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自動ブレーキ義務化で交通事故死亡者数は減るのか?

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自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)システムの義務化に、日本や欧州を含む40ヶ国・地域が合意しました。2020年から自動ブレーキの義務化が実施される予定です。「本当に自動ブレーキを義務化すれば交通事故死者数を減らせるのか?」と疑問に思う人も多いでしょう。ある程度の効果が期待できますが、以下に詳しく解説します。

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日本の交通事故死者数の推移と減少要因

現行の統計を記録し始めた昭和23年(1948年)以降の日本の交通事故死者数の推移を見ると、2つのピークがあることが分かります。昭和45年(1970年)の16,765人と平成4年(1992年)の11,452人です。交通事故発生件数も2つのピークがあり、昭和44年(1969年)の720,880件は死者数のピークとおおよそ一致しますが、2番目のピークは平成16年(2004年)の952,720件は前述の平成4年(1992年)と大きく時期がずれています。

どういうことかというと、まず最初のピークを迎えたころから、交通事故・死者数を減らすために「交通安全基本計画」が策定され、実施されてきました。具体的には、歩道、信号機等の交通安全施設の整備充実、効果的な交通規制の推進、車両の安全性の向上、交通指導取締りの強化、運転者対策の充実、交通安全運転及び交通安全教育の普及等の交通安全対策が進められ、国民もそれぞれの立場で積極的な協力と自主的な活動を行いました。その結果、昭和54年(1979年)には死者数を8,466人まで減らすことができ、交通事故発生件数も昭和52年(1977年)に460,649件まで減らすことができました。

しかし、その後、再び両方とも増加に転じ、前述の時期にそれぞれピークを迎えています。これは若者(16歳以上24歳以下)の「自動車乗車中」の死者数が急増したことから、第2次ベビーブーム世代が運転免許取得年齢に達し、運転技能が十分ではない若者の運転免許保有者数が増加したことが要因の一つとして挙げられています。人口の増加、自動車およびトータルの走行距離の増加も影響しているでしょう。

前述のように、交通事故発生件数は平成16年(2004年)まで増え続けたのですが、それよりも12年も前に死者数はピークを迎え、その後は減少させることができました。これにはシートベルトの装着率の向上、エアバック、ABSなどの安全装備がほぼ標準装備となるなど、車の安全性能の向上が寄与したと考えられます。シートベルト着用の義務化も効果があったと言えます。

平成16年以降の交通事故件数減少には、飲酒運転の厳罰化と、それでも繰り返し発生する悲惨な飲酒運転による交通事故を根絶したいという社会的な機運の高まりが影響したと考えられます。実際、平成10年(1998年)に1,268件発生していた飲酒運転死亡事故は、平成13年(2001年)の改正刑法施行(危険運転致死傷罪新設)以降急速に減少し、平成20年(2008年)には305件となっています。その後も減少傾向にありますが、平成30年(2018年)は198件と減少率は鈍っています。

自動ブレーキ義務化で交通事故死者数は減るのか?

おおまかに昭和から平成までに交通事故死者数と交通事故発生件数の推移とそれらを減少させた要因を見てみました。ここから以下のようなことが分かります。

1.交通事故を引き起こす要因は複数のものがあり、そのうちの一つの要因でも無くす(あるいは改善する)ことができれば、それに起因する交通事故死者数・発生件数を減らすことができる。

2.具体的な方法としては、法改正(厳罰化)と車の安全装備の普及・性能向上、道路・信号等の交通安全施設の整備、交通事故を根絶しようという世論の形成と国民の協力・努力などが行われ、効果を発揮した。

例えば、統計的には「飲酒なし」の交通事故に比べて「飲酒事故」での死亡事故率は約8.3倍になります。つまり、飲酒運転を撲滅できれば、仮に交通事故発生件数が同じであっても、交通事故死亡数は大きく減らせることが分かります。そもそも飲酒運転を撲滅できれば交通事故発生件数も減るでしょう。

これは「飲酒運転」という要因について見たわけですが、他の要因についても同様です。例えば、交通事故におけるシートベルト着用の有無の致死率への影響を見ると、着用した場合に比べ非着用では致死率は14.7倍にも高まります。このように交通事故で死亡する要因や交通事故を引き起こす要因を分析し、その要因を無くす(あるいは改善する)対策を講じれば、統計的には減らすことができるわけです。

このことから自動ブレーキを義務化した場合の効果が推定できます。事故類型別交通事故発生件数(平成30年)を見ると、追突が149,561件で34.7%を占めます。現在の自動ブレーキはまだ発展途上で、完璧なものではありませんが、すでに自動ブレーキ搭載車と非搭載車の統計を比較すると大きく追突事故を減少させることができています。自動ブレーキも年々性能が向上していますので、現在統計データが得られているのは一世代前の自動ブレーキと思われますし、メーカーや車種によっても差がありますので「何割事故が減少した」という割合を議論するのは難しいのですが、損害保険会社が保険料を引き下げるほどですので大きな効果があります。そして性能向上とともに、その効果は年々大きくなるでしょう。

自動ブレーキは、対歩行者や夜間の対歩行者などの方が対車両よりも技術的に難しいです。逆に言えば対車両の方が技術的に難易度が低く、すでに大きな効果が確認されています。衝突を回避したい対象物が大きいので、技術的な難易度という点でも理解しやすいでしょう。つまり、現在実用化されているものでも、車が車に追突する事故に対してはかなり衝突被害を軽減する効果、衝突を回避する効果が得られるわけです。現在の事故の34.7%を占める追突事故を大きく減少させることができそうです。


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自動ブレーキ義務化後にその効果が確認できるのはいつ?

自動ブレーキが義務化されても、販売される新車に自動ブレーキが義務化されるわけですので、すでに走行している車がすぐに自動ブレーキを搭載するようになるわけではありません。車の買い替えの平均年数も伸びていますので、多くの車に自動ブレーキが搭載されるようになるまでは、10年以上の時間がかかるでしょう。

すでに新車購入時に自動ブレーキ搭載車を選ぶことができるので、できるだけこれから購入する人は、義務化前であっても自動ブレーキ搭載車を選ぶことが交通安全のためになりますし、結果的には自分が交通事故を引き起こす確率を下げられますので投資に値するでしょう。多くの人がそのような意識を持つことが、自動ブレーキ搭載車の普及を加速させます。

ところで飲酒運転の厳罰化をしてから飲酒運転が大きく減少したことを前述しましたが、それでも飲酒運転をする人が存在することは認識しておいた方が良いでしょう。つまり、ある方法が交通事故死者数・件数を減らす効果があったとしても、その方法でも効果がないケースがあり得るということです。効果が無かったケースに対して新たな対策を講じるなど、粘り強く交通事故根絶の努力を続けなければなりません。

その中で、法整備、新しい技術の導入、世論の形成は今後も効果を発揮するでしょう。

まとめ

自動ブレーキの義務化によって交通事故を減らすことができるのかについて解説しました。自動ブレーキは着実な成果を上げつつあります。多くの人の努力によって普及を加速させましょう。

参考文献:内閣府「令和元年版交通安全白書」

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