液晶でも有機ELにおいても、画素から画像を形成するディスプレイで高精細の動画表示をするためにはTFTが必要です。そのためディスプレイパネルの製造では、TFT回路の形成が重要となります。TFTの材料によりプロセス温度が異なり、TFTの性能も異なります。重要なTFTについて以下にまとめます。
TFT液晶のアクティブマトリックスとは?TFT種類は?

液晶ディスプレイの進歩を支えてきたのがTFT技術です。液晶ディスプレイは、多くの画素を配列し、それらの明るさを適宜調節して画像を表示します。高精細になり、画素数が非常に多くなると、TFT回路を使ったアクティブマトリックス駆動で高速の動画表示をすることになります。そのため液晶ディスプレイでは様々なTFT材料が研究開発されてきました。それらはアモルファスシリコン(a-Si)、低温ポリシリコン(LTPS)、酸化物半導体(その内の主要なものがIGZO)です。それぞれ長所短所があり、現在は大型にa-Si、中小型にLTPSと酸化物半導体が使用されています。以下の記事で解説しています。
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フレキシブル有機ELのTFTとポリイミドなどの基板材料

有機ELは自発光ディスプレイであるためバックライトが不要で、フレキシブルディスプレイの最有力候補として注目されています。フレキシブル有機ELを実現するための技術的課題の一つがTFTです。有機ELで実績のある低温ポリシリコンのTFTは、500℃程度のプロセス温度が必要となり、フレキシブル基板となるポリマーフィルムの選択肢が限られます。TFTの品質はプロセス温度を高くするほど良くなる傾向もあることから、現在スマホ内で使用されているポリイミドフィルムにおいてもギリギリの耐熱性と考えられます。ポリイミドは耐熱性を上げると着色する傾向があり、さらなる材料開発が継続されています。以下の記事で紹介しています。
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有機EL基板用ポリイミドフィルムのメーカーとその特徴は?

有機ELの基板としてポリイミドフィルムが使用され始めています。ポリイミドについては、日本メーカーが長年研究開発してきたものが採用されており、ポリマーの材料技術の高さが改めて示されました。TFTを形成するプロセス温度が、基板材料の耐熱性の要求値を決めることとなり、それを満たすものが多種多様なポリマーの中でもポリイミドしか現実的な候補がありません。そのポリイミドでも耐熱性を上げると着色する傾向があります。トップエミッション型の有機ELでは、基板の反対側へ光を取り出すため、基板が着色していても使用できます。しかし、ボトムエミッション型の有機ELでは、基板を通過させて光を取り出すため、基板が着色していると光の利用効率が低下します。以下の記事で解説しています。
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有機TFTとは?フレキシブルLEDディスプレイが登場!

ディスプレイの高精細で高速の動画表示はTFTによって実現しています。TFT回路を形成するプロセスは、通常は高度な減圧下で高温のプロセスになり、設備も大きく、高額なものになります。またTFTのプロセス温度によってフレキシブル基板の耐熱性の要求値が決まり、多くの場合はポリイミドを選ばざるを得ません。つまり、もっと低い温度で、高度な減圧をしないでTFTを形成できれば可能性が広がります。そのような期待を背負っているのが有機TFTです。印刷プロセスでTFTを形成でき、プロセス温度も100~150℃と格段に低いです。以下の記事で解説しています。
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まとめ
液晶や有機ELのディスプレイで重要なTFTについてまとめました。アモルファスシリコン(a-Si)、低温ポリシリコン(LTPS)、酸化物半導体、有機化合物など複数のTFT材料が研究開発されています。
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