海の色はなぜ青いのでしょうか?普段当たり前のように見ている自然の風景ですが、その理由を考えると説明が難しいですね。さらに浅い海の色の違いなど、場所によって色も変わります。以下に分かりやすく解説します!
海の色はなぜ青いのか?理由は?
色というものは、光が目に入ってくることにより感じられます。暗闇では何も見えず、色も感じられないことから、すぐに理解できるでしょう。海水が直接光を発することはありませんので、海が青く見えるのは、外部から海に入射した光が反射・散乱し、それを眺める人間の目に届くことに依ります。



次にジンベイザメなどの大型の海洋生物を飼育している水族館の水槽を見てみましょう。今度は同じ海水なのに青く見えます。この水槽の照明は、水槽の上から照らしていますので、上から水中に入射した光が海水に散乱されて、横方向に進み、観察者の目に届いています。照明は白色光なので、赤・緑・青の波長成分が含まれていますが、海水は青色の波長成分の光が強く散乱され、視認されていることが分かります。


海の色の違いはなぜ起こる?
海の色は、深い場所ほど暗い青に見え、浅い場所ではエメラルドグリーンなどに見えることもあります。このような色の違いはなぜ起こるのでしょうか?

「黒潮」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?東シナ海を北上してトカラ海峡から太平洋に入り、日本列島の南岸に沿って流れ、房総半島沖を東に流れる海流のことで、透明度が高く、実際に青黒色に見えますので、「黒潮」と呼ばれています。
「黒潮」は、貧栄養であり、プランクトンが少なく、透明度が高いことが分かっています。海水面から入射した太陽光は、海水中をより深い方向へ進みながら、光強度が減衰します。透明度が高い海水でも、水深200m程度までしか光が届かないようです。そのため表層の水深200m程度のところまでに植物プランクトンやその他の微生物、それらの死骸などのゴミが浮遊しています。これらの微小な浮遊物が水分子よりも光を強く散乱します。そのためこれらの濃度が高いほど、海水が明るく見えます。一般に海水温が高いほどプランクトンが少なくなるため、南の海から北上してくる「黒潮」は透明度が高く、暗く見えるわけです。
透明度が高く、深い海水ほど、水分子からの散乱光が海水面から出て来て観察されます。さらに短波長側の光ほど吸収されにくいという海水の特性もあり、青黒く見えるわけです。ここで「黒く」というのは、光が弱いという意味で、太陽光が海水中に入射し、深くまで進み、散乱されてまた長い距離海水中を進んで戻ってくるために、減衰して弱くなることによります。
反対に浅い海では海が明るく見えます。顕著なのは白い砂浜のビーチなどで、この場合は浅い海底の白い砂が見えていることが分かるでしょう。海底が白くなかった場合などに色味が変わるのは、水の色に海底の色が重ね合わされるためです。

海の色から分かること
海の色について解説してきましたが、これらから分かるのは、海の色にはそのように見える理由があるということです。この因果関係が分かれば、海の色を観察することで、海の状況に関する情報を得ることができます。実際、海で仕事をする漁業関係者は海の色についてもよく観察しています。
もっと地球規模での観測にも利用されています。海は広大ですので、「黒潮」のような海流の流れやプランクトンの状態などを大規模に調査するには、それに相応しい技術が必要です。そこで活用されているのが人工衛星による観測画像を用いたリモートセンシングです。

まとめ
「海の色はなぜ青いのか?」について解説しました。基本的には海水により光が散乱されることと、海水の透過率が長波長側の赤や緑に比べて青の光の方が高いことによります。浅瀬では海底の色の影響が大きいですし、海の明るさには表層部に浮遊する微小なプランクトンやゴミの影響が大きいです。
1年は何週間なのかについてこちらの記事で紹介しています。
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