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日本の電機メーカーはなぜ衰退したのか?復活できるのか?

投稿日:2019年4月5日 更新日:

東芝の経営危機、シャープの鴻海精密工業傘下入り、パイオニアの上場廃止とベアリング・プライベート・エクイティ・アジアによる買収、ジャパンディスプレイの台湾・中国の企業連合の傘下入りなど、日本の主要な電機メーカーの凋落が著しく、日本社会に暗い影を落としています。日本の電機メーカーはなぜ衰退したのでしょうか?もう復活できないのでしょうか?

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日本の電機メーカーはなぜ衰退したのか?

2000年以降、日本の電機メーカーの業績不振に関する報道が多くなされ、それらの記事中でその原因を指摘されています。それぞれの企業に個別の事情がありますので、あまり単純化してまとめるのは難しいです。

例えば、シャープの衰退は、巨大な最新鋭の堺工場への過剰な投資が間違いだったとする論調が多かったようです。しかし、最近はより詳しく分析し、堺工場への投資を肯定する論調も見かけるようになりました。確かに液晶パネル事業は、より大型のパネルを作る工場への投資を怠った途端、競合他社よりも製造コストの点で不利になり、戦えなくなります。つまり、液晶パネル事業を続けるのであれば、堺工場への投資は必要だったというわけです。

より大型の工場が稼働すると、大量の製品が生産されますので、それを売り切る努力が必要です。シャープは、ソニー、東芝などの日本メーカーに液晶パネルを販売し、シャープ陣営を築きましたが、家電エコポイントでテレビの販売が急に伸び、液晶パネルの供給が逼迫した時に、自社向けを優先し、ソニーや東芝への供給を絞ったようです。そのことがその後のソニーと東芝のシャープ離れにつながり、シャープの工場の稼働率低下と業績不振という結果になりました。鴻海に買収された後、液晶パネルの販路ができ、業績が回復したことからも、最新鋭の液晶パネル工場への投資は間違っていなかったことが分かります。

このように一般に言われていることも、必ずしも正しい分析ばかりではなく、詳しい調査が行われないと分からないことが多いようです。しかし、もっと日本の電機メーカー衰退の根本的な原因を探っていくと、かなり昔のある出来事に辿り着きます。それは日本メーカーから韓国、台湾企業への技術供与です。

日本の電機メーカーの衰退は、主に韓国と台湾メーカーとの競争に敗れた結果です。なぜ韓国と台湾にそのような強敵が育ったのかを辿ってみると、実は日本から技術供与して、そこから韓国と台湾で積極的な投資を行い、猛烈なスピードで育ててきたことが分かります。

韓国サムスンは、日本企業に半導体技術の供与を要請し、1983年にシャープはサムスンの社員を受け入れました。1992年に、東芝はサムスンにNAND型フラッシュメモリーの技術を供与しました。サムスンはそれを足掛かりにして、日本企業の社員をヘッドハントしたり、日本でリストラされた技術者を雇ったりして、急速に技術を習得しました。さらに日本企業を大きく上回る巨額の投資をして、日本企業のシェアを奪っていきました。

1997年のアジア通貨危機の際に、強烈なウォン安・円高となり、サムスンと競合する日本企業は圧倒的に不利になりました。その時に日本の液晶メーカーが選択したのは、台湾の液晶メーカーとの協業です。投資リスクを下げ、韓国勢と戦うための戦略ですが、最先端の液晶技術を台湾メーカーに供与することとなってしまいました。その後、台湾メーカーがシェアを伸ばし、日本の液晶メーカーは苦境に陥ります。

半導体では、前述の東芝がサムスンに供与したNAND型フラッシュメモリーの技術を足掛かりに、サムスンが世界シェアトップになっています。

理系の大学院修士課程まで勉強したことがある方ならば分かると思いますが、大学4年生から修士2年生まで研究に取り組むと、その分野の基礎を学ぶことができ、意欲があればさらに研究を発展させていくことができます。ところが、まったく学んだこと、指導を受けたことがない研究領域で、世界トップレベルの研究を立ち上げるのは至難の業です。それだけ足掛かりになる部分を教えてもらえるかどうかは大きいわけです。

したがって、日本の電機メーカー衰退の根本原因の一つは、将来のライバルに技術共用して教えてしまったからです。単純なことですが、かなり力の差があったり、自らが業績不振でとりあえずお金が必要だったりなどの理由で技術供与してしまう例が案外あるということです。

日本の電機メーカーは復活できるのか?

現在の日本では、地道に基礎研究から始めて、新しい事業・産業を育てて行っても、後から韓国・台湾・中国にキャッチアップされてしまい、全部持って行かれてしまうという思い込みがあります。そのため、もはや日本では製造業は育たないのではないかと考える人も少なくないでしょう。

しかし、前述の歴史から分かることは、多大な努力をして産み出した技術を、簡単に海外企業に供与してしまっているという事実です。これをやってしまうと、すぐにではなくても、将来必ず相手は成長し、ライバルになってきます。

一つだけ勇気付けられる事実は、最初の優れた技術は日本から生まれたものが多いということです。したがって、これからも日本で必死に優れた技術を研究開発し、事業化することが重要です。そしてその技術を流出しないように守り続けることが必要です。そうすればまだまだ日本から新しい産業が生まれ、育っていく可能性は十分にあるでしょう。

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日本の電機メーカーを復活させる人材は危機的状況

もっとも懸念されるのは、これからの日本の研究開発を支える人材です。冒頭で述べたような日本の電機メーカーの衰退から、研究開発の道に進もうという人材が少なくなりそうです。さらに少子化・人口減少という大きなトレンドがあり、日本の研究開発を支える人材の絶対数が減っていくことは間違いありません。

日本のノーベル賞受賞者が訴えているように、日本の大学の研究環境の劣化も深刻です。長期的な視点で、日本の研究開発を支える人材を育成していかないと、日本から新しいものが生まれなくなってしまいそうです。そのような状況になってしまったら、日本の国際競争力は取り返しがつかないほど低下してしまうかもしれません。

まとめ

日本の電機メーカーが衰退した根本的な原因について紹介しました。日本の競争力を維持するためにも、研究開発を支える人材を育成すべきでしょう。

将来の日本の研究開発を支える人材を育成する大学で、予算が削減されたことにより基礎研究および人材育成が苦境にあります。詳しくは、こちらの記事「国立大学運営費交付金の削減が続く!日本の研究開発力は?」をご覧ください。

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