量子ドットの耐久性は?バリアフィルム付でもスマホには使えない?

量子ドットディスプレイ

最近は4K/8K放送のBT.2020に準拠した放送信号のように、広い色域で記録された映像コンテンツが増えています。そのためそれらの鮮やかな色を存分に活かして表示できるディスプレイが求められています。液晶ディスプレイの色域拡大の技術として量子ドットが期待が寄せられていますが、その耐久性を懸念する声も聞かれます。どのような状況なのでしょうか?

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量子ドットの耐久性は?

ディスプレイに用いる量子ドットとは、直径数ナノメートル程度の半導体粒子で、短波長の光を吸収し、より長波長の光を放出する機能があります。一般的には青色LEDの発する青色光を吸収し、赤色あるいは緑色の光をそれぞれ放出する量子ドットが開発されています。

魅力的な材料ですが、酸素や水分の侵入によって分解しやすく、そのまま通常の環境下で使用すると、ディスプレイ製品としての耐久性を満足するものが得られません。直径数ナノメートルという極めて微小な粒子ということは、比表面積が大きく、侵入した不純物と反応しやすいことを意味します。

そのためこれまでに液晶ディスプレイに使用された製品は、ガラス管中に封止したものとポリマーフィルム中に混ぜ込んだものです。現在は、後者が主流になっています。この量子ドットフィルムには、バリアフィルムが使用されています。

量子ドットフィルムのバリアフィルムとは?

世界で初めて製品に搭載された量子ドットフィルムは、Nanosys社と3M社が協同開発した「QDEF(Quantum Dot. Enhancement Film)」で、2013年10月18日発売のAmazonのKindle Fire HDX 7に搭載されました。QDEFには、フィルムの両面にバリアフィルムが貼合されていました。バリアフィルムは、水分と酸素の侵入を防ぎ、量子ドットフィルムの耐久性を向上させます。

ガラス基板は、ほぼ完全に水分と酸素の侵入を防ぐことができるのですが、バリアフィルムの場合は、完全に防ぐことはできず、あくまでも侵入を遅らせるという機能があるに過ぎません。QDEFで使用されていたバリアフィルムの水蒸気透過度は、0.001g/m2/day以下という性能のものです。

完全ではないにしても、このレベルのバリアフィルムでプロテクトすれば、かなり高い耐久性が得られます。

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量子ドットフィルムはスマホには使えない?

3M社は、前述のQDEFから撤退してしまいましたが、サムソンや日立化成など、多くのメーカーが量子ドットフィルムに参入しています。これらの量子ドットフィルムでは、QDEFと同様にバリアフィルムが使用されており、主に、テレビやモニターなどに使用されています。

現時点(2019年4月2日時点)では、スマートフォンに量子ドットフィルムを使用した例は確認されていません。それはなぜでしょうか?スマホには使用できないのでしょうか?

量子ドットフィルムは、量子ドットを練り込んだポリマーフィルムの両面からバリアフィルムを貼り合わせた構造となっています。バリアフィルムで覆うことで、水分や酸素の侵入を防ぎ、量子ドットの耐久性を高めることに成功しているのですが、フィルムの側面部分はバリアフィルムで覆われてなく、剥き出しの状態になってしまっています。

前述のQDEFもそのような状態で、使用し続けると側面から水分子と酸素の侵入し、量子ドットの劣化が進みます。劣化した量子ドットは赤や緑の光を放出しなくなりますので、目で見ても画面の周辺部分から劣化が進んでいるのが分かるようになります。

現在使用されている他社の量子ドットフィルムも同様で、そのためディスプレイ画面の額縁部分が比較的広くとれるタイプのテレビやモニターなどのディスプレイに用いられています。つまり、ディスプレイ画面の周囲にフレームに隠れている部分があり、ある程度量子ドットフィルムの劣化が進んでも、画面には影響が無いようにしているわけです。

スマホの場合は、基本的にかなり狭額縁で、スマホ本体の内部にもぎっしりと電子回路などが実装されていますので、量子ドットフィルムの余白部分を設けることが困難と考えられます。このことが量子ドットフィルムがスマホに使用されない最大の理由でしょう。

まとめ

量子ドットの耐久性とバリアフィルムについて解説しました。量子ドットそのものの耐久性が向上しないと、スマホに量子ドットフィルムを用いるのは難しそうです。

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