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量子ドットカラーフィルターをDICとNanosysが事業化目指す!

投稿日:2019年2月19日 更新日:

液晶ディスプレイの広色域化(*表示できる色数を増やす)のために、量子ドット Quantum Dot の活用についての研究開発が進められています。量子ドットを用いた部材にはいくつかのタイプがありますが、ここでは量子ドットカラーフィルターについて紹介します。

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量子ドットカラーフィルターとは?

カドミウム系の半導体をナノサイズの粒子とした量子ドットは、ガラス管に封入したり、光学フィルムに混ぜ込んだりした部材として、液晶ディスプレイで使用され、製品化されています。これらに続いて実用化に向けて研究が進められている部材の一つとして、量子ドットカラーフィルターがあります。液晶ディスプレイには、1つの画素に赤・緑・青のサブピクセルがあり、これらはバックライトからの白色光がカラーフィルターを通過することで作られます。

バックライトからの白色光は、もともと赤色・緑色・青色の光が混ざっており、カラーフィルターのこれらの中から1つの色だけを取り出し、他の2つの色の光を吸収する役割を果たします。したがって、カラーフィルターを通過する際に、光の利用効率は3分の1になります。

このカラーフィルターの代わりに量子ドットカラーフィルターを使い、バックライトには青色LEDからの光のみを使用します。青色の光が量子ドットに照射されると、緑色と赤色の光に波長変換されます。量子ドットの大きさや材料を調節して、緑色と赤色それぞれに発光させることができます。青色はそのまま使用すればよいので、変換効率を高くできれば光利用効率を高くすることができます。

量子ドットカラーフィルターをDICとNanosysが事業化目指す

量子ドットカラーフィルターは、複数のメーカーが研究開発に取り組んでいます。その中で、世界最大の量子ドット生産工場を持つ米国Nanosys, Inc.と、高いインク技術を持つDICが共同で進める「量子ドットカラーフィルター用インキ」開発が注目されています。カドミウム系の量子ドットは波長変換効率が高いのですが、カドミウムの毒性が強いため問題となっています。そこでカドミウムを使用しない「カドミウムフリー」の量子ドットが注目されており、カドミウムフリー量子ドットの高い技術をNanosysが持っています。

量子ドットカラーフィルター中では、量子ドットを高濃度に分散させる必要があります。その分散技術、配合技術などをDICが持っており、厚さ5-10ミクロンの量子ドットカラーフィルター層をインクジェット印刷方式で作ることができます。この薄い量子ドットカラーフィルター層を、青色光が通過する際にほぼ全て吸収され、緑色または赤色の光に変換されます。

DICでは、この「量子ドットカラーフィルター用インキ」の2020年の上市を目指して開発を進めています。

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量子ドットカラーフィルターの課題は?

ここまでに紹介しましたDICの「量子ドットカラーフィルター用インキ」を含めて、量子ドットカラーフィルターの現状での課題は何でしょうか?

最終的な製品のスペックがまだ分からないので(製品が販売されていないので)、公表されている技術情報から考えると、カドミウムフリーの量子ドットの波長変換効率(あるいは量子収率)がカドミウム系量子ドットよりも低く、十分ではないとされています。また水分、酸素、熱などによって量子ドットが劣化しやすく、製品として十分な耐久性が得られていないようです。

現在は、量子ドットを混ぜ込んだ光学フィルムが日立化成などから販売され、もっとも利用されている量子ドット部材です。BtoBでの取引価格は不明ですが、一般に高価と言われています。量子ドットカラーフィルターでは、量子ドットの使用量を少なくできるため、どこまで価格を下げられるかがポイントになるでしょう。

さらに量子ドットカラーフィルターを使用する場合は、液晶ディスプレイの構造を変更する必要があることが大きな課題です。前述の量子ドットを混ぜ込んだ光学フィルムの場合、一般的な構成の液晶ディスプレイに量子ドットフィルムを挿入するだけで済むことが多く、採用が比較的簡単です。それに比べ量子ドットカラーフィルターの場合は、(バックライトからの光が通過する順番で言うと)カラーフィルター層の次にある前面側偏光板を、量子ドットカラーフィルターの手前側(内側)に変更する必要があり、採用が難しい可能性があります。

まとめ

量子ドットカラーフィルターについて紹介しました。計画通りに行けば、近い将来に製品として登場するでしょう。

量子ドットについては、こちらの記事「ディスプレイ用量子ドットの技術動向のまとめ」にまとめましたのでご覧ください。

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