幸せな人生

人生は山あり谷あり、楽しいこともあれば辛いこともあります。幸せな人生を送るためのノウハウ、独り言などを書いていきます。幸せな人生を送りたい方のヒントになれば幸いです。

有機EL

SID2019で見た韓国勢と中国勢の激しい戦い!LGとBOEは?

投稿日:2019年5月20日 更新日:

世界最大のディスプレイの国際会議Display Week 2019がSIDの主催により米国サンノゼで開催されました。シンポジウムに展示会が併設されており、詳細な論文発表の他に多くの試作品を見ることができる貴重なイベントです。韓国勢と中国勢の激しい戦いについて紹介します。

スポンサーリンク

SID2019で見た韓国勢と中国勢の激しい戦い!

ディスプレイ分野の花形であるディスプレイパネルメーカーについては、かつては日本メーカーの存在感が大きかったのですが、2000年代後半から日本メーカーの撤退・事業縮小が相次ぎ、現在では往時の面影もありません。当時から日本メーカーは韓国メーカーに猛烈なキャッチアップを受け、追い抜かれていきました。その後、その韓国メーカーでさえ、中国メーカーにキャッチアップされ、かつての日本勢のように追い抜かれるとの予測が調査会社などからなされていましたが、いよいよそれが現実のものとなりそうな雰囲気を十分に感じることができる、ある意味恐ろしいSID2019の展示会でした。

中国勢は数年前からSIDで大きなブースを出して展示を行っており、かなり目立った存在となっていました。当初は、早期に立ち上がった大型液晶パネルの展示が多く、8Kの液晶パネルが目を引いていました。日本でシャープの8Kパネルの展示を見た経験がある人にとっては、中国メーカーの8Kパネルは、フレームレートが遅いなどの点で性能的に一歩劣るものという印象を受けました。それでもIPSパネルで、きれいな映像表示のデモを見ると、「もうここまで中国でできるのか・・・」という印象を受けました。それが今年は、下記に述べるようにほぼ性能的に遜色ないものまでできています。

また当時から中国企業のブースの展示員が元気であるのも印象的です。年々事業が拡大していく右肩上がりの状況を反映したものなのでしょう。

また韓国勢は、技術的には世界トップレベルのものを作っていますが、報道されている業績・事業環境などから、今後の中国勢との戦いに不安を感じます。以下、さらに個別企業についてみていきます。

SID2019でのLGとサムスンの展示

ディスプレイの韓国の2強は、言うまでもなくサムスンとLGです。今年はサムスンがブースを出展していなかったため、韓国勢としはLGのブースが注目を集めていました。サムスンは、以前にも業績が悪化した時にSIDの展示会にブースを出さなかったことがあります。CES2019には出展をしていたので、もしかしたら展示会としてはCESに重点を置き、SIDには出展しない方針であるのか気になるところです。

かつては展示会の入り口付近のもっともよい場所に、サムスンとLGが隣り合ってブースを出し、火花を散らしていた時代がありますので、サムスンが出展せず、中国勢のブースが目立つ状況に、勢いの差を感じます。たかが展示と言えばその通りなのですが、ビジネスの状況と相関が深いことは間違いないでしょう。

LGのブースでやはり力を入れていたのが有機EL(OLED)です。88インチの8K OLEDの画質が素晴らしく、ひときわ目立っていました。

その近くに、複数枚の大型OLEDパネルを曲げて作ったアート作品もありました。この他にも話題になった巻き取り式のOLEDテレビのデモも行われており、多くの人が見学していました。

LGの液晶ディスプレイビジネスは他社と同様に利幅が薄くなり、OLEDに活路を求めていくことになりそうです。現在、大型テレビ用のOLEDパネルの供給においてはほぼ独占状態で、以下のようなメーカーにOLEDパネルを供給しています。

かつてシャープが液晶パネル工場に大規模な投資をして、その後に稼働率が上がらなかったことが経営難に陥る一因となっています。このことから需要を無視した過大な投資が無謀であったと指摘する声もあるのですが、韓国・台湾・中国勢とディスプレイパネルビジネスで正面から戦うには、継続的な投資を行い、生産コストを下げ続けなければ負けてしまうのは明らかです。

むしろ日本国内の地デジへの移行時にテレビの販売台数が急増し、パネルの需給がひっ迫し、国内テレビメーカーへの供給よりも自社製品への搭載を優先させたことが、それまでシャープのパネルを購入していた顧客企業の反感を買い、その後のパネル販売の低迷につながったという意見が説得力がありそうです。

ディスプレイパネルビジネスでは大規模投資を続け、コストダウンを進め、大量に生産するパネルを売り切ることが必要です。LGが自社のOLEDパネルを供給する相手企業を、わざわざ展示会のブースで大きく発表しているのは、自社製品のユーザーとの絆の重要さを痛いほど理解しているためではないかと感じました。

サムスンは、ブースを出展していなかったのですが、Nanosysのブースに8KのQLED TVを展示していました。

8Kの高精細で、QDを使用した高画質表示で、文句なく美しい映像です。展示会で見るQDのデモは、専用の映像コンテンツを映しているので、どれを見ても美しい印象です。しかし、販売されているQDを搭載した液晶ディスプレイは、KSFなどの広色域用蛍光体を用いたものと比べ、色域がわずかに広いだけのようで、QDが今後どこまでのキーテクノロジーとなるのかは不明です。また色域に関しても、QDやKSFを用いた広色域液晶ディスプレイとそうではない色域が狭いディスプレイとの差は、一目でわかりますが、そのからさらに広色域化したディスプレイについては、どれだけの違いをお客が感じ、その付加価値に対してお金を支払うのか現時点では疑問なところがあります。

液晶ディスプレイについては、ミニLEDバックライトなどの、画質を大幅に向上できる技術が利用できる段階まで来ていますが、年々下がる価格の状況で、その付加価値を価格に織り込んで販売することが難しい状況のようです。つまり、液晶ディスプレイの画質は、現在販売されている製品よりもさらに向上できますが、その付加価値を認めさせて値上げすることが難しい状況です。単純にハードウェアとしての「液晶 vs 有機EL」というものでも無いようです。

スポンサーリンク

SID2019でのBOEの展示

中国勢の躍進が著しいSID2019の展示会でした。その中でも2017年から大型液晶パネルの出荷量世界1位であるBOEの存在感は大きかったです。8Kの液晶パネルが一際目立っていました。かつてはフレームレートが遅かったのですが、今回は120Hzのディスプレイを展示しており、もはや欠点が感じられません。

ミニLEDバックライトによるHDRや広色域化技術、狭額縁化など、「一通りのことは何でもできますよ!」とアピールするような展示でした。猛烈なキャッチアップによる成果で、BOEオリジナルな新しいものがどれだけあるのかはわかりません。しかし、このような状況となると、競合他社も技術的な差別化をすることは困難でしょう。

また折りたたみ可能なフォルダブル有機ELやマイクロLEDディスプレイなどにも積極的に取り組んでおり、そろそろキャッチアップという言葉も当てはまらなくなる時が近づいているようです。恐るべし中国勢!BOE!という印象を強くしました。

フレキシブルOLEDについては、こちらの記事「SID2019でフレキシブル有機ELの展示多数!中国勢が猛追!」で紹介しています。

まとめ

ディスプレイ分野における中国勢の躍進を強く感じたSID2019でした。前述のシャープの例のように、日本の電機メーカーのディスプレイ分野での苦境は、それぞれの企業の経営の責任に帰するという考え方が根強くあります。もちろんそのような健全な考え方は大切ですが、この20年間のディスプレイ産業の隆盛を振り返ると、個別企業の努力としては撤退するしか無いような印象を受けます。中国勢は巨額の支援を得ており、人件費・物価も安く、中国国内市場の大きく、撤退した日本企業等から人材も獲得しています。国家レベルで「産業」を獲りに来たわけですので、現在の米中の争いが起こることもわかるような気がします。

SID2019での注目のトピックについては、こちらの記事「SID2019のまとめ!マイクロLED、有機EL、ミニLEDバックライト」にまとめました。

スポンサーリンク

-有機EL
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

有機ELを印刷方式で作る時の発光材料は?住友化学が強い?

SamsungのスマホGalaxyだけでなく、AppleのiPhoneにも有機ELパネルが採用され、今後のスマホのディスプレイの主流になりそうです。大型の有機ELテレビも、LGだけでなく、ソニー、パナ …

SID2019で印刷方式有機ELをJOLEDとCSOTとTianmaが展示!

世界最大のディスプレイの国際会議SID Display Week 2019が米国サンノゼで開催されました。展示会が併設されており、世界の有力メーカーから試作品の展示がありました。注目のインクジェットに …

HDRとは?テレビの画質は何で決まるの?HDR10とHLGとは?

「高画質なテレビ」という表現をよく使いますが、そもそもテレビの画質とは何で決まるのでしょうか?また最近はHDR(High Dynamic Range ハイダイナミックレンジ)という言葉もよく耳にします …

折りたたみスマホの耐久性は大丈夫か?耐久性試験方法は?

韓国サムスンの折りたたみスマホ「Galaxy Fold」が当初4月26日に発売予定でしたが、事前にチェックしていたレビュアーから画面が破損した等の報告があり、発売延期となりました。この機種に限らず、そ …

ランニングの効果は距離が短くても実感できる!体力増強!

社会人の場合、本格的に何かの競技に打ち込んでいるアスリートを除くと、仕事などで忙しくて運動不足になる人が多いです。身体は使わないと衰える一方で、気がつくと自分でも驚くほど体力が低下してしまうことがあり …