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SID2019でパロアルト研究所がマイクロLEDの製造方法を発表!

投稿日:2019年5月31日 更新日:

米国サンノゼで開催された世界最大のディスプレイの国際会議SID Display Week 2019で、米国のパロアルト研究所がマイクロLEDの製造効率を飛躍的に高める可能性がある製造方法を発表しました。以下に紹介します。

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SID2019でパロアルト研究所がマイクロLEDの製造方法を発表

マイクロLEDディスプレイは、究極のディスプレイとも言われる次世代ディスプレイです。ソニーが世界で初めて試作品の公開および事業化を行いました。その後、サムスンなども追随していますが、現時点では100インチ以上の超大型ディスプレイのみが事業化している状況で、ディスプレイの主流にはなっていません。

その原因の1つが高価な製造コスト。1つのサブピクセルが1つのマイクロLEDから構成されていますので、それらを4Kあるいは8Kの画素分正確に配列し、配線していく工程に多大な労力と時間がかかり、製造コストを押し上げてしまうためです。

それぞれの工程ごとに、製造効率を高め、コストダウンする研究開発が進められています。その中でも難易度が高いとされているのは、膨大な数のマイクロLEDを正確に並べる工程、それらを最終的な基板上に移送する工程です。さらにマイクロLEDも良品と不良品が製造されてしまうので、それらを分類する工程、配列時に欠陥となった部分を修復する工程なども重要です。

SID2019でのパロアルト研究所からの発表は、これらの工程を極めて高効率に行うことができる方法についてです。それは同研究所が得意とするXerographyに類似した方法です。カラーレーザープリンターでは、感光体ドラムを帯電させ、そこに印刷する画像に対応するようにレーザー光を照射し、電荷を下げます。そして3原色のトナーを感光体ドラム上に付着させ、それを回転させながら印刷用紙に移送・固定して画像を形成します。

今回発表した方法では、マイクロLED素子などを含んだインクを用意します。このインクをphoto transistorアレイの上に置き、MEMS-basedプロジェクターを組み合わせてマイクロLED素子にかかる電界を制御します。この制御によって、マイクロLED素子の正確な位置決めと配向方向を調整することができます。続いて、これらのマイクロLED素子をゴム製のシリンダー状スタンプに移し、回転させながら最終的な基板上に移していきます。

顕微鏡写真で、数秒間程度で膨大な数のマイクロLED素子が、ランダム状態から整然と並んだ状態にそろえられている様子が分かります。さらに衝撃的なのは、3種類の異なる素子を同時に規則正しく並べることもできるというデモも行われていることです。これはもちろん赤・緑・青のマイクロLED素子を想定してのデモです。

これらの制御はソフトウェアで自動的に行っているのですが、画像を見ながら人間が操作したものもソフトウェアに取り込んでいくことができるそうです。つまり、ソフトウェアの精度はどんどん向上するということです。また画像認識技術を組み合わせれば、不良品を分類したり、欠陥を修復することも自動でできるようになると考えられます。

マイクロLEDディスプレイの普及を強力に進めることができる可能性がある技術です。

パロアルト研究所(PARC)とは?

パロアルト研究所(PARC: Palo Alto Research Center)とは、米国カリフォルニア州パロアルトにある研究開発企業です。もともと複写機のゼロックスが開設したもので、2002年にゼロックスの完全子会社になっています。

パロアルト研究所を有名にしたのは、その卓越した研究成果です。マウス、イーサネット、レーザープリンター、GUIなどを発明しています。Appleのスティーブジョブズ、マイクロソフトのビルゲイツが、パロアルト研究所を見学し、GUIを見てから、それぞれMacintosh、Windowsを開発・発売したことは良く知られています。コンピューター、ITの分野では、今でも著名な研究所として活動を続けています。

前述のように、今回の発表も、同社が得意とするレーザープリンターなどの技術に類似したもので、研究開発企業としてのプライドが感じられます。

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パロアルト研究所のXerographic MicroAssembly Printerは普及する?

今回のSID2019の発表タイトル中では、「Xerographic MicroAssembly Printer」と呼んでいました。同社のホームページでは「Micro Assembler printer」と記載されています。まだ研究開発中のようなので、商品名というわけではないと思いますが、いずれにしてもこのMicro Assembler printerは普及するのでしょうか?

正直なところ、今回の発表内容のみからでは判断できません。しかし、2~3年程度でその可能性が明らかになると予想します。

前述のように、現在のマイクロディスプレイの製造プロセスには、製造効率の大幅な改善が必要な工程が複数あります。それらをすべて1社で解決できるような力のある企業は見当たらなく、今回の発表のように、特定の工程のみに優れた提案をする企業が複数あります。例えば、パロアルト研究所の発表には、マイクロLED素子を作る工程については、対象にしていません。

想定されるシナリオは、大きなディスプレイパネルメーカーが、それぞれの工程ごとに優れた提案を採用し、それらを統合してマイクロLEDディスプレイを製造するという進み方です。また各工程が得意な企業が、それぞれ自らの工程と相性が良い企業と組み、ある程度ユニット的なものにしてから、広く外販するという展開も考えられます。

いずれにしても、今回のパロアルト研究所の発表は、注目に値するものでしたので、マイクロLEDディスプレイの製造に本気で取り組む企業は早期に同社にコンタクトするでしょう。活用できるのであれば、2~3年程度の間にある程度トライアルが進められるはずです。

まとめ

SID2019におけるパロアルト研究所からのマイクロLEDの製造に関する発表について紹介しました。今後の展開に注目です。

SID2019での注目のトピックについては、こちらの記事「SID2019のまとめ!マイクロLED、有機EL、ミニLEDバックライト」にまとめました。

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