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マイクロLED

京セラがSID2019で発表したマイクロLEDディスプレイとは?

投稿日:2019年5月24日 更新日:

世界最大のディスプレイの国際会議SID Display Week 2019に併設の展示会において、京セラがマイクロLEDディスプレイを展示し、大きな注目を集めました。ソニーが大型のマイクロLEDディスプレイを製品化して以降、日本企業の参入が久々であったためです。どのようなディスプレイであるのか、以下に紹介します。

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京セラがSID2019で発表したマイクロLEDディスプレイとは?

京セラが展示したマイクロLEDディスプレイの試作品の主要なスペックは以下の通りです(*シンポジウムで発表された京セラの論文参照。SID 2019 Digest 11-5, 2019)。

ディスプレイサイズ:1.8インチ
解像度:256×256
画素密度:200ppi
カラー方式:赤・緑・青・黄のサブピクセルから1画素を構成
      各サブピクセルをそれぞれの色で発光するLEDで構成
      *量子ドットやその他の蛍光体の使用については記載はない
      *それぞれの色のLEDの発光特性についても記載はない
画素ピッチ:127um
最大輝度(白表示時):984nits
コントラスト:100万対1
フレームレート:240Hz
視野角:178度
動作温度範囲:-30~80℃
色域:NTSC比117%、Rec.2020比88%

展示ブースでの撮影も制限されており、各色のLED作製方法等開示されていない重要部分もあります。しかし、試作品は非常に明るく、高画質に見えましたので、説得力がありました。

これまで他の研究グループなどから発表されている内容から考えると、赤・緑・青で発光するそれぞれのマイクロLEDを同一基板上で作製することが難しく、またLEDの性能のばらつきもあるため、多くの場合はそれぞれ個別に作って、良好な特性のマイクロLEDをピックアンドプレイスで並べるという方式を採っています。そしてこの工程に多大な時間とコストがかかることがマイクロLEDの製造コストアップの原因の一つとなり、本格的な普及の壁となっています。

いきなり同一基板上で赤・緑・青のマイクロLEDを作製する試みも進められていますが、その場合は不良のマイクロLEDをどのようにリプレイスあるいはリペアするのかということが課題となります。最近のディスプレイ分野では、ほとんど画素欠陥が許されないからです。

シャープのなどのように、これらの課題を回避するため、青色のマイクロLEDアレイを作り、その上に量子ドットや無機の蛍光体を配置してフルカラー化を実現する方法が現時点では、実用化に近そうな方法として注目されています(*シャープのマイクロLEDについては、こちらの記事「シャープがSID2019で発表したマイクロLEDディスプレイとは?」で紹介しています)。

京セラの論文では、赤・緑・青・黄の4色のサブピクセル構成となっていることも驚きですが、これらの課題をどのように解決しているのかは記載されていません。最高機密なのでしょう。何らかの方法により克服したのであれば、驚異的な成果です。

京セラがSID2019で発表したマイクロLEDディスプレイの狙いは?

京セラの発表論文の記載内容から、今回の同社のマイクロLEDは次のような狙いのようです。

これまでにCOMSバックプレーンにより、極めて高い画素密度のマイクロディスプレイが報告されており、これらはARやVR用に期待されています。しかし、CMOSバックプレーンということから1インチ以下のディスプレイサイズに制限されています。ガラス基板でLTPSのバックプレーンを用いれば、このような制限を取り払い、もっと大きな画面サイズまで可能性が広がります。ここに同社の狙いがあるようです。

マイクロLEDディスプレイは、製品化ではソニーが世界をリードし、100インチ以上の大型の用途に狙いを絞って事業化しています。サムスンも映画館向けなど、大型から参入しています。

ディスプレイ分野を俯瞰した時に、次は技術的な特性から考えて、1インチ以下のマイクロディスプレイがターゲットになるのではないかと言われてきました。

実はこれらの間のテレビ、モニター、スマホ、Watchなどが市場規模はもっとも大きいのですが、既存の液晶や有機ELなどがすでにかなり低価格で利用されているので、事業としてハードルがもっとも高いと考えられます。

京セラのコンセプトはマイクロディスプレイよりも上のサイズということなので、将来的にもっとも市場規模の大きい領域を狙うということなのでしょう。


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京セラのマイクロLEDディスプレイはApple Watch搭載を目指す?

京セラの発表論文の中に、縦軸「インチサイズ」vs 横軸「画素密度」のグラフ上にディスプレイの用途をマッピングした図があります。論文中で明確に書かれていませんが、1インチ以下のマイクロディスプレイよりは上のサイズを見た時に、一番近いところで「Watch」と書かれていますので、当面はこの用途を意識しているのかもしれません。

それはApple Watchを代表とするスマートウォッチの用途では、マイクロLEDディスプレイが期待されています。特にAppleがマイクロLEDディスプレイのベンチャー企業を買収してから、Apple WatchにマイクロLEDディスプレイが搭載されるのではないかという憶測情報がかなりあります。

現在のApple Watchは、有機ELディスプレイが搭載されており、非常に美しい表示です。新製品になる度に改善されていますが、一番の泣き所はバッテリー寿命と最大輝度でしょう。腕時計ですので、屋外で文字盤を見ることがありますが、日光が当たる状況でも十分に読み取れるレベルの輝度が求められます。

また現在の製品でも、ほぼ1日に1回充電しないと使い続けられません(*使い方にもよりますが、1回の充電で3日以上持つことはないでしょう)。常に装着しておくウェアラブルデバイスとしては、頻繁に充電しなければならないのは煩わしいですし、通常の腕時計ならば毎日充電する必要が無いことを考えても、ディスプレイの効率を向上させたいという要求は高いです。

これらに応えられるディスプレイ技術は、現時点ではマイクロLEDディスプレイしかないでしょう。京セラはそこを目指しているのかもしれません。

まとめ

SID Display Week 2019における京セラの発表したマイクロLEDディスプレイについて紹介しました。日本メーカーがディスプレイ分野で新たな技術を開発し、強い製品を発売してくれることに期待します。

SID2019での注目のトピックについては、こちらの記事「SID2019のまとめ!マイクロLED、有機EL、ミニLEDバックライト」にまとめました。

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