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有機EL

有機ELの発光材料とは?出光が強い?今後はどうなる?

投稿日:2019年3月12日 更新日:

本格的な高画質の有機ELディスプレイは、Samsungが自社のスマホGalaxyに搭載し、さらにAppleもiPhoneに搭載することで広く普及しました。また大型のテレビ用有機ELパネルはLGがほぼ独占的に製造し、自社のテレビだけでなくソニー、パナソニックなどのテレビにも搭載されて普及しています。これらの有機ELを支えるのが発光材料です。以下に紹介します。

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有機ELの発光材料とは?世代?

有機ELとは、有機化合物のエレクトロルミネッセンスを利用したもので、一般に発光層が有機化合物からなる発光ダイオードの構成となっているため、英語ではOrganic Light Emitting Diode (OLED)と呼ばれます。この電流を流して発光する(*これがエレクトロルミネッセンス)有機化合物が、発光材料です。

発光層に電流を流すと、発光材料が正孔と電子の電荷を受け取り、再結合することによって2つの励起状態が形成されます。それらは一重項励起子と三重項励起子で、その比率は25%と75%です。一重項状態から基底状態に遷移する時に放出されるのが蛍光で、三重項状態から基底状態に遷移する時に放出されるのが燐光です。

初期の有機ELは、蛍光を利用するもので、前述のように励起により生成される割合が25%が上限となるため、発光効率をこれ以上に高めることが困難でした。この蛍光材料による有機ELを第1世代の有機ELと呼びます。

次に燐光を利用する有機ELが開発され、これを第2世代と呼びます。前述のように励起により三重項励起子が75%生成されますので、これだけでも蛍光の3倍の効率が期待できます。さらにイリジウム,白金,オスミウムなどの金属を有する有機金属化合物を用いることによって、「項間交差」が促進され、一重項励起子を三重項励起子に変換することができ、加えた電荷のほぼ100%を燐光に利用することができます。

燐光を利用した有機ELは非常に発光効率が高いのですが、現状では赤色と緑色の発光材料しか実用化してなく、青色については寿命等の特性から実用化していません。そのため青色については蛍光を利用する発光材料がもちいられています。

また燐光を利用する発光材料は、イリジウム,白金,オスミウムなどの金属を利用するため、高価という課題もあります。

そこで近年注目を集めているのが、第3世代の有機ELです。これはい熱活性化遅延蛍光(TADF:Thermally Activated Delayed Fluorescence)材料を利用したものです。TADF材料は、一重項励起準位(T1)と三重項励起準位(S1)が近いため、三重項励起子を一重項励起子に変換することができ、一重項励起子からの蛍光として電気エネルギーを100%近く利用することができます。現状では、長寿命化の難しさなどから、ディスプレイ用途には実用化できていません。

この他に、TADF材料と蛍光材料を混合し、TADF材料をエネルギーの受け渡しのみに使った第4世代の有機ELや、TADF材料と燐光材料を混合した第2.5世代などがあります。

有機ELの発光材料は出光が強い?

出光興産は1985年から有機ELの発光材料の研究を開始しました。その高い技術力から、多くの優れた材料を開発し、フルラインアップの材料群を強みとして、LGやSamsungに供給しています。同分野では世界シェアトップと言われています。

平成30年度全国発明表彰において有機EL素子及び有機発光媒体の発明(特許第4221050号)で「恩賜発明賞」と「発明実施功績賞」を受賞しています。

中でもその高い技術力を象徴するのが、「出光ブルー」と呼ばれる青色の発光材料です。これの実用化に成功したことが、現在の高画質有機ELの普及に大きく貢献しました。2020年には中国にも工場を稼働させ、さらなる有機ELの普及に貢献するようです。

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有機ELの発光材料の今後は?

有機ELの発光材料は今後どのようになっていくのでしょうか?

すでに多くの有機ELパネルが製造されていますので、製品レベルでは製造設備の増強・新設などにより、コストダウンを進めていくと予想されます。貴金属の使用がコストアップの要因の一つですので、少しでも貴金属の使用量を減らす研究開発も進められていくでしょう。

予測が難しいのが、まだ高画質ディスプレイ用に実用化できていないTADF材料の実用化時期です。現在、九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)から開発成果の独占実施権を得たベンチャー企業のKyuluxが、LGおよびSamsungと共同開発契約を締結したと発表されています。

LGおよびSamsungは、有機ELパネル&ディスプレイのトップメーカーですが、有機ELの発光材料については、出光興産やMerckなどの材料メーカーが製造・供給しているわけですので、材料開発そのものはKyuluxにかかっていると推測されます。今後に期待です。

まとめ

有機ELの発光材料について紹介しました。材料技術は一見地味なのですが、あの美しい有機ELも優れた材料がなければ作ることができません。改めて日本の材料技術の高さを感じます。印刷方式の有機ELの発光材料は住友化学が強いようです。こちらの記事「有機ELを印刷方式で作る時の発光材料は?住友化学が強い?」で紹介しています。

参考文献:NHK技研R&D/No.167/2018.1/p.18

有機ELについては、こちらの記事「有機ELのまとめ」もご覧ください。

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