信学会」となりました。

同分野の大きな学会で、会員数は2012年3月末には33,922人でしたが、その後減少し、2019年3月末には25,976人になっています。7年間で約24%減です。まだまだ大きな学会ですが、このペースで減少を続けると7年後頃には2万人以下になってしまいます。

一般社団法人日本光学会の会員数は減少している

一般社団法人日本光学会は、応用物理学会の分科会であった日本光学会が、2014年9月に一般社団法人に移行することにより設立されました。英文論文誌「Optical Review」と邦文の機関誌「光学」を出版しています。

個人会員数は2015年12月31日時点で835人でしたが、2017年12月31日時点で700人まで減少しています。2年間で約16%の減少です。企業会員等から会費を集めていますが、もっとも重要な個人会員数がさらに減少するようでは厳しい状況に追い込まれる可能性があります。

まとめ

日本の主要な学会で会員数が減少傾向にあることを紹介しました。人口が減少する時代に入りましたので、普通に活動していても減少すること自体は自然なのかもしれません。将来に向けて、学会の存在意義から再度議論し、多くの人が集まり、交流する場であり続けるように学会自らが変わっていかなければならない時期に来ている可能性もあります。

日本の大学の研究力の衰退については、こちらの記事「日本の大学の研究力は衰退する?ノーベル賞受賞者が警鐘!」で紹介しています。

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