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有機EL基板用ポリイミドフィルムのメーカーとその特徴は?

投稿日:2019年2月9日 更新日:

有機ELがiPhoneなどのスマホに採用され、またLG製の有機ELパネルを使ってソニー、パナソニック、東芝が大型のテレビを販売し、Apple Watchにも有機ELがが搭載され、急速に増えています。有機ELの基板にはガラスが使われていますが、これをポリイミドフィルムに置き換える動きが進んでいます。有機EL基板用ポリイミドフィルムのメーカーやその特徴について紹介します。

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有機EL基板用ポリイミドフィルムのメーカーは?

有機ELパネルの分野では、スマホ用はSamsung、テレビ用はLGが圧倒的に大きなシェアを持っています。日本ではJOLEDが事業化を目指していますが、まだ大きなシェアを穫れる見通しは立っておりません。今後は中国メーカーの存在感が増してくるでしょう。

このように有機ELのパネル事業では海外メーカーが主役ですが、基板用のポリイミドフィルムにおいては、そのほとんどを日本メーカーが供給しています。ポリイミドは、1960年代初めに米国Du Pont社で航空宇宙産業用として開発されたことが始まりです。その後、多くの日本の化学メーカーが開発に取り組み、1980年代初めには現在有機EL基板用に使用されるようなポリイミドが開発されています。

ポリイミドは高性能部材に用いる高価なポリマーで、これまでは年間の販売数量がそれほど伸びず、事業としては各社苦心していたようですが、粘り強く事業を続けてきました。その結果、有機EL基板としての用途が花開き、事業として急成長することとなりました。投資効率を重視する欧米の化学メーカーは、開発後のある程度の期間に投資を回収し、さらに売上・利益を伸ばせる見通しが立たなければすぐに撤退してしまうことが多いですが、「粘り強く事業を続ける」という点は、これまでの日本メーカーの強みなのかもしれません。しかし、メーカーから見れば、いつ事業として花開くのかが分からないまま数十年も続けることになるので、事業の選択と集中、経営効率という観点では悩ましい問題でもあります。

このような事業の難しさ故に、現在有機EL基板としてポリイミドフィルムを供給しているのはほとんどが日本メーカーです。具体的には、Samsungと宇部興産の合弁会社であるSUマテリアルスがSamsungにポリイミドを供給していますし、カネカがLGにポリイミドを供給しています。

これらのポリイミドも有機EL基板用として考えた場合、必ずしも完璧な性能ということでもないようで、東洋紡、東レ・デュポン、三菱ガス化学などもそれぞれの製品の特徴をアピールして事業拡大を狙っています。

また最近は韓国のSKCコーロンPIも有機EL基板用ポリイミドの事業を伸ばしていると報じられており、さらに競争が激化しそうです。

有機EL基板用ポリイミドフィルムの特徴は?

有機EL基板用途で重要なポリイミドの特徴は以下のような点です。

1.ポリマー(高分子)の中で最高レベルの耐熱性を有すること。
2.ポリマーの中で最高レベルの高強度を有すること。
3.極めて小さな線膨張係数を有すること。
4.ガラス基板より軽量であること。

有機ELパネルの製造では、有機EL基板にTFT(薄膜トランジスタ)を形成するプロセスがあります。この工程でポリイミド基板を高温下におくことになります。通常のTFTでは500℃前後のプロセス温度となるようで、温度を高くするほどより高性能なTFFが形成可能です。そのような観点では、ポリイミドでも耐熱温度的にはギリギリの特性で、少しでも耐熱性に優れるポリイミドが求められています。

また室温から約500℃まで昇温し、TFT工程を経た後に室温まで温度を下げることを考えると、通常のポリマーであれば熱膨張により大きく体積が変化します。TFTなどの微細加工をする際にはこの熱膨張が難題で、温度変化による体積変化が小さい材料が望ましいことになります。一般的には線膨張係数という数値でこの特性を表しますが、ポリイミドは極めて線膨張係数が小さく、温度による体積変化が小さいことが知られています。

東洋紡の「ゼノマックス®」は、室温から500℃まで熱膨張係数が約3ppm/℃と一定で、ポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性を有し、400~500℃の高温下で加工が必要なTFTの回路基板向けに使用することができることから、今後の伸びが期待されています。

有機ELの特徴として、画面を曲げたり、巻き取ったりできることが挙げられます。その特徴はポリイミド基板を採用することでさらに向上します。何度も曲げたり、巻き取ったりするためには、ポリイミドの最高レベルの強度が魅力なわけです。

スマホなどのモバイル機器では軽量という特徴は大きいですし、また大画面になると基板も大きくなるのでガラス基板との差が大きくなるでしょう。

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有機EL基板用ポリイミドフィルムとトップエミッションおよびボトムエミッション

前項で述べたポリイミドの重要な特性である「耐熱性」については、その化学構造と密接な関係があります。これまでの研究から、耐熱性を高くするほど透明性が下がり、着色してしまう傾向があることが知られています。その理由を科学的に説明するには、化学構造から説明しないといけませんのでここでは割愛します。

ここで紹介したいのは、「ポリイミドフィルムは透明でなければいけないのか?それとも着色していても良いのか?」という点です。その答えは、「使用する有機ELの方式がトップエミッション方式なのか、ボトムエミッション方式なのかによる」ということです。

有機ELには、その構造からトップエミッション方式とボトムエミッション方式があります。トップエミッション方式は、基板を通過せずに光を取り出すことができますので、ポリイミド基板が着色していても使用できます。ボトムエミッション方式では、基板を通過させて光を取り出すので、着色していると光のロスが大きくなり、透明なものが求められます。

トップエミッション方式の方がボトムエミッション方式よりも高画質が得られるのですが、製造の難易度が高く、スマホ用などの小型の有機ELしか安定的に製造できていません。大型有機ELテレビなどはボトムエミッション方式で製造されています。

まとめ

有機EL基板用のポリイミドフィルムのメーカーとその特徴などについて紹介しました。ここでは単純にポリイミドフィルムと表現していますが、ポリイミドは耐熱性が高いために成形加工が難しく、必ずしもフィルムの形状で供給するとは限りません。ワニスというポリイミドの前駆体の溶液を、パネルメーカーの工程で基材に広げ、高温で処理してイミド化反応を進め、溶媒を除去してフィルム化する場合もあります。そんなパネルメーカーの工程中で使いやすくすることで生産効率を向上させるなどの工夫も、日本メーカーが得意とするところです。

TFTについては、こちらの記事「TFTのまとめ!簡単に理解できます!」をご覧ください。

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