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光ファイバーの損失原因は?光散乱と光吸収の波長依存性

投稿日:2019年7月18日 更新日:

大容量の信号を伝送するケーブルとして、距離が長くなるほど光ファイバーは金属ケーブルよりも優れています。しかし、光ファイバーでも、伝送に伴う光信号の損失(伝送損失)があり、伝送距離に制限があります。光ファイバーの伝送損失の原因とそれに起因する制限などについて紹介します。

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光ファイバーの伝送損失は?

光ファイバーは透明なガラス製のものとプラスチック製のものがあります。一般的な建物の窓ガラスは数mm程度の厚さで、これを見ると表面での光反射を除けばガラスを通過する時に光の損失が無いように思うかもしれません。しかし、窓枠にはめる前のガラスをエッジ部分から見てみると緑色に見えることをご存知の方もいらっしゃるでしょう。つまり、数mm程度の距離であれば透明に見えても、数十cm以上になると目視でも可視光全域で透明なわけではない(波長に依存した光吸収がある)ことがわかります。

実際、窓ガラスに使用するような一般のガラスでは低損失の光ファイバーを作ることができず、極めて高純度の合成シリカ(石英ガラス)で不純物が極力入らないように作っています。もっとも低損失の石英ガラス製光ファイバーは、波長1.55ミクロンで伝送損失0.2dB/kmというスペックです。あまりにも透明性に優れるためにイメージしにくいと思いますが、通常の状態の空気よりも透明と言えば何となくイメージできるでしょうか?

プラスチック光ファイバーは、アクリル(PMMA)系の光ファイバーが160dB/km程度(波長650 nm付近)、全フッ素化プラスチック系の光ファイバーが約40dB/km程度(波長1,000 nm付近)の伝送損失です。非常に低損失なのですが、さすがに石英ガラス製光ファイバーに比べると伝送損失が高く、使用できる長さに大きな違いがあります。石英系光ファイバーで40 km程度の長さ、全フッ素化プラスチック光ファイバーで100m~200m程度です(*正確なデータはメーカーにご確認ください)。

光ファイバーの損失原因は?

ガラス製光ファイバーとプラスチック製光ファイバーは、前述のような伝送損失です。一見、透明に見える石英やプラスチックなどの材料にはどのような損失原因があるのでしょうか?

材料に起因するの損失原因は、外的な要因と本質的な要因があります。外的な要因は、不純物などの異物が混入することです。低損失な光ファイバーでは、材料を精製し、極力異物が混入しないようになっているため、ほとんど不純物は混入していないと考えて良いでしょう。本質的な要因は、光散乱損失と吸収損失です。

青空は、大気中の分子によって太陽光が散乱されることにより観測することができます。純度の高い水も、入射した光が散乱します。これらと同様に一見透明な石英ガラスやプラスチックも、入射した光が散乱されます。光ファイバーは、コアをクラッドで包んだ構造となっており、コアを伝搬する信号光が散乱されると光ファイバーの外部に光が漏れ、損失なります。これが光散乱損失です。単純に散乱損失と呼ばれることの方が多いようです。

吸収損失は、材料固有の光吸収によるものです。光ファイバーに使用されるような材料は、一見透明に見えます。それは人間が見ることができる可視光域には大きな吸収損失が無いことを意味します。しかし、材料に固有の吸収損失が赤外域にあることが知られており、材料の同定などに利用されています。

光散乱損失は短波長になるほど指数的に大きくなります。逆に言えば、長波長になるほど光散乱損失は著しく小さくなります。吸収損失は赤外域にあります。その基本振動よりは小さくなるのですが、倍音吸収が短波長側に伸びてきます。その化学構造から、石英ガラスよりもプラスチックの方が吸収損失が短波長側に伸びています。

以上のことから、長波長側に行くほど光散乱損失が下がり、短波長側に行くほど光吸収損失が下がります。つまりそれらの「和」がもっと低くなる波長があることが分かります。それが「損失の窓」とも呼ばれる光ファイバーの最低損失波長域です。前述のそれぞれの光ファイバーの伝送損失は、この最低損失波長域のデータで、これ以外の波長域ではもっと伝送損失が高いです。

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光ファイバーの伝送損失と信号波長

ガラス製光ファイバーおよびプラスチック製光ファイバーには、それぞれ伝送損失が最低になる波長域がありますので、その波長の光源(LD:レーザーダイオードなど)を使えばもっとも長い距離で光信号を送ることができます。

実際に光ファイバーを使ってネットワークを使用する時に難点となるのは、ガラス製光ファイバーとプラスチック製光ファイバーで最低損失波長が異なることです。これまでガラス製光ファイバーが光通信ネットワークで主に使われてきましたので、そのLDや受光素子が安価になっています。ところがそれらがプラスチック光ファイバーには必ずしも最適ではないことがありません。そのためプラスチック光ファイバーのネットワークを構築しようとすると、安価なLDや受光素子が入手できないことが多いようです。

プラスチック光ファイバーの中でも全フッ素化したものは、1,000 nm付近の伝送損失が低いため、この波長域のガラス製光ファイバー用のLDと受光素子などが利用できるようです。

まとめ

光ファイバーの損失原因について紹介しました。光ファイバーは光信号を伝送するものですので、LDと受光素子と組み合わせて使わなければなりません。トータルコストとしても、ガラス製光ファイバーが有利な状況です。

光ファイバーについては、こちらの記事「光ファイバーのことがわかるまとめ!」にまとめましたのでご覧ください。

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